本のなかにだけは、あなたの味方が必ず存在する

「でも、その読書が苦手なんだよなあ......」
　そんな人には、ここでぜひ本に対する考え方を少しだけ変えてみてほしいのです。
　たとえば、あなたにはこれまで親や先生たち、また仕事を教えてくれる上司や先輩たちがいたと思います。生涯の師と呼べるような、素晴らしい人と出会えた幸運な人もいるかもしれません。でも、多くの場合、そうした人と出会う機会はとても限られているのではないでしょうか。
　また、たとえ素晴らしい人が近くにいたとしても、自分と合うかどうかはまた別の問題。しかも、その人にはその人の人生があるわけなので、必要以上に自分に時間を割いてくれるのを期待するほうが無理というものでしょう。
　でも、本はちがいます。本のなかには、世界中のあらゆる優れた人の業績が詰まっています。本を「先生」と考えたとたん、あなたの人生の可能性は広がっていきます。たとえ周囲に誰も味方がいなかったとしても、本のなかにだけはあなたの味方が必ずいます。そんな本を自分の師として持ち、学び、生きる力をつけていけばいいのです。
　本は読む者を選びません。読むのもやめるのも自由です。自分の置かれた状況に従って、いつでも好きなように学んでいくことができるのです。このように見方を変えれば、本を利用しない手はないのではないでしょうか。
　いずれにせよ、人それぞれの目標を達成するためには、誰かの協力を得ることが必要不可欠。そして、本はいつでもあなたの強い味方になってくれるでしょう。

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中野信子（なかの・のぶこ）
脳科学者、医学博士、認知科学者。横浜市立大学、東日本国際大学などで教鞭を執る。脳科学や心理学をテーマに研究や執筆活動を行うほか、その知見を生かしてテレビや雑誌でも活躍。社会問題やビジネス、カルチャーなど、幅広い分野を、科学の視点で読み解く語り口が人気。

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