まさにサプライズ!香川県高松のとびきりチャーミングなチョコレートを訪ねて【あなたの街のショコラティエ】

料理・グルメ

2021.10.20

"チョコレートを愛して50年"のチョコレート愛好家ライター、みやむらけいこが綴るチョコレート偏愛連載「#人生はチョコレート」。今回は四国うどん県で見つけた!「LIEU DE SURPRISE(リュ・ドゥ・シュープリーズ)」を訪ねました。

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店名は「驚きの場所」。

外観駅も近く会社やマンションが立ち並ぶ一角に
ひときわ目立つミントグリーンとチョコレートブラウンのお店。

屋号のLIEU DE SURPRISEとは、フランス語で「驚きの場所」という意味。私との出会いは2年前、香川県東部の大串半島で行われたライブの帰りに「人気のチョコレート店」と聞いて立ち寄り、山盛り買い込んだのが最初でした。真夏だったため、しっかりと保冷剤をいれていただいたのに、帰宅までにそのほとんどを食べつくしてしまったという、まさに?サプライズなおいしさが後を引くのがLIEU DE SURPRISEのチョコレート。
お店の名前通りの嬉しい「サプライズ」と確かな技術、そして地元への愛がこのひと粒に詰まっています。

美しいフォルムに秘められた驚き

ラインナップモールド(型)を使い、エアブラシで彩色された美しい作品たち。

印象的なのは、この美しさ。モールド(型)を用いている理由をシェフの大場崇史さんにお聞きすると「モールドを使う理由は見た目の華やかさと、ガナッシュを極限まで柔らかくできる点ですね」とのこと。そう、何といっても大場シェフのチョコレートの一番の個性はガナッシュの柔らかさ!こちらは「販売期間を短くすることで可能にしています。」ということなので、現在はオンラインでの販売予定はありません。

断面サプライズ!

例えばパリ風のチョコレートは、断面がほぼ茶色いガナッシュ(いわゆる生チョコ)であることが基本です。その茶色い中身にフルーツやスパイスなどで風味付けがされているのですが、大場シェフの作るチョコレートはタイトルそのものがど~ん!なルックスで、とてもチャーミングなのが特徴です

インスピレーションパッション

インスピレーションパッション零れ落ちそうなペーストがあふれます!

こちらはイエロー系のハートが美しい「インスピレーションパッション」の断面。光沢を見てわかるとおり、水分量がとても多くフレッシュ!パッションフルーツをそのまま食べているような味わい……なのは、言わずともわかるはず。

抹茶黄金柑

抹茶黄金柑抹茶ガナッシュに黄金柑のピールが爽やかなアクセントに。

そしてグリーンのガナッシュが詰まったこちらは「抹茶黄金柑」。黄金柑とは温州みかんと柚子の自然交配でできた品種で、別名はゴールデンオレンジ。柚子のようにしっかりした噛み応えのある皮から抹茶を圧倒する香りが立ち、よくある抹茶チョコレートとは全く違うアプローチが楽しめます。

バニラ

バニラミルク感たっぷりのシアワセ!

潔い真っ白が美しい断面の「バニラ」。大場シェフご本人も4歳と1歳のふたりのお子さんも大好きだというのがこちら。ビター全盛の昨今の世界のチョコレート事情の中、バニラ好きとしては、ここまでしっかりとバニラ感を提供してもらえると「一生付いていきます!」と言いたくなるほど、ウレシイ……。

シェフは小学生の時からアジをさばいていた?!

大場シェフ「この仕事の魅力は、『答えがひとつではないところ』ですね。」

地元の高校の調理科を卒業されている、という経歴から「すでに中学生のときにはお料理が得意だったのですか?」と聞いてみましたが「いや、勉強が得意で無かったので実技多めの学科に入っただけで」「じっとして何か覚えるより、手を動かしている方がよかったんですよ」と、ふわふわとかわされてしまいました(笑)。食い下がって?お聞きしてみると、小学生のころ家族で釣りに行ったあと、たくさん釣れたアジをさばくのは崇史少年の役割だったとのお話を伺ってびっくり!背びれは鋭く、ゼイゴも取らなければならないし……主婦にとってもかなり手ごわいアジをさばいていたとは!やはりタダモノではない!

