「防水」と「撥水」は似ているようで全然違う
最近はアウターやレインウェアだけでなく、シャツやズボンなどにも防水・撥水をされた便利な衣料品を街中でよく見かけますよね。
皆さんは、「防水」と「撥水」の違いをご存知ですか?
この2つは似ているようですが、全く異なるものなのです。
撥水加工とは
布地の表面にシリコンやフッ素などのコーティングをして、水を玉状にして弾く加工です。使用を繰り返したり、洗濯したりするとコーディングが落ち、撥水効果も落ちていきます。
撥水加工がされているものは洗濯機で洗うこともできるため、防水加工の衣類より普段のお手入れが簡単です。
防水加工とは
生地の隙間を埋めるようにパラフィンなどでコーティングする加工です。
使用を繰り返しても効果は持続しますが、布地の隙間を埋めているため、空気も水も通しません。
防水性の衣料・繊維製品は、絶対に洗濯機にかけないでください。
防水加工を施した生地(レインウエア・防水シーツなど)を洗濯機にかけると、脱水の際に異常振動を引き起こし、洗濯機が転倒したり、周囲の壁・床・洗濯機を破損する大事故を引き起こす恐れがあります。
防水性衣料・繊維製品はどんなものがある?
防水シーツ、レインウェア、サウナスーツ、ウェットスーツ、スキーウェア、ウィンドブレーカー、自転車等のカバー、寝袋、防水エプロン、シャワーカーテンなどです。
防水性の衣類か分からない時は、繊維製品に口をつけて息を吹き込んでみましょう。
空気が通らないものは防水性の衣料・繊維製品なので、洗濯機でのお洗濯はできません。
防水性衣類を洗濯機にかけてはいけない理由
通水性のない防水性衣類を洗濯機にかけると、脱水の際に洗濯槽内の排水穴を塞いでしまうため、排水が出来ず、洗濯槽に大量の水が溜まったままの状態となります。
多くの場合、脱水開始時の低速回転の段階で洗濯機が異常を検知し、安全装置が作動しますが、たまたまバランスが取れており、異常を感知しなかった場合、洗濯機は時速約150kmの高速回転で脱水を始めます。
洗濯槽内に水が大量に入った状態で高速脱水を行うと、溜まっていた水が大量に一気に抜けることで、洗濯槽の回転バランスが崩れ、洗濯槽が異常振動を起こします。
家庭用洗濯機は約30kg〜70kg程度の重さがあるため、異常振動で転倒してしまうと、家の壁や床、柱を傷つけ、洗濯機が大破してしまう恐れがあります。
もちろん、近くに人がいたら……と考えるだけで怖いですよね。
撥水・防水性衣類のお手入れ方法
撥水加工されている衣類の場合
撥水加工されている衣類をお洗濯する前に、まずは洗濯表示を確認しましょう。
洗濯の際には、洗濯ネットに入れて、洗濯機にかけてください。
撥水効果が半減してしまうため、柔軟剤の使用を控えるようにしましょう。
撥水が弱まってきたときには、撥水スプレーを使用することで、効果を取り戻すことができます。
効果は1~2ヶ月程度で落ちてしまうため、定期的なケアが必要です。
撥水スプレーを使う際には以下の点にご注意ください。
- 火気厳禁
- 屋外で使用する
- 下に新聞紙などを敷く
- スプレー後すぐの使用はNG、使用前によく乾かす
防水加工されている衣類の場合
防水加工されている衣類をお洗濯する前も、まずは洗濯表示を確認しましょう。
お手入れは、基本的に「手洗い」が原則です。
バケツなどにぬるま湯を入れ、中洗剤を溶かして手洗いしましょう。
毛布などの大型衣類の脱水時も要注意!
洗濯槽の異常振動を引き起こすのは、防水性衣料だけではありません。
毛布やキルティングされたマットなど大型の衣類のお洗濯にも注意が必要です。
毛布などをそのまま洗濯すると、内部に含まれた大量の水が、脱水時に一気に抜け、重量バランスが崩れ、防水性衣料をお洗濯した時と同様に異常振動の原因になります。
洗濯機の説明書をご覧になった上で、大型の洗濯ネットを使ってお洗濯しましょう!
便利な衣料品だからこそ、正しく・安全にお手入れするように心がけましょう。