〝大変すぎてウンザリしちゃう!〟子どもと一緒の食卓
お子さんが離乳食を食べ始める頃から、ママたちの修羅場がスタートしますね。遊び食べをし、ミートソースもカレーも白い壁に飛ばしまくるし、こぼしたジュースを床にひざまづいて拭くときの「ウンザリ」さ…。
ちょっと大きくなれば、今度は少しも黙っていない。あっちこっちに飛ぶ話に適当にあいづちをうちながら「ね、ちょっと黙って!まず食べて!」思わず叫ぶ。そうかと思えば、いきなり黙りこくってお皿をつつく様子に「幼稚園や保育園で何かあったのかしら」と不安が増す。
まったく子どもと一緒の食卓では、お母さんはいつも「早くしないさい」「ちゃんと食べなさい」と怒鳴っているか、「いったいどうしたの? 何があったの?」と問い詰めてしまうか、心の安まる暇もありません。
3000回しかない!? 幼いわが子との夕飯タイム
でも、食卓に家族が揃う幸せは、ひとたび遠ざかってしまうと「ああ、懐かしい」と思うものです。中学生にもなれば、部活だなんだと家族が揃う食卓がガクンと減ります。
考えてもみて下さい。1年365日の夕飯、とても大変ですね。でも、子どもが「あのね、あのね」とご飯粒を飛ばしながら、一生懸命ママやパパに話しかけてくるのは、きっとせいぜい小学校3~4年生くらいまででしょう。
だとしたら、3歳から10歳とみても、たったの8年間。夕飯の回数は、2920回です。多いと思いましたか? 確かに多いけれど、子どもの長い人生の中で数えてみたら、幼いわが子がママとパパとご飯を食べる賑やかな風景は、3000回にも満たないかもしれないのです。
思い出は今しか作れないことだから
子どもは日々成長していきます。もちろん、たまには子どもの世話に追われずに、会話を遮られずに、大人だけでゆっくり食事を楽しみたいと思うことはあるでしょう。
それでも、です。
それでも、子どもと過ごす時間は砂時計のように、少しずつ少しずつ減っていくのです。親から離れていくことが「自立」であるとすれば、それは決して間違っていないこと。
キャラクターつきのお茶碗を捨て、やがて男の子なら丼飯になるかもしれません。その丼飯も「今日、夕飯いらない、友達と食べて帰る」短いLINEのひとことで、あなたはお茶碗を棚に戻し、きれいに整った食卓を見つめて「台ぶきんを片手から離さずに、立ったまま唐揚げをほうりこんで、子どもを怒鳴り、子どものむちゃくちゃな話に笑い、ヘトヘトになりながらベッドで一緒に寝落ちしてた」日々を、あの時がきっと「わが子との蜜月期」だったと思うでしょう。
だから、どうか、今日の食卓を、夕飯を、楽しく過ごして下さい。
子育て真っ最中は、過ごす1日の貴重さがわからなくて当然だけれども、ほんの少しだけでいいから心に留めておいて下さい。大変だったことも、泣かしたことも、思わず泣きたくなったことも、わが子との思い出は、後から作ることはできないのですから。
今しかできない子どもと過ごす食卓の風景を、どうか、大切に過ごして下さいね。
文/大橋 礼
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