教えてくれたのは……"お金のお医者さん” キャサリンとナンシー
証券会社出身でリアル子育て中のファイナンシャルプランナー、キャサリンこと竹内かおり(写真左)と、ナンシーこと西岡奈美によるユニット。「お金の話をかんたんに! おもしろく。投資をもっと身近に」をモットーに、“お金のお医者さん”として公立小学校や金融庁などの公的機関で小学生向け・親子向けの金融授業を展開。2022年3月時点で300以上の講座を実施。
上手にお金を使うための2つのキーワード
小学生向けの金融教育を行っているキャサリンさんとナンシーさん。ポイントサービス「Ponta(ポンタ)」を運営する株式会社ロイヤリティマーケティングは、お2人を招いて小学校高学年向けのマネー教室を開催。クイズを交えながら進行したオンライン教室は、子どもたちがチャットで質問したり、お2人の呼びかけにリアクションで応じたりと、臨場感あふれる盛り上がりになりました。
なかでも興味深かったのが、キャサリンさんとナンシーさんが紹介した「お小遣いの使い方」。お小遣いを受け取ったら、まずは
- 貯める:2
- 使う:7
- ゆずる(家族や友達の誕生日プレゼントなど):1
の割合に分けようと解説。そしてお金を上手に使うために、
- 本当にほしいものなのか?
- そのお金を使うことで家族や友達など誰かを悲しませないか?
という2つのことを、お金を使う前に考えてほしいと子どもたちに伝えていました。
親子でハッピーになる!「お小遣いの5つのルール」
子どものお小遣いについては、どんなルールで、何を注意したらいいのか、親としても迷うところですよね。今回は、気になるお小遣いの運用ルールについて、キャサリンさんとナンシーさんに教えていただきます。
お小遣いは「現金」で渡す
ナンシー:お小遣いは「現金」から始めて、お金の『ものさし(尺度)』を子どもに認識してもらいましょう。交通費は移動距離が長くなるほど増えることを知らない子どもは意外といます。現金で払うことで、そうした感覚も養うことができます。
低学年ほど渡すスパンは短めに
ナンシー:年齢が低いほど時間軸を把握しづらいので、短いスパンで渡すのがおすすめ。まずは1週間に1回からスタート。子どものお金の使い方・管理の仕方などを見ながら少しずつ期間を伸ばし、月1回ペースをめざしましょう。
「大まかな使いみち」をあらかじめ決める
ナンシー:年齢別の金額の目安を教えてほしいとよく聞かれるのですが、金額よりも、何のためのお金なのか、お小遣いの目的を決めて渡すことが大切。
たとえばわが家では、『お小遣いは文房具のために使う』と限定して、文房具なら何を選んでもOKと子どもに伝えていました。はじめは大好きなキャラクター入りの鉛筆を好んで買っていましたが、ある日子どもがスタンダードな鉛筆の方が安いことを発見。鉛筆は削ってなくなるものだから、安いものでいいと考えを改めたようでした。
お金を使う範囲が広すぎると、子どもは何に使えばいいのかわからなくなり、その結果貯めるだけになりがちです。お金を使う練習をするためにも、『大まかな使いみち』を決めて渡しましょう。
買うものは制限せず、「把握する」
キャサリン:お金を使う範囲を決めたら、買うものは制限せずに子どもにまかせましょう。『これは買ってもいい・これは買っちゃダメ』とジャッジしたり、『そんな使い方なら次からお小遣いはあげないよ』と脅したりするのはNG。失敗してもいいと思える金額を渡して、見守ってください。加減が難しいのですが、放置するのではなく、どんなことに使っているのかは把握してほしいと思います。
そして、好ましくない使い方をしたときは『ちょっとその使い方嫌だな』と伝えて、子どもと話し合ってみてください。話し合いのゴールは、子どものお金の使い方をコントロールすることではなく、子どもがお金の使い方を考える『きっかけ』を作ること。『その使い方嫌だな』と伝えるだけで、子どもの行動が変わることもありますよ!
キャッシュレスは「チャージ式・プリペイド式」から始める
ナンシー:キャッシュレスは、現金が管理できるようになってから始めましょう。チャージ式・プリペイド式のものからスタートするのがおすすめです。見えないお金を扱うのはとても難しいことなので、まずは自分でカードに入金する・カードを購入するところから始めると実感を持ちやすいですよ。
「お金は道具。使い方次第で不幸にも幸せにもなる」とナンシーさん。4月から高校の学習指導要領に金融教育が拡充され、カリキュラムの中には投資信託も含まれました。キャサリンさんは、「投資信託は、金融教育におけるいわば『漢字』。漢字を学ぶためには、ひらがなを知っておく必要がある」と話します。その第一歩となるのが、お小遣い。小さな金額で短いスパンからトライして、正しい付き合い方を子どもに身につけてほしいですね!