教えてくれたのは……“お金のお医者さん” キャサリンとナンシー
証券会社出身でリアル子育て中のファイナンシャルプランナー、キャサリンこと竹内かおり(写真左)と、ナンシーこと西岡奈美によるユニット。「お金の話をかんたんに! おもしろく。投資をもっと身近に」をモットーに、“お金のお医者さん”として公立小学校や金融庁などの公的機関で小学生向け・親子向けの金融授業を展開。2022年3月時点で300以上の講座を実施。
子どもたちが生き生きと学んだマネー教室
子どもに「お金」との付き合い方をどう教えたらいいの? ポイントサービス「Ponta(ポンタ)」を運営する株式会社ロイヤリティマーケティングは、そんな疑問を解消する小学校高学年の子ども向けマネー教室を開催。公立小学校などで金融教育を行ってきたキャサリンさんとナンシーさんが登壇しました。
今回の講座は、zoomによるオンライン授業ということもあり、日本だけでなくシンガポール、上海に在住するお子さんも参加。まずはお金の種類の説明から始まり、お小遣いの使い方など丁寧に授業が進みました。「お小遣いをもらっている人はいるかな?」といった問いかけにも子どもたちは元気よく手を挙げたり答えたりと、生き生きと学ぶ姿が印象的でしたよ。
その中でも特に、親が知っておきたい「お小遣い」について、キャサリンさんとナンシーさんに教えていただいた内容を共有します。
知ってる?最近の子どもたちのお小遣い事情
――子どもたちへ「お小遣いをもらっている人?」と問いかける場面がありましたが、手を挙げる子が意外と少なかったですね。
キャサリン:そうですね。公立小学校でお金の授業を行なっていますが、お小遣いをもらっているのはクラスの半数以下ということもよくあります。コロナ禍で外出しにくい状況のなか、子どもたちがお金を使う場面が少なくなっているのかもしれませんね。
ナンシー:ほしいものはその都度買っているから、あえてお小遣いを渡す必要がないと考えるご家庭も多いのかな。
キャサリン:うん。子どもにお小遣いを渡すこと自体をリスクととらえていて、「遊びに行くときに言って」「買ってほしいものがあったら教えて」というケースも増えているのかも。私たち親世代は、小銭を握りしめて友達といっしょに駄菓子屋さんや文房具屋さんに行っていたけど、今は習いごとで忙しかったり、親が治安を心配したりして、子どもだけで買い物をする機会が少ないのかもしれないね。
お金とは、使って、失敗して、初めてわかるもの
――「お小遣い制」と「ほしいもの申告制」、どちらが子どもにとっていいのでしょうか?
ナンシー:お金は、使って、失敗して、初めてわかることがたくさんある。だから、失敗が小さい金額で済むうちに、お小遣いを始めてほしいです。
キャサリン:「自分のお金」という意識を持つと、子どもが自分で考えるようになるよね。同じ500円でも「あなたの500円」にすることで、買うという行為がとても尊いものになる。自分で選んで買ったものは、はじめだけかもしれないけど、愛着を持って使うはず。だから、少額でも、短期間でもいいから、現金を使う体験を全親子にしてほしい。
それに、最近は家庭でお金の話をする機会が少なくなってきていますよね。子どもは大人がリアルにお金を使う姿を見なくなってきたし、昔みたいにお給料袋を持って帰ることもない。お金のありがたみやお金がなくなる恐怖を伝えにくくなっているんです。
ナンシー:授業で「お金はどこからきますか?」と質問すると、「ATM」と答える子もいるものね。ATMの先はどこなのか。何をするからお金が生まれのか。私たちは、「お金は『ありがとう』のしるし」と授業で伝えています。親が一生懸命働いて「ありがとう」の印として受け取ったもの=お金だから、みんなにも「ありがとう」の気持ちで使ってほしいと。
キャサリン:家庭でお金の話をするきっかけを作るためにも、お小遣い、ぜひ始めてください!
お小遣いを始めるのはいつがいいの?「3つの目安」
――お小遣いは何歳から始めたらいいのでしょうか?
ナンシー:できれば小学生のうちにスタートしてほしいです。それ以前でも、次の3つのポイントを子どもが理解できているようなら、お小遣いを始めてOKですよ!
《お小遣いを始める3つの目安》
- 買い物するためにはお金が必要だとわかっている
- その金額で何が買えるかをなんとなく把握している
- お金をすぐ使わず、貯金箱に入れておくこともできる
キャサリン:準備が整っていない年代にも、伝えられることはたくさんあります。いっしょに買い物して、果物とお金を交換することから始めてもいい。少しずつ積み重ねていきましょう!
「小学生のうちにはお小遣いを体験してほしい」と話すお二人。次回は、子どもの金銭感覚を養うお小遣いのルールについて教えてもらいます!