国内老舗ホテルと外資系ホテルで学ぶ

ケーキ一流ホテル仕込みの美しいケーキたち。

大場シェフの強みは、国内の一流老舗ホテルニューオータニとマンダリンオリエンタル東京という、個性の異なる現場で修業を積まれたという経験です。シェフ曰く、ニューオータニでは確固たる自社ブランドのクオリティを維持するために、さまざまなレシピが変わることなく受け継がれており、お客様にも「この味」として同時にその信頼を得ている、とのこと。

大場シェフも新人のころは、毎日30~40キロの卵を1日中割り続け、その合間にカスタードクリームやプリンの仕込みをする…という毎日だったようです。それに対して、マンダリンオリエンタルでは、洋菓子店からホテルまでさまざまなキャリアを持つ現場スタッフが揃い、それぞれがアイデアを発揮できる自由さがあり、当時、大場シェフのレシピがホテルのマカロンのレシピとして採用されるなど「良いものは取り入れる」という風土だったとのこと。
そして今、シェフは「両方を経験できたことは財産」と笑顔で胸を張ります。

30歳で故郷で独立

お客さんを待つチョコレートこの日は日曜日。多くの家族連れがケーキと同時にチョコレートを選ぶ様子が伺えました。

11年間の修業の後、生まれ育った高松で2016年に独立。今では高松にもいくつかのチョコレート店がオープンしていますが、当時はギフトとしては求められても、ボンボンショコラをひと粒ずつ選んで買う、というお客さんはなかなか見られなかったとのこと。しかし今ではケーキとともにボンボンを自宅用に……という買い方をするお客様が増えたとか。まさに高松のチョコレート文化をけん引する存在になっているようです。その証拠に、ここ最近ではチョコレートを扱う洋菓子店が高松市内に増えると同時に、大場シェフのチョコレートの売り上げが増しているとのこと。高松、香川、いや四国のチョコレート好きさんにとっては「まずはここ」という存在になっているようですね。

人気店のシェフとなった今も

チョコを並べるシェフ「お子さんにお店は継いでもらいたいですか?」の問いに
「いや、やらせないです」と即答。その理由は・・・
「店と持つまでの大変なことをやってから店を持つのと、
最初からあるのとでは全く感覚が違うと思います。
何かをやるなら、最初から全て自分で…という道をたどる方が
絶対に将来的には良いと思います。」と、
そこにはシェフではなく厳しくもあたたかい父の顔が。

多くの注目を集める存在になった今でも、大場シェフは修業時代に「スゴイ!」とその実力に舌を巻いた先輩方への尊敬の念を持ち続け、SNSで最新作をチェックしては刺激を受けているそうです。中でも突出した組み合わせのアイデアが魅力のショコラティエ西山浩平さんとテクニカルなお料理が魅力の橋本宏一さんの活躍には目が離せないとのこと。またフランス人ショコラティエヴァンサン・ヴァレ氏の作品にも目が留まるそうです。
流行りものや売れそうなモノをただ追いかける、のではなく「より良いものを」求める探求心には頭が下がります。
今後も、大場シェフが手掛けるサプライズ楽しみにチョコレートシーズンの到来を迎えましょう。

Pâtisserie LIEU DE SURPRISE

お店現在のところ、品質の追及が優先のため、ネットショップの開設予定はなし。

〒760-0033 香川県高松市丸の内12−23
アクセス:ことでん片原町駅より徒歩約3分(130m)
電話:0878804810 Facebook

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著者

みやむらけいこ

みやむらけいこ

ライター歴20年。「あなたに逢いに行きます」取材ではなく出会い、インタビューではなく会話。わかりやすい言葉で丁寧に「ひと」を伝えます。好きなものは、サーフィンと歌舞伎、主食はチョコレート。#人生はチョコレート

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