子どもが「ああ、いやだなあ」と言ったとき、どう答えてる?
人前に出るのが苦手なわが子。夏休み明けは自由研究の発表があるので、準備段階から「いやだなあ」と呟いている。発表の前日になったら「明日行きたくない」と言い出すんだろうなあ。夫は「パパも仕事のプレゼン嫌だけど頑張っているよ」と伝えているけど、子どもに響いている感じはしない。子どもの「いやだなあ」にはどう返すのが正解?
子どもが苦手なことを前にして「いやだなあ」「~したくない」と言っているとき、どんな風に返していますか? なんとなく子どもが乗り越えられそうなものや、大人から見て大したことないものだと、「大丈夫、大丈夫」と軽く受け流す方も多いのでは。
子どものネガティブな言葉にはどのように応えればよいのか。つい言ってしまいがちなNG対応から考えていきます。
ネガティブワードに対するNGな対応
「子どもなんだからそんなこと言わない」
可能性に満ち溢れているわが子だからこそ、いろいろな課題に前向きにチャレンジしてほしい気持ちはもっとも。ネガティブな言葉を言ったら、よりネガティブな気持ちになってしまうと考えている人はこんな風に伝えがちかもしれません。また、聞いている側の気持ちも引っ張られてしまうから「いやだ、いやだ」と言わないでほしいと思う気持ちもあるでしょう。
ただネガティブな言葉は、「口に出すことによって気持ちを保つことができる」という、ポジティブな側面もあるんです。口に出す、言葉にする作業は、自分の内側から気持ちを切り離す作業ともいえるんですね。否定せず、「発表のこと考えるといやになっちゃうよね」とそのまま受け取ってあげると、少し気持ちが楽になるでしょう。
「大したことないよ」
励まそうとして、「大したことないから大丈夫」と伝える方もいるでしょう。子どもが今まで「いやだ」と言いながらもこなしているのを見ており、心配にならない親御さんもいるかと思います。逆になぜここまで子どもが不安になり毎回愚痴をこぼすのか、疑問に思う方もいるかもしれません。
子どもは、大人よりも経験を積んできていないため、苦手に出くわす度に「あー、いやだ」と思いやすく、慣れるまでの時間も人それぞれなんです。大人であれば、「どういうところが苦手なのか」「どんな対策をしておけば不安が減るか」など、対策を考えられますが、子どもには難しいときもあります。
子どもにとっての辛さを軽視せず、子どもが感じている感覚と近い温度で共感できるといいですよね。
「大人になったらもっと大変だよ」
大人になったらもっと大変なんだから、今のうちに力をつけてほしいと考える親御さんも多いですよね。たしかに仕事では業務内容を選べなかったり、苦手だからといって避けられないものもあるでしょう。また、ひとつひとつに「いやだな」と言っていたら生活が回らないと考えて、弱音を吐かず頑張っている方も多くいらっしゃると思います。
ただ一方で、子どもの年齢、感覚、置かれている世界ならではの大変さがあるのもまたひとつの事実。どちらが大変なのか、比較できるものではないんですね。
「大人になったらもっと大変」と伝えてしまうと、将来に対する希望もあまり持てず、「これ以上に辛い日々が待ってるのか」と鬱々としてしまう子もいます。「あなたはあなたで大変だよね」と労ってあげると、少し頑張ってみるかと前向きな気持ちになっていけるでしょう。
辛さは肯定されたほうが軽減していく
「いやだなあ」に対して「いやだよねえ」と返したら、嫌な気持ちがさらに膨らんでしまうのでは? と思う方は多いよう。ネガティブな気持ちを認めてしまうと、それゆえさらに落ち込んだり、現実逃避したりすると考えてしまうんですね。
しかし実際は逆なんです。「そんなに辛いことじゃない、大丈夫だよ」と否定されてしまうと「わかってくれていない」「辛くないわけがない」と、さらにネガティブな気持ちを強めていきます。逆に辛い気持ちを誰かに認められたり受け取ってもらえると、気持ちが少し和らいで、前向きな気持ちに変わりやすくなるんですね。
ぜひ一度、子どもの想いに寄り添い、辛さをそのまま受け止めてあげられるといいですよね。