知らないうちに人を傷つけてしまっているかも!?無自覚な「差別言葉」に注意 #失礼な日本語

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2020.06.03

言葉は日々変化しているもの。だから、何気なく使っている日本語も、いつの間にか相手に不快感を与えてしまうワードになっていた、なんてこともあるかもしれません。
そこで、『失礼な日本語』の著者である岩佐義樹さんに、日常でつい使ってしまいがちな「不快な日本語」を教えてきただきました。

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もし自分が言われたら……

他人からいきなり「お前ら!」と呼ばれたら、誰でも不快な気分になりますよね。それは「あなたたち」「あなた方」という言葉に対し「お前」という呼称自体、人を格下に見る差別表現が含まれているだけでしょうか? 実はその「お前」だけでなく、その後に続く「ら」という、たった一言が、人を差別すると言って、問題視されたことがあります。

毎日新聞にきた苦情

下記の新聞記事の「アイヌら」という表現に、読者からクレームがきたそうです。「『アイヌら」では『やつら』『あいつら』というふう意味にとれてしまうので、『アイヌたち』にすべきだ、というご意見でした」(岩佐さん)。ですが、普段から「私ら」「首相ら」「幹事ら」など、否定的ではない場面でもよく使われます。「そうなんです。そこで社内の用語委員会に相談したところ、『アイヌの人々』『アイヌたち』という言い換えを提示しました』(岩佐さん)。

<毎日新聞 記事抜粋>
北海道大は15日、1930年代ごろ研究目的で墓地から掘り出したアイヌの遺体12体について、日高地方のコタン(集落)再建を目指す「コタンの会」などに返還した。アイヌらが、掘り出したのは供養の侵害に当たるなどとして北大を相手に札幌地裁に返還を求めて提訴し、3月に和解が成立していた。(2016年7月16日)

「ら」の使い方にご注意を

「~ら」という複数形の表現は、どうやら使う相手によって、差別表現にもなることがわかりました。特に注意したいのは、普段から差別され、危機的状況にある人に対して呼びかけるとき。「差別表現について論じるのは、『寝た子を起こす』ようで、常にジレンマが伴います。でもこの記事を通して、差別される人々への理解と配慮が求められることを、私は望んでいます」(岩佐さん)。知らずに人を傷つけるのではなく、正しい知識を得て、人に優しい日本語を使いたいですね。

教えてくれたのは 毎日新聞社校閲センター前部長 岩佐義樹さん

毎日新聞社校閲センター前部長 岩佐義樹さん

1963年、広島県呉市生まれ。早稲田大学第1文学部卒業後、毎日新聞社に校閲記者として入社。用語委員会用語幹事などを務める、日本語のスペシャリスト。毎日新聞校閲センター運営のウェブサイト「毎日ことば」や「サンデー毎日」の連載コラム「校閲至極」などにて執筆中。

『失礼な日本語』
著/岩佐 義樹
ポプラ社
詳細・購入はこちら

TEXT:池田ゆき

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