防水の服を洗濯機で洗うのは“絶対NG”。知らないと大事故につながる「洗濯機で洗ってはいけないモノ」

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2023.03.16

洗濯研究家の平島利恵です。お子様用の防水シーツや、アウトドアで使うレインウェアなど、防水加工がされた便利な衣類が増えていますよね。 これらの防水性衣料・繊維製品は、「洗濯機にかけてはいけない」ということをご存知ですか? 誤って洗濯機で洗濯・脱水をすると、洗濯機や周囲の壁・床までを破損する大事故につながりかねません。 この記事では、「絶対に洗濯機にかけてはいけないもの」とそれらのお手入れ方法についてご紹介します。

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「防水」と「撥水」は似ているようで全然違う

最近はアウターやレインウェアだけでなく、シャツやズボンなどにも防水・撥水をされた便利な衣料品を街中でよく見かけますよね。

皆さんは、「防水」「撥水」の違いをご存知ですか?
この2つは似ているようですが、全く異なるものなのです。

撥水加工とは

撥水出典:stock.adobe.com

布地の表面にシリコンやフッ素などのコーティングをして、水を玉状にして弾く加工です。使用を繰り返したり、洗濯したりするとコーディングが落ち、撥水効果も落ちていきます。

撥水加工がされているものは洗濯機で洗うこともできるため、防水加工の衣類より普段のお手入れが簡単です。

防水加工とは

防水出典:stock.adobe.com

生地の隙間を埋めるようにパラフィンなどでコーティングする加工です。
使用を繰り返しても効果は持続しますが、布地の隙間を埋めているため、空気も水も通しません。

防水性の衣料・繊維製品は、絶対に洗濯機にかけないでください。

防水加工を施した生地(レインウエア・防水シーツなど)を洗濯機にかけると、脱水の際に異常振動を引き起こし、洗濯機が転倒したり、周囲の壁・床・洗濯機を破損する大事故を引き起こす恐れがあります。

防水性衣料・繊維製品はどんなものがある?

防水シーツ、レインウェア、サウナスーツ、ウェットスーツ、スキーウェア、ウィンドブレーカー、自転車等のカバー、寝袋、防水エプロン、シャワーカーテンなどです。

防水性の衣類か分からない時は、繊維製品に口をつけて息を吹き込んでみましょう。
空気が通らないものは防水性の衣料・繊維製品なので、洗濯機でのお洗濯はできません。

家庭での洗濯禁止、という洗濯表示です出典:www.fujikyo.co.jp「家庭での洗濯禁止」という洗濯表示です

液温は40 ℃を限度とし手洗いができる、という洗濯表示です出典:www.fujikyo.co.jp「液温は40 ℃を限度とし手洗いができる」という洗濯表示です

防水性衣類を洗濯機にかけてはいけない理由

洗濯出典:stock.adobe.com

通水性のない防水性衣類を洗濯機にかけると、脱水の際に洗濯槽内の排水穴を塞いでしまうため、排水が出来ず、洗濯槽に大量の水が溜まったままの状態となります。

多くの場合、脱水開始時の低速回転の段階で洗濯機が異常を検知し、安全装置が作動しますが、たまたまバランスが取れており、異常を感知しなかった場合、洗濯機は時速約150kmの高速回転で脱水を始めます。

洗濯槽内に水が大量に入った状態で高速脱水を行うと、溜まっていた水が大量に一気に抜けることで、洗濯槽の回転バランスが崩れ、洗濯槽が異常振動を起こします。

家庭用洗濯機は約30kg〜70kg程度の重さがあるため、異常振動で転倒してしまうと、家の壁や床、柱を傷つけ、洗濯機が大破してしまう恐れがあります。

もちろん、近くに人がいたら……と考えるだけで怖いですよね。

撥水・防水性衣類のお手入れ方法

撥水加工されている衣類の場合

衣類の大きさに合わせた洗濯ネットを使用します

撥水加工されている衣類をお洗濯する前に、まずは洗濯表示を確認しましょう。
洗濯の際には、洗濯ネットに入れて、洗濯機にかけてください。
撥水効果が半減してしまうため、柔軟剤の使用を控えるようにしましょう。

撥水が弱まってきたときには、撥水スプレーを使用することで、効果を取り戻すことができます。
効果は1~2ヶ月程度で落ちてしまうため、定期的なケアが必要です。

撥水スプレーを使う際には以下の点にご注意ください。

  • 火気厳禁
  • 屋外で使用する
  • 下に新聞紙などを敷く
  • スプレー後すぐの使用はNG、使用前によく乾かす

防水加工されている衣類の場合

防水性の衣料は手洗いしましょう

防水加工されている衣類をお洗濯する前も、まずは洗濯表示を確認しましょう。
お手入れは、基本的に「手洗い」が原則です。
バケツなどにぬるま湯を入れ、中洗剤を溶かして手洗いしましょう。

毛布などの大型衣類の脱水時も要注意!

撥水の衣料の洗濯には洗濯ネットを使用します

洗濯槽の異常振動を引き起こすのは、防水性衣料だけではありません。
毛布やキルティングされたマットなど大型の衣類のお洗濯にも注意が必要です。

毛布などをそのまま洗濯すると、内部に含まれた大量の水が、脱水時に一気に抜け、重量バランスが崩れ、防水性衣料をお洗濯した時と同様に異常振動の原因になります。

洗濯機の説明書をご覧になった上で、大型の洗濯ネットを使ってお洗濯しましょう!

便利な衣料品だからこそ、正しく・安全にお手入れするように心がけましょう。

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著者

平島利恵プロフィール

平島利恵

大学卒業後、株式会社リクルートに入社。じゃらんのEC事業に携わり、株式会社マクロミルへ転職。東日本大震災をきっかけに布おむつ専門店を立ち上げ、EC 事業を展開。2013~2015 年NY 在住中に揉み洗い不要のつけ置き洗剤の着想を得て帰国。株式会社 Heulie 設立。洗濯洗剤と布ナプキンブランド”Rinenna”を展開。洗濯研究家として、「洗濯の正攻法を伝授する」ことを自身のミッションに掲げる。TV、雑誌等のメディアへの出演多数。四児の母。

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