ピーマンとパプリカはどう違う? 味や栄養価の違い
【パプリカはピーマンの一種】
ピーマンもパプリカも、ナス科トウガラシ属に分類される、同じ種類の野菜。学名も同じ「Capsicum annuum」です。日本では100g以上の大きなベル型で、肉厚のピーマンをパプリカと呼ぶことが多いようです。青ピーマンは未熟果ですが、パプリカは完熟果で、赤や黄、オレンジなどカラフルです。
【味、栄養の違いは?】
パプリカは青ピーマン特有の青臭さや苦味がなく、甘みと酸味のバランスがよくジューシーなのが特徴です。パプリカは煮込んだり焼いたりするほか、生のままサラダに入れてもおいしく食べられます。
パプリカの黄色やオレンジ色は、カロテノイドの一種であるゼアキサンチンという成分によるものです。赤色は、カプサンチンという成分によるもの。それぞれに、「ビタミンエース」と呼ばれるビタミンA、C、Eが含まれています。
【ピーマンの仲間って?】
・青ピーマン
特有の香りと苦味があります。炒め物など、加熱する料理によく使われます。
・赤ピーマン
青ピーマンを完熟させたものです。緑ピーマンに比べて青臭さがなく、甘みがあります。ビタミンなどの栄養価も2〜3倍になります。
・パプリカ
大型のベル型のピーマン。肉厚で甘みがあり、ジューシーです。
・ししとう
辛味のないとうがらしで、青ピーマンと同じような調理法で食べられます。
・伏見唐辛子
京都特産の辛味のないとうがらし。細長い形で、焼き物、揚げ物、煮物などにして食べられます。
・万願寺唐辛子
京都特産の辛味のないとうがらし。大型で果肉が厚いのが特徴。炒め物や焼き物などにして食べられます。
ピーマンの栄養素、効果、効能
■ ビタミンCとビタミンP
ピーマンには豊富なビタミンCが含まれています。一般的にビタミンCが多いとされているレモンが100gあたり100mgであるのに対し、青ピーマンは100gで76mg、赤ピーマンは100gで170mgです。
また、ビタミンCは熱に弱いといわれていますが、ピーマンのビタミンCは、加熱してもあまり壊れません。これは、ピーマンには酸化を防ぐ効果があるとされるビタミンPが多く含まれ、ビタミンCが加熱によって酸化するのを防ぐからです。
さらにビタミンPは、ビタミンCの吸収を助けるほか、毛細血管を丈夫にする働きもあります。
■βカロテン
βカロテンは体内に入るとビタミンAに変換し、皮膚や粘膜を丈夫にするほか、視力の維持や、がん予防、免疫力の強化、アンチエイジングなど、健康を保つために重要な働きをします。βカロテンは脂溶性なので、油と一緒にとると吸収率が高まります。
■ビタミンE
抗酸化作用があり、体内の細胞膜の酸化を防ぎます。これにより、生活習慣病や老化から体を守ってくれる効果が期待されます。美肌効果もあるとされます。
ビタミンEは体内で発生する活性酸素の働きを弱め、自らが酸化すると、効力を失ってしまいますが、ビタミンCによって再び活性化します。つまり、ビタミンEをとるさいは、ビタミンCも一緒にとると、抗酸化作用がより向上するのです。ピーマンには、その両方が含まれています。
■クエルシトリン
ピーマンの苦味成分。高血圧予防や、利尿作用、むくみや毒素を排出する作用があります。便秘解消の効果も期待できます。
ピーマンの食べ方は生と加熱どちらがいいの?
【栄養価の高まる食べ方】
ピーマンには脂溶性ビタミンが多く含まれているので、油と一緒にとると吸収率が高まります。熱に弱いとされるビタミンCも、ピーマンのものは加熱しても壊れにくいので、たっぷり食べられる加熱調理がおすすめです。
【食べ過ぎたらどうなる?】
ピーマンの食べ過ぎで考えられるのは、ビタミン過剰。ビタミンCの摂りすぎは下痢の原因に。これは1食に10個ぐらい食べれば可能性が上がる程度です。ビタミンAを多く摂りすぎると、皮膚の乾燥や食欲不振、吐き気、ビタミンKは溶血性貧血や核黄疸などがでる可能性も。ただし、ピーマンだけではその可能性は低いとも言えます。食べ過ぎにならない目安量は、ビタミンCだけでみると10個は食べてもいいと言えます。
ピーマンの選び方、切り方、保存法
【選び方】
鮮度が落ちると、中の種の部分から腐敗していきます。新鮮なものは、ヘタの縁が鮮やかな緑で、切り口がみずみずしく、黒っぽく変色していません。また、表面につやとハリがあるものを選ぶとよいでしょう。
【ピーマンの切り方は?】
・種を取る
洗ってから縦半分に切り、ヘタ、種、芯を一緒に取り除く。
・細切り
種を取ったピーマンを、繊維にそって細く切る。
・色紙切り
種を取ったピーマンを縦に幅をそろえて切ってる。さらに横向きにして同じ幅で切る。
・輪切り
種と芯がついたまま、横に置いて等間隔に切ってから、種を取り除く。
【保存法は?】
・冷蔵保存
水気をふき取ってからポリ袋に入れ、冷蔵庫の野菜室に入れて保存します。使いかけのものはヘタと種を取り除き、ラップをして冷蔵庫に入れ、2〜3日で使い切ります。
・冷凍保存
丸ごと冷凍保存することも可能ですが、切ってから冷凍する方が便利です。切る場合は、ヘタと種を取り除いて水けをふき取り、使いやすい大きさに切ってからジッパー付きの保存袋に入れ、冷凍します。調理するさいは、凍ったままでもいいですし、電子レンジで軽く解凍してもOK。1か月程度で使いきりましょう。
ネットで話題の無限ピーマンのレシピって?
【無限ピーマンのレシピ】
細切りにしたピーマンにツナ、油、チキンスープの素を加えて混ぜ、電子レンジでチンするだけ。箸が止まらないほどおいしく、無限に食べられることから、このように呼ばれ、インターネットで話題になりました。
ピーマンはとても身近な野菜ですが、栄養も豊富。栄養価がさらに高まる油を使った加熱調理で、たっぷり食べたいですね。
監修/吉沼弓美子(管理栄養士)
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