粘膜に近い「デリケートゾーン」は刺激に弱いから、ケアの仕方に注意!
「デリケートゾーンは、ほかの部位と違い、湿度があるので乾燥しにくい場所です。しかし、下着によってこすれたり、蒸れたりするためかゆみなどが出ることも。ケアをする場合はほかの肌の部位とは別にして考えましょう」と語るのは皮膚科専門医の赤須玲子先生。
皮膚が薄く、粘膜に近いデリケートゾーンは、刺激に弱い特徴が。「もともと膣には自浄作用があり、デーデルライン桿菌(かんきん)という常在菌が膣内を酸性に保つことで雑菌が入りにくくなっています。ところが、加齢によってその自浄作用が低下するので、デリケートゾーンのケアは、大人の女性ほどていねいに行ったほうがよいでしょう」
「デリケートゾーン」の基本ケアと4大お悩み対策
【基本ケア】洗う&うるおす
デリケートゾーンは粘膜に近く、いろんな成分を吸収しやすい部位。一般的なボディソープだと刺激が強いので、専用ソープで洗いましょう。蒸れやすいゾーンとはいえ、冬になると乾燥することも。また、年齢を重ねると分泌物が減って乾燥しやすくなるので保湿ケアも忘れずに。
<4大お悩み①:蒸れ・かゆみ>
ストッキングや下着などによる蒸れ、締めつけ、摩擦は、かゆみの原因。これらの原因を取り除いたうえで市販のかゆみ止め薬を試しましょう。カンジダなどの感染症は治療が必要なので、気になる場合は受診を。
<4大お悩み②:黒ずみ>
下着がこすれたり、トイレットペーパーでゴシゴシ拭いたり、ムダ毛処理で肌に負担をかけ過ぎてしまうことなどが原因。肌は刺激を受けるとメラニンがつくられて黒くなるので、こすらないよう気をつけて。
<4大お悩み③:におい>
主な原因は雑菌。おりものや尿、経血、汗などが下着や陰毛につき、そこから雑菌が繁殖してにおいを発します。通気性のよいショーツを着用するほか、できるだけ清潔に保って。
<4大お悩み④:生理中のかぶれ、おりもの>
生理中は蒸れやすく、清潔に保ちにくいので、かゆみが出やすいとき。シャワーやビデなどで清潔にするよう心がけて。また、正常時のおりものは透明や白色ですが、黄色くにおいがきつくなったら婦人科を受診して。
聞きづらい…でも気になる!「デリケートゾーン」の疑問Q&Aにお答え!
女性同士でもなかなか話題にしにくいのがデリケートゾーンのこと。
今まで“わからない”ですませてきたことをこの機会に解決しちゃいましょう!
Q:デリケートゾーンはどこまで洗うべき? 膣の中まで洗ってもいいのですか。
A:膣には自浄作用があるので外側だけを洗えばOK
膣には常在菌がいて、それらが膣内を酸性に保つことで雑菌の増殖が抑えられ、清潔に保たれています。膣内部まで洗うと、この常在菌が減って自浄作用が弱まるので、外側だけを専用ソープなどで清潔にすれば十分です。
Q:陰毛を全処理している人も増えているけど、 デリケートゾーンに毛はいらないの?
A:あるとよいこともあるけどなくても困らないのが現実
陰毛には、デリケートゾーンを守るクッションの役目があります。一方で、陰毛があると、そこに菌がすみつき、雑菌の温床になる可能性も。全処理しても特に問題が生じることはないので、必要に応じて各自で選択を。
Q:デリケートゾーンのトラブルは皮膚科と婦人科どちらに行けばいいか迷います
A:皮膚表面のことは皮膚科。膣内のことは婦人科へ
皮膚表面のトラブルは皮膚科、膣内は婦人科で対応できます。たとえば、ナプキンや下着などによるかぶれ、黒ずみは皮膚科へ。おりものの悪臭は婦人科といった感じ。わからない場合は、事前にクリニックへ確認しましょう。
悩みはあるけど恥ずかしくて聞けない…と放置されがちな「デリケートゾーン」のトラブル。そのままにせず正しいケアをして、快適に過ごしましょう!
【教えてくれたのは】
赤須玲子先生
医学博士。赤須医院(東京六本木)院長。美容皮膚科の草分け的存在。皮膚科学に基づいた美容医療を実践し、患者ひとりひとりと向き合った、きめ細かな診察に定評がある。
イラスト/itabamoe 取材・文/渡辺律子、熊谷理子(オフィス・エール)
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