もしかしてパワハラ?つい“カッ”となりやすい人は要注意!反射的な行動を抑制する“6秒ルール”とは?

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 もしかしてパワハラ?つい“カッ”となりやすい人は要注意!反射的な行動を抑制する“6秒ルール”とは?

2024.03.29

後輩や部下の言動に頭に血がのぼって、感情的になってしまうこともときにはあるものですよね。とはいえ、限度を超えれば「パワハラ」になってしまう可能性も。「パワハラ」と「指導・指摘」の決定的な違いは、どこにあるのでしょうか。数多くの企業研修を手がけている心理カウンセラーの庄野晴美さんに教えていただきます。

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教えてくれたのは……庄野晴美さん

サンプルイメージ出典:cocohareliss.net

心理カウンセラー、メンタルコーチとして、カウンセリング・コーチング・企業研修などを実施。「感情のコントロールができない」「パワハラを恐れて叱れない」といった企業からの相談依頼の増加を受け、2023年にアンガーマネジメントの資格を取得。上司のための正しい叱り方やパワハラ研修などの依頼に応えている。株式会社COCOHARELISS代表。

「パワハラ」と「指導・指摘」の違いとは

「部下の態度にカッとなって、他の社員もいるなかで大きな声で怒鳴ってしまった」
「後輩が提出した書類に不備が多く、誤字脱字がなくなるまで何度も修正を依頼した」

職場でこんな経験をしたことはありませんか? どこまでが「指導・指摘」で、どこからは「パワハラ」なのか、線引きに悩んだことがある方もいるかもしれません。「パワハラ」と「指導・指摘」の決定的な違いは、どこにあるのでしょうか。

さまざまな企業のパワハラ研修や相談などを手がけている心理カウンセラー庄野晴美さんは、パワハラと指導・指摘の線引きについて、次のように解説します。

庄野さん 「『指導・指摘』とは、相手の成長を願い、行動や言動の改善を教え導くことです。教育、注意、叱責、命令なども含まれます

指導・指摘出典:stock.adobe.com

一方、パワーハラスメントは、以下の6つのパターンに大きく分類されます。

パワーハラスメントの6類型※

  1. 身体的な攻撃(暴行・傷害)
  2. 精神的な攻撃(脅迫・名誉棄損・侮辱・ひどい暴言)
  3. 人間関係からの切り離し(隔離・仲間外し・無視)
  4. 過大な要求(業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制・仕事の妨害)
  5. 過小な要求(業務上の合理性なく能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと)
  6. 個の侵害(私的なことに過度に立ち入ること)

厚生労働省「明るい職場応援団」ウェブサイト、ハラスメント関係資料ダウンロードコーナーより

パワーハラスメントの6類型出典:stock.adobe.com

庄野さん 「上記に該当するときには、『指導・指摘』の目的である、相手の成長を願い行動や言動を改善してほしいと具体的に相手に伝えることよりも、自分自身の立場や地位などを利用して自分の思い通りにしたいとい気持ちや感情が先に出ていたり、目的から離れてしまっていたりする言動になっています」

「アンガーマネジメント」で、怒りの感情に振り回されない

前述した線引きを理解していたとしても、後輩や部下の言動にカッとなって、思わず声を荒げてしまいたくなるときもあるかもしれません。そんなときに役立つアイデアのひとつが、「アンガーマネジメント」だと庄野さんは解説します。

庄野さん 「アンガーマネジメントは、1970年代にアメリカで生まれた怒りの感情と上手に付き合うための心理教育・心理トレーニングです。怒らないことを目的とするのではなく、怒る必要のあることは上手に怒り、怒る必要のないことは怒らなくて済むようになることを目標としています」

アンガーマネジメント出典:stock.adobe.com

庄野さん 「怒って後悔したことや、怒らずに『あのとき、怒っておけば……」と後悔したことはありませんか? 怒りの感情には機能や役割があり、怒ること自体は決して悪いことではありません。アンガーマネジメントは、怒りの感情と上手く付き合い、怒りの感情に振り回されないように生きるための学びです。アンガーマネジメントができるということは、怒りの感情をコントロールできるということなのです」

「6秒ルール」で、反射的な行動を抑制する

アンガーマネジメントには、「衝動」「思考」「行動」という3つのコントロールがあります。最初に行うのが「衝動のコントロール」だと庄野さん。衝動のコントロールといえば、カッとしたときに心の中で6秒数える「6秒ルール」という方法がよく知られています。

庄野さん 「パワハラにつながる言動には『カぁっとなって、思わず言ってしまった』『手が出てしまった』などがあります。どちらもとっさにとる行動ですが、6秒待つことで、反射的に行動することを減らすことができます

6秒ルール出典:stock.adobe.com

庄野さん 「怒りの感情をコントロールできるとは、考えなしに動かず、落ち着いて考えてから行動できるということです。客観的にみることにより、目の前の出来事に対してさまざまな見方ができ、思考の変化によって行動も変えることができます

反射的に動くのではなく、考える時間をおいてから動くことで、感情をコントロールして行動を変えることができるのですね。今回は加害者になるリスクを減らすポイントを教えていただきましたが、自分がパワハラを受けたときの対処法も知っておきたいですよね。次回はアラフォー女性のリアルなパワハラ体験談と対処法について、庄野さんに教えていただきます!

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