“なんとなくクリームを塗る” だけではダメ! 外側からはもちろん内側からのうるおい補給が大切
「肌の乾燥は、皮脂の分泌が多い顔や胸、背中以外のところに表れます。肌が乾燥すると、角質の水分量が減ってバリア機能が低下するため、皮膚が敏感になり、かゆみが表れるのです」と語るのは、皮膚科専門医の赤須玲子先生。特に40代以降は、肌の乾燥かゆみが深刻になりやすいというから油断は禁物。
「皮脂の分泌量は、20~30代をピークに減り始め、40代では下降の一途をたどります。さらに肌の水分量も減ってくるため、乾燥かゆみに悩まされる人が増えるのです。肌のうるおいをキープするには外側からのケアが必須。そしてそれだけではなくうるおい成分をつくる食べものと飲みもので内側からケアも行いましょう」
【外からケア①】「朝の全身保湿」で 肌をバリアする
「入浴後の保湿ケアはもちろんですが、日中の乾燥から肌を守るためには、朝に全身保湿を行うのがおすすめ」と語るのは美容家の深澤亜希さん。朝は体温が低いので、保湿をしながら同時にカラダをマッサージすることで、血行を促す効果も期待できるそう。
【外からケア②】「バスタイムを活用した保湿」で 水分を逃がさないように
熱いお湯につかると肌への刺激が強くなり、乾燥も激しくなります。温度は38~40度に設定しゆっくりつかり、体を芯から温めましょう。入浴時と入浴後の、簡単で効果的な保湿ケア方法を教えます。
【「シ・ミ・ケ・ア」で肌をうるおして】
肌が美容成分を吸収する条件は『シ・ミ・ケ・ア』です。これは成分を吸収しやすい4条件の【シ(湿っているか)、ミ(密閉されている)、ケ(血行がよくなっている)、ア(温まっている】の頭文字を取ったもの。“密閉されている”以外は、すべて入浴後の肌状態に合うのでバスタイム後は絶好の保湿チャンス!
【浴室内でオイルを塗り肌についた水分を抱え込む】
保湿はお風呂から出る前にした方がよいという研究結果もあるので、ぬれた肌に直接塗れる保湿オイルを使うのも◎。肌表面の水分も包み込んで浸透させる効果が。
【脱衣所ですぐにバスローブを着て、肌が乾くのをストップ!】
入浴後に小さな子どもが一緒だと、自分のことがあと回しになることも。肌はすぐに乾燥してしまうので、そんなときはバスローブを羽織っておくだけでも乾燥対策になります。
【内からケア①】「血管を強くする食材」で全身にうるおいを!
血管が弱くなると、全身に栄養が行き渡らず肌が乾燥してしまうそう。
「血管の90%以上を占める毛細血管は、全身のすみずみまで張り巡らされ、細胞に栄養を運んでいます。ところが、毛細血管は年齢とともに老化するので、やがては血液が流れなくなる〝ゴースト血管〟に。そうなると、肌に栄養が運ばれなくなり、代謝が低下して皮脂腺や汗腺が萎縮。体をうるおす皮脂や水分の分泌が減ってしまうので、乾燥かゆみが増してしまうのです」(赤須先生)
下記3つの食材には、弱くなった接着力を高める成分が含まれているので、衰えた毛細血管の修復が可能に! いつもの食事や飲み物にプラスして取り入れてみて。
【ヒハツ】
こしょう科に属するロングペッパー(ヒハツ)は、こしょうに似たスパイス。血管を強化する効果が高い。コーヒーや炒め物に振りかけたりして。
【ルイボス】
アフリカ原産のマメ科の植物のこと。「ルイボスティー」などお茶として親しまれています。お茶のほかにも煮豚やゼリーなどのお菓子にも。
【シナモン】
樹皮から作られる香辛料。スティックやパウダー状で売られています。トーストやヨーグルトにかけて摂ってみて。
【内からケア②】「肌のバリア機能を高める食材」で肌を強化する!
肌の代謝を高め、うるおいを維持する栄養成分を食事やサプリメントから補うことも大事。栄養素は相互に補い合って働くのでバランスのよい食事を心がけましょう。
【皮脂をつくるビタミン】
ビタミンB2、B6、Cには、肌のうるおいに欠かせない皮脂の分泌を適正に調整します。多く含まれる食材は、ビタミンB2(鶏レバー、納豆、卵など)、ビタミンB6(にんにく、かぶ、まぐろなど)、ビタミンC(ブロッコリー、アセロラ、赤ピーマンなど)
【むくみ&冷えを予防するタンパク質】
皮膚の材料になります。多く含まれる食材は鶏肉、高野豆腐、しらすなど。
【皮膚の水分保持に役立つコラーゲン・ヒアルロン酸】
皮膚の水分を保持する働き。多く含まれる食材は鶏手羽、さけ、うなぎなど。
さらに!温かい飲みものをこまめに飲んで、内側から乾かさないこと!
体の水分量は赤ちゃんのときをピークに年々減少します。体を冷やさないよう温かい飲みものをこまめにとって。食事に含まれる水分+飲みもので1日1~1.5ℓを目安にとりましょう。
<水分補給のポイント>
・紅茶を飲むなら血管修復作用のあるルイボスティーを。
・冷える日は、血管を強くするシナモンやヒハツをプラス。
・乾燥しやすい冬の時期は、いつでも飲めるよう常温の水を枕元に置いて寝る。
クリームを塗っているのに乾燥してしまう…という人は、食べものや飲みものも見直してみて。乾燥知らずのうるつや肌は日々の生活でつくられます!
【教えて頂いたのは】
赤須玲子先生
医学博士。赤須医院(東京六本木)院長。美容皮膚科の草分け的存在。皮膚科学に基づいた美容医療を実践し、患者ひとりひとりと向き合った、きめ細かな診察に定評がある。
深澤亜希さん
美容家。日本コスメティック協会認定スキンケアマイスター、コスメマイスター。著書に『白ツヤたまご肌のつくりかた』(三空出版)など。
イラスト/itabamoe 取材・文/渡辺律子、熊谷理子(オフィス・エール)
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