熱中症予防には、こまめな水分補給が大事!
熱中症を予防するために、まず大切なのが、こまめな水分補給です。人は軽い脱水状態のとき、のどの乾きを感じません。ですので、のどがかわく前に、意識して水分をとるようにしましょう。
水分と言っても、ビールなどのアルコール類やジュースなど糖質が多いものはNG。アルコールは、尿の量を増やし、体内の水分を排出してしまいます。摂取した量以上の水分が、後に尿で失われてしまうこともあります。また、糖質の多いジュースや炭酸飲料などは、血糖値が上昇し、肥満につながることにもなるので、飲みすぎないよう注意が必要です。また、コーヒーなどのカフェインを含むものも、ほとほどの量であれば問題ありませんが、大量摂取は控えるようにしましょう。
日常生活では、食事などに含まれる水分を除いて、飲み物から摂取する水分の量は、1日あたり1.2ℓが目安と言われています。とくに、入浴時や寝ている間も汗をかくので、起床時や入浴前後はかならず水分を補給するようにしましょう。
汗をかく労働や運動時は、発汗量に応じた水分補給が必要です。汗を大量にかいたときは、水だけではなく、スポーツ飲料や経口補水液などで、塩分やミネラルも補うとよいでしょう。
食欲がないからそうめんやそばだけ…はNG
暑い日は、食欲が落ちることも少なくありません。そんなとき、さっぱりと食べられるそうめんやざるそば、ご飯やパンだけなど、主食だけですませてしまうことはありませんか?
こうした食事では、栄養がかたより、体を動かすエネルギーを生み出せなくなります。そして、疲れやすく、暑さに耐えられない体になってしまうのです。食欲が出なくても、主食、主菜、副菜を意識して、バランスのよい食事を心がけることが大事です。
では具体的に、どのような食材を食べればいいのか、熱中症予防に効果が期待できる食材5選を、ランキング形式で紹介します。
豚肉
暑い夏は食欲が落ち、麺類や冷たい飲み物、デザート類にかたよりがちです。 これらは糖質を多く含み、人間にとって大切なエネルギー源となりますが、代謝をスムーズにし、エネルギーを作るには、ビタミンB1も必要です。
そこでおすすめなのが、ビタミンB1を豊富に含む豚肉です。ビタミンB1は糖質の代謝を促し、エネルギーを全身に行き渡らせ、疲労回復の効果が期待できます。熱中症は、体調によっても左右されるので、こうした食材で、日々の疲れを回復させることが大切です。
なお、ビタミンB1は、脂肪の多い豚バラ肉より、ヒレやももの赤身に多く含まれています。
納豆
納豆にはビタミンB1が含まれており、疲労回復に効果的です。さらに、汗とともに失われてしまうカリウムやマグネシウムも豊富。
カリウムは余分な塩分を排出し、体内の水分量を調整してくれます。不足すると脱水症状になり、熱中症を引き起こします。
また、納豆は発酵食品です。微生物が、消化しにくいものを分解してくれるので、発酵していないものより、栄養の吸収が高まります。
食物繊維や納豆菌は、腸内環境を整えてくれるので、体調管理にも役立ちます。
モロヘイヤ
モロヘイヤは、汗をかくと失われてしまうカリウムが豊富です。
また、鉄分、葉酸は野菜の中でもトップクラスの含有量。鉄分は、血液中の酸素を体のすみずみまで運んでくれます。鉄分が不足すると、体に酸素が充分にいきわたらなくなり、貧血の症状が出やすくなります。鉄分も汗と共に排出されるので、夏には補給が必要です。
また、ビタミンB1も含まれており、疲労回復に効果的です。
ちなみに、カリウムは水に溶けやすいので、ゆで汁ごと食べられるスープ料理がおすすめです。
枝豆
枝豆は、ほかの野菜に比べてビタミンB1、B2を多く含みます。これらは体内で糖質、脂質、タンパク質などを分解して、エネルギーに変えるため、疲労回復に効果が期待できます。
体内の水分量を調整してくれるカリウムも豊富です。カリウムは汗とともに失われてしまうので、その分を補給することもできます。また、血液や筋肉を作る上で欠かせないタンパク質も豊富です。
さらに枝豆には、オルニチンも含まれています。オルニチンは、アルコールの分解を促し、肝機能の働きを助けてくれます。飲みすぎや二日酔いを防止する働きが期待でき、日々の健康管理に役立ちます。
梅干し
梅干しには、クエン酸が含まれており、疲れの原因となる乳酸の発生を抑えると同時に、代謝を活発にするので、疲労回復に効果が期待できます。
また、カルシウムやマグネシウムなど、体に吸収されにくいミネラルと結びついて、吸収されやすい形に変えるキレート作用があります。
さらに、酸味は食欲を増進させ、唾液の量を増やし、消化吸収を助ける効果もあります。
にんにく
にんにくに含まれるアリシンは、ビタミンB1と一緒に摂ると吸収を促進し、代謝もよくなるため、疲労回復に効果が期待できます。
また、夏は冷たいものを食べて内臓の機能が低下しがちですが、アリシンは血流を促進し、体を温める働きがあります。にんにくをすりおろすことで、より効果的に摂取することができます。
アリシンを含む食材は、ほかに葱や玉葱、ニラがあります。
熱中症におすすめの食材、いかがでしたか? どれも身近に手に入るものばかりなので、ふだんの食生活に気軽に取り入れられそうですね。
監修/吉沼弓美子(管理栄養士)
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