自信満々に見える人に対し、何も臆することはありません。その人の自信には、実は根拠がないのですから

「自分はついている」とか「自分はうまくいく」といったことを、根拠もなく思える人がいます。
　それは、宝くじ売り場に並ぶ行列を見れば明らかです。確率的に考えて、宝くじは絶対に損です。それなのに並んでまで買うのは、「もしかしたら自分だけは得をできるかもしれない」という根拠のない思い込みがあるからです。
　災害が起きそうなときの自治体からの呼びかけに対し、なかなか避難行動に移ろうとしない人の中には、「自分だけは大丈夫だ」と考えている人も多くいます。
　このように、人間は往々にして根拠のない思い込みで動いています。自信満々に見える人も、そこには根拠などないのだと思えば、臆することもありません。

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中野信子（なかの・のぶこ）
脳科学者、医学博士、認知科学者。横浜市立大学、東日本国際大学などで教鞭を執る。脳科学や心理学をテーマに研究や執筆活動を行うほか、その知見を生かしてテレビや雑誌でも活躍。社会問題やビジネス、カルチャーなど、幅広い分野を、科学の視点で読み解く語り口が人気。

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