まずは「真似」をしてみよう!【脳科学者に聞いた!vol.118】

ライフスタイル

2020.02.28

「人の真似ばかりするな」と、よくいわれます。でも、「真似」をすることはけっして悪いことではないんです。

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「真似」をして身につけるのが、脳の基本的な学習プロセス

 読書の効用について書きましたが、ただなにも考えずに人が書いたものを読んだりコピーして適当に加工したり、発表したりしていてはけっして頭は良くなりません。
 しかし、優れた作品を模倣したり、美しい文章を書き写したりすることで、その作品の本質や構造を理解することができ、自分の血肉となっていきます。そうしたプロセス自体が学びとなって、本物の力になっていくわけです。「人の真似ばかりするな」ともいわれますが、「真似」をすることはけっして悪いことでもなんでもありません。
 思えば、わたしたちが子どものころに言葉を覚えたのも「真似」がはじまりです。親やまわりの人が話す言葉を聞き、それを「真似」することで覚えたはずですよね。なにか新しいことを身につけるために「真似」をすることは、脳の基本的な学習プロセスなのです。
 そこで、いま仕事などでアイデアを生み出すことを求められている人は、まずその分野の優れた業績を「真似」することをおすすめします。優れた先人の仕事でもいいし、デキる先輩の仕事でもかまいません。
 もちろん、文章を書き写すなどの作業は一見非効率なように思えますが、実際に手を動かし、「真似」をしてはじめて気づけることもたくさんあるはずです。
 良いアイデアを出そうとしてひとりでウンウンと唸(うな)っていても、苦しくなるだけ。それよりも、どんどん「真似」をしていくことで、結果的に学びの速度をあげることができるはずです。

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中野信子(なかの・のぶこ)
脳科学者、医学博士、認知科学者。横浜市立大学、東日本国際大学などで教鞭を執る。脳科学や心理学をテーマに研究や執筆活動を行うほか、その知見を生かしてテレビや雑誌でも活躍。社会問題やビジネス、カルチャーなど、幅広い分野を、科学の視点で読み解く語り口が人気。

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