教えてくれた人
株式会社グループセブジャパン 製品開発担当 山田さん
フランスに本社を置く調理器具・小型家電のメーカー「Groupe SEB(グループセブ)」の日本法人です。フランスの調理器具・小型家電ブランド「ティファール」をはじめ、ドイツのキッチン&テーブルウェアブランド「WMF(ヴェーエムエフ)*コーヒーマシンを除く」、イタリアの調理器具ブランド「ラゴスティーナ」の3ブランドの販売を、日本全国で展開。
「遠赤外線」の力で、粒立ちした炊き上がりを実現
――今回、『ザ・ライス』で日本の炊飯器市場に新参入しました。炊飯器の開発には、いつ頃から取り組んでいたのですか?
山田さん 炊飯器に関しては、日本では10年以上前から発売を検討して取り組んでいました。当社では、世界各国の消費者の動向や好みを常に研究して知見を貯めているのですが、お米の種類や特徴、消費者の好みは各国で異なります。たとえば、タイでは非常に細長い米を使い、ドライな炊き上がりがポピュラーです。こうしたなかで、日本の消費者に好まれる炊き上がりをめざし、そのうえで他社といかに差別化する商品を開発できるかが非常に大きなチャレンジでした。
――最近の炊飯器のなかには、米の銘柄によって炊き分けするものも出てきていますよね。
山田さん 米の銘柄にあわせた炊き分け機能は、当社でも一度検討しました。ただ、私たちの調査によると、銘柄による炊き分け機能は、あってもいいけれど、そこまで活用していないという結果でした。どの銘柄でもおいしく炊き上がり、長時間保温しても、冷凍してレンジで温め直しても、おいしい。このポイントを実現することに力を注ぎました。
――『ザ・ライス』で炊いたご飯は、お米の粒が大きく見えて、食べていて満足感があります。
山田さん 炊き上がったご飯の粒立ちは、今回もっとも力を入れたポイントのひとつです。炊き上がりのお米の食感について、やわらかくもっちりとした食感を好む方がいる一方で、食べごたえがあってしっかりした粒立ちを好む層も非常に多いことがわかりました。それを踏まえて、『ザ・ライス』では、「遠赤外線」の力を使うことで、お米にハリを出し、粒立ちした炊き上がりを実現しています。ここが、もっちりやわらかく炊き上がる圧力IH炊飯器との大きな違いになっています。
「ふた」に遠赤外線機能をつけた理由とは?
実際に食べてみたところ、『ザ・ライス』で炊き上がったお米は、粒立ちがしっかり、はっきり。卵がけごはんにしても、卵液のなかにお米の存在感をしっかり感じることができ、お米の食感を存分に楽しむことができました。また、いつもと同じ米で炊いているのに、お米の甘みをより感じられるところも大きな特徴。梅干しや鮭、しょうゆと海苔など、塩けのあるご飯のおともとの相性は抜群です。
――『ザ・ライス』は、ふたから遠赤外線が放出されるのですよね。本釜に遠赤外線機能がついている炊飯器もありますが、なぜ「ふた」に遠赤外線機能をつけたのですか?
山田さん お米ひと粒ひと粒に直接遠赤外線を届けるためです。お米に直接、遠赤外線を届けることで、お米の表面にハリが出て、甘みを閉じ込めて、粒立ちのよい、うまみの凝縮したご飯が炊き上がります。
もうひとつの特徴が、本釜を下からしっかりと包み込む「高火力IH」です。熱の対流を起こしながら、お米の芯から均一に素早く炊き上げます。この2つの特徴を組み合わせた「遠赤外線直火炊き」で、甘みがあり、ハリがあって粒立ちのいい食感を実現しています。
――炊飯器の本釜は、とても丸みを帯びていますよね。55度というこだわりの角度に設計されています。
山田さん 当社の他の電気圧力鍋「ラクラ・クッカー」シリーズでは62度という角度を採用しています。『ザ・ライス』では、熱伝導・熱の循環の効果を促進しつつ、赤外線をより効率的にお米にあてるために、本釜の間口を広くして、55度という設計になりました。
――多彩な炊飯モードが搭載されているのも大きな特徴ですよね。「冷凍ごはん」モードも搭載されています。
山田さん 消費者の炊飯における動向や炊飯の頻度をリサーチしたところ、週末にまとめ炊きする方が増えている傾向が見られました。温め直してもおいしいご飯が食べられるように、炊き方を調整して、冷凍ごはんモードを開発しています。そのほか、無洗米・玄米・雑穀などの米の種類別の炊飯モードや、すしめし、炊き込みご飯、お粥、玄米・雑穀粥など、日本の消費者のニーズにあわせてカスタマイズした多彩な炊飯モードがあります。
『ザ・ライス』で炊いて冷凍したご飯を再加熱して食べてみると、チンしたご飯とは思えないほどしっとりした仕上がりに。ハリのある食感は炊き上がりのときのまま、パサつくことなくおいしく食べられました。お弁当やおにぎりにしてもおいしくいただけそうです。メーカーの一つひとつのこだわりが、「どんなときでもおいしいお米」を実現しているのですね!