総合情報サイトAll Aboutで「食と健康」ガイドを務める食の専門家の南恵子さんを訪ねてさまざまな冬の養生についてのお話をうかがいました。
実は、南さんは茶道をご自宅で教える先生なのですが、取材日はちょうどお稽古日。着物をきりりと着こなして、優しく的確に……ときにはお道具の置き場所を畳の目の数で細かく丁寧に説明しておられました。指導を受ける生徒さんたちはみなさん笑顔で楽しそうにお作法に取り組まれていたのですが、私は緊張で背筋がピン!と伸びる思いでした。南さんは、何の作法も知らず……お茶やお菓子のいただき方もままならない私に「どうぞ好きになさっていいのよ」「そうね、お菓子を頂くときは、お懐紙をちょっと持ち上げて、ね」とにっこり。そんな茶の湯の世界に引き込まれながら伺った「冬の食養生」の第1回目は、特にカンタン!それでいておいしい!養生レシピを教わりました。お節料理の残りのアレやいつものコレで寒い冬の養生を始めましょう。
おせちの残りの黒豆で香ばしい黒豆茶
おせち料理の定番と言えば黒豆。この黒豆、一袋の量がとても多いと感じたことはありませんか? 煮込んだあとに豆が膨らむことを考えて「半分でいいかな」と、袋に残したままの黒豆があれば、老化や生活習慣病の予防を促す「アントシアニン」というポリフェノールの一種を、黒豆茶でおいしくカンタンに摂取することができます。さて、その気になるレシピとは……
1.15分ほど油なしのフライパンで黒豆を炒る。
2.炒った黒豆をポットや急須、湯飲みなどに入れ熱湯を注ぐ。
とてもカンタンでおいしいこの黒豆茶は、赤みがかった黒色にお湯の色が変化したタイミングが飲み頃。色の美しさに驚くだけでなく、味も香ばしくて飲みやすく、しかもノンカフェインだから、夜のくつろぎタイムにもOK。コーヒーのように睡眠に支障をきたす心配はありません。
また、黒豆茶を味わった後の黒豆は、お湯ふやけて少し柔らかくなっているため、ポリポリとそのまま食べてもおいしくいただけます。歯ごたえがあるので満足感もあり、ダイエット中のおやつにも最適。そして極めつけは「黒豆ご飯」。黒豆茶の出がらし? の黒豆をご飯と一緒に炊くことで、お赤飯のような美しい色の香ばしいご飯が味わえます。
南さんは、「炒る動作は同じなので、少し多めにいつも黒豆を炒っておいて保存容器に入れています。黒いものは昔から、体を温めると言われているので、冬の養生にはぴったりですね。」と話しながら、あっという間に黒豆茶を淹れてくださいました。
その味わいは、しっかりと炒った豆の香ばしさがありながらもまろやかで少し甘みもあり、緑茶の渋みや苦みが苦手な子どもたちでも飲みやすい、素朴なおいしさでした。
具なし味噌汁と干し野菜
次に、寒い朝、少しでも長く眠っていたいとき……手間暇をかけたくないときの朝食は? とお聞きすると、南さんは「すりおろしたショウガや山椒の風味などを加えただけの具の無いお味噌汁でも充分に温まりますよ」と、教えてくださいました。
朝にうれしいお味噌汁。食欲がなかったり、疲れ気味だったりで、朝食をとる余裕がない時には「具なし味噌汁」で温まりましょう。いつもよりもお味噌を薄めに溶いて、お茶代わりに1杯飲むと心と体に温かさとおいしさが沁みわたります。こちらも黒豆茶同様にカフェインは含まれないので、子どもも大人も朝でも夜でもおいしく飲むことができます。前日の残りのお味噌汁や時間のある時に作り置きしたものでもOKです。
さらに「干し野菜をひとつまみ加えると、簡単に汁の実となり、腹持ちも良くなります。野菜を干すと、日持ちするだけでなく、重量当たりの食物繊維が増え、風味が凝縮して美味しくなります」とのこと。
干し野菜の作り方は、冷蔵庫に残りがちな大根やにんじん、きのこ類などを、短時間で食べやすい状態に戻りやすくなるように、できるだけ細めの千切りにして、天気の良い日の風通しのよい場所に、ざるなどに並べて外で1日干しておくだけ。乾燥させておくと、ジッパー付きの袋や容器での保存が可能で、また予め千切りの状態にしてあるのでよく煮込む必要もなく、忙しいときにはぴったり。さらに特筆すべきは、その味! 実は生の野菜を煮込むよりも、うまみが増すとのこと……これは試す価値アリですね!
最後にあともう1つ、南さんのアイデアは「朝にはちょっと向かないかもしれませんが、にんにくのすりおろしを入れてもおいしくなりますよ。」とのこと。いつのも具材入りのお味噌汁に入れても、さらに具材の風味が際立つそうです!こちらもぜひ試してみてくださいね。次回は「ゆず」のカンタンレシピを2種ご紹介します。
お話を伺ったのは……南恵子さん
NR・サプリメントアドバイザー、フードコーディネーター、エコ・クッキングナビゲーター、日本茶インストラクターなどの資格取得。現在、食と健康アドバイザーとして、健康と社会に配慮した食生活の提案、レシピ提供、執筆、講演等を中心に活動。
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