介護費用は500万円!?「子どもの学費が不安。親に介護の費用負担をお願いした方がいいの?」家計のプロが回答

働く・学ぶ

stock.adobe.com
 介護費用は500万円!?「子どもの学費が不安。親に介護の費用負担をお願いした方がいいの?」家計のプロが回答

2021.05.13

家計簿・家計管理アドバイザーのあきです。気の合うお友達にもなかなか相談しにくい「お金のこと」に悩んでいる人はいませんか? 有料相談に申し込むほどではないけど、ちょっと聞いてみたいお金の疑問に、家計簿・家計管理アドバイザーがお答えいたします。

広告

「親の介護の費用負担をお願いした方がいいですか」

夫の親の介護が必要そうで、週に2、3回通うことになりそうです。買い出しや料理の作り置き、洗濯などをする予定ですが、その際の買いだしの費用や、食費、交通費などはどうすべきでしょうか。
だいたいの費用で見積もって、毎月定額でいくらかもらったほうがいいのでしょうか。それとも、実際にかかった費用でお願いすべきですか。
ただ、義理の両親の年金は少なく、そんなにもらえるかどうか怪しいです。我が家の子どもの学費分として貯めてきた分を使わなければならない可能性もあるので、困っています。

今回ご紹介するのは、「親の介護の費用負担をお願いした方がいいか」というお悩みです。

アラフォー世代は、子どもがいれば子育て真っ盛りの人が多い世代ですが、同時にそろそろ親の介護も気になり始めるころです。今回の相談者さんは、「親の介護の費用負担」について心配なご様子です。

このようなお悩みをお持ちのときには、具体的にどのような点に気を付けた方がいいのか、「生涯にわたって健全な家計管理をする」という観点から、家計簿・家計管理アドバイザーがお答えしていきます。

親の介護の費用はどれくらいかかるもの?

親の介護費用出典:www.photo-ac.com

介護保険制度により、介護サービスの自己負担は、所得に応じて1割~3割までとなっています。しかし、食費などは対象外になるなど、対象となるサービスは限定されており、介護度に応じて限度もあります。

生命保険文化センター「平成30年度生命保険に関する全国実態調査」によると、介護に要した費用(公的介護保険サービスの自己負担費用を含む)は、住宅改造や介護用ベッドの購入などの一時費用の合計が平均69万円、月々の費用が平均7.8万円となっています。

また、月々の費用の回答の中で最も多かったのは、「15万円以上」の15.8%、次いで「5万~7万5千円未満」が15.2%、「1万~2万5千円未満」が15.1%となっています。

また、同調査によれば、過去3年間に介護経験がある人に、どのくらいの期間介護を行ったのかを聞いたところ、介護を行った期間(現在介護を行っている人は、介護を始めてからの経過期間)は平均54.5カ月(4年7カ月)になっており、4年以上介護した割合も4割を超えていたそうです。

月7.8万円を54.5カ月負担すると、約425万円が必要になることになります。

住宅改造や介護用ベッドの購入などの一時費用の平均69万円を加算すると494万円となり、約500万円かかることになります。

親の介護の費用は、月数万円の人から十数万円の人まで幅広くなっていますが、平均して4年7カ月間で約500万円が必要と考えると、決して安い金額ではありません。

参考:公益財団法人 生命保険文化センター「平成30年度 生命保険に関する 全国実態調査

どうする?親の介護の費用

親の介護出典:www.photo-ac.com

上記の調査の結果の通り、親の介護の費用は決して安いものでありません。また一度負担が始まると、平均して4年以上、長ければ10年以上負担が続くことになります。

そのため、親の介護が始まった当初は「親のためだから」と善意から資金の援助などを申し出た場合でも、5年、10年と費用の負担が続き、同時に子どもの教育費の負担も増える時期が重なると、現役世代の負担が大きくなりすぎ、現役世代が破産するなど深刻な問題を抱えてしまう可能性が否定できません。結果として子どもの教育費にしわ寄せが行き、希望する進学を断念するなど、子どもの将来にも影響が出る可能性もあります。

「大切な親の介護だから」と善意でしてあげたい気持ちは分かりますが、安易な選択をすれば、自分自身が大きなトラブルに見舞われるだけでなく、子どもにまで迷惑をかけることになり、お金に関する負の連鎖が世代を超えて連なっていく原因になる可能性もあるのです。

親の介護の費用は早期にルールを決めて

親の介護費用出典:www.photo-ac.com

以上の点から、基本的には親の介護の費用は親が負担する仕組みを早期から取り入れるようにした方が良いのではないかと私は考えます。全額を親が負担することができない場合でも、できるだけ長期的に援助できる範囲で検討した方がよいでしょう。

例えば、食費については親の負担とし、レシートと合わせて都度清算するようにするが、交通費については自分たちで負担するなど、これぐらいの負担なら10年以上負担しても子どもの教育に影響が出ないと考えられる範囲で負担するように話し合うとよいのではないでしょうか。

初めは善意から費用の負担を申し出ても、のちのち支払えなくなれば、親としても子どもの援助の当てが外れることになり、親子関係においてもトラブルになりかねません。もちろん、そもそも親側に介護費用を負担できるだけの年金などの資金がない場合は、同居するなどの選択も検討する必要性があるかもしれません。

このように、親の介護は一度引き受けた後は長く続く可能性があるものですから、できる限り早期にお互いに納得できるルール作りをしておくとよいでしょう。

大切なのはルール決め

以上の点から親の介護については、できる限り早期に「ここまでは負担するがこれ以上は難しい」という話し合いをお互いにしておいた方が賢明です。

してあげたいことと、できることは別ですので、親の介護費用が青天井にならないように気をつけながら現実的にできる範囲の選択をすることが大切なのではないでしょうか。

参考にしてみてください!

広告

著者

あき

あき

東京都在住。夫、子供3人の5人家族。家計簿&家計管理アドバイザー。 節約主婦として日本テレビ「ヒルナンデス」、NHK「人生レシピ」フジテレビ「バイキング」などに出演。著書に「あきの新ズボラ家計簿(秀和システム)」他。 もともとは超がつくほどの現金主義だが、最近はほぼ全額キャッシュレス決済。ポイ活や家計簿アプリにも詳しい。

気になるタグをチェック!

saitaとは
広告