子どもが中学受験したいと言い出した!塾や私立中学に通わせられるか不安…家計管理のプロが回答します!

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 中学受験をさせても我が家の家計は大丈夫?

2021.05.24

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子どもを私立中学に進学させるとどうなる?

私立中学出典:www.photo-ac.com

まず、現在小学校5年生のお子さんが私立中学校を受験すると仮定して試算をしてみましょう。
中学受験のための塾としてよく知られている「SAPIX小学部」の公式HPより、月にかかる塾の費用を紹介します。

SAPIX2021年度授業料

小1 20,900円(年間25万800円)
小2 22,000円(年間26万4,000円)
小3 24,200円(年間29万400円)
小4 41,800円(年間50万1,600円)
小5 52,800円(年間63万3,600円)
小6 59,950円(年間71万9,400円)

こちらは月額の料金ですので、春期講習、夏期講習等の特別講習の費用、地図帳や問題集等の書籍代、3年生の後期以降に実施される公開模試の費用が別途かかります。仮に月額料金以外の費用を年間35万円と仮定してみましょう。

上のお子さんは現在5年生ということですから、5年生から塾に通うと仮定すると、おおよそ年間98万円前後の塾の費用がかかるようになります。6年生では年間106万円ほどかかります。塾にもよりますが、平均して年間100万円前後の塾の費用がかかるようになると仮定して考えてみましょう。

さらに、無事、中高一貫の私立中学校に合格したと仮定してみましょう。
文部科学省「平成30年度子どもの学習費調査」によれば、私立中学校の1年間の学習費の平均は140万6,433円です。私立中学校から私立高等学校(全日制)に進学すると、96万9,911円となります。
月にすると、私立中学校ではおよそ11万7千円、私立高等学校(全日制)ではおよそ8万円がかかります。

現在、年間100万円前後の貯蓄ができていると考えると、上のお子さんについては、中学受験のための塾に通わせ、私立中学校に入学することになっても、その他の節約を頑張ればなんとかギリギリ支払える可能性があります。

下の子も私立に行きたいと言った場合は?

しかし、問題は下のお子さんも同じように私立中学校の受験を検討した場合です。
下のお子さんは、現在小学校1年生ということですから、上のお子さんと同じく小学校5年生から同様に塾に通い始めると仮定します。

すると、下のお子さんが小学校5年生の時、上のお子さんは中学校3年生となりますから、下のお子さんの塾の費用が年間約100万円、上のお子さんの私立中学校の学費が年間約140万円の合計して年間240万円ほどの教育費の負担が生じるようになります。学費だけで平均して月20万円ほど今より支出が増えるということが想定されます。

現在、年間100万円前後の貯蓄ができていても、年間140万円ほど赤字になることが想定されます。今から数年以内にご夫婦の手取り年収が年間140万円、月11.7万円ほど上昇する見込みがあれば問題ありませんが、見込みがない場合は非常に苦しい家計になることが予測されます。

また、頑張って手取り年収を上げても、高等学校等就学支援金の対象外となると、上のお子さんが高校生の時の学費の負担が減りませんので、下のお子さんが私立中学校1年生の時、上のお子さんが私立高校2年生となった場合は、私立中学校の学費140万円と私立高校の学費約97万円がかかると考えると、年間の学費は237万円となります。

800万円の貯蓄では全く足りない!?

さらに、上のお子さんが私立大学に進学したと仮定しましょう。

文部科学省「私立大学等の平成30年度入学者に係る学生納付金等調査結果について」によれば、私立大学の学習費は平均で133万6,033円(授業料90万4,146円、入学金(初年度)24万9,985円、施設整備費18万1,902円)です。月にするとおよそ11万1千円になります。

上のお子さんが大学1年生の時、下のお子さんは中学校3年生、私立大学の費用年間約134万円と、私立中学校の費用年間約140万円がかかると考えると、年間274万円、月約23万円ほど学費がかかることになります。

上のお子さんも下のお子さんも私立を希望した場合は、平均的な学費をもとにして考えると、下のお子さんが小学校5年生になる4年後前後から、上のお子さんが大学を卒業するまでのおおよそ8年間、年間240万円前後の学費が毎年かかると想定されます。

仮に、現在と収入がほとんど変わらなかったと仮定すると、現在800万円ほど貯蓄があるということですが、年間140万円の赤字が8年間、合計1120万円でることになりますから、800万円の貯蓄では全く足りません。今からしっかり節約をしたうえで、「貯蓄性のある保険の返戻金」、「就学支援金」、東京都の「私立高等学校等特別奨学金」などを利用することで、なんとか支払えるかどうかということろではないかと推測されます。

現在賃貸住宅ということですから、将来的にマイホームを購入すると仮定した場合は、現在の貯蓄も頭金や引っ越しのための費用でなくなる可能性が高く、あまりあてにはできない状況と考えられます。学費の赤字がそのままローンや奨学金として残る可能性もあります。

もちろん、今回の試算は、平均を用いましたので、塾の費用を抑える、学費のあまりかからない私立を選択するなどにより、貯蓄を崩さなくても私立に通わせることが十分可能な場合もあります。ぜひ希望する進学先や塾の費用をもとに再計算されてみてください。

参考:文部科学省「平成30年度子どもの学習費調査」、「私立大学等の平成30年度入学者に係る学生納付金等調査結果について」、「高等学校等就学支援金制度」

学費はいくらが妥当?

以上の点から考えると、現在の収入と貯蓄額では、よほど学費のかからない私立や塾を選択しない限り、お子さん2人が私立中学、私立高校、私立大学と進学することはやや難しい状況と考えられます。お子さん1人だけなら、多少苦しくはなりますが、なんとか可能な範囲かもしれません。

上記の文部科学省「平成30年度子どもの学習費調査」によると、公立中学校でも平均して48万8,397円、公立高等学校(全日制) でも45万7,380円がかかるということですから、お子さん2人が公立の中学校や高校に入学したとしても、年間約95万円かかります。公立を選んでも、現在より月約8万円前後は支出が増えることが想定されますので、現在の年間貯蓄額が100万円前後と考えると、一般的な公立中学校と公立高校に入学した場合でも、お子さん2人が中学生、高校生になる頃にはほとんど貯蓄のできない家計に転落すると考えられます。

数年内に収入がどれくらい増えているか、公立とあまり変わらない程度の学費で済むような私立があるのかどうか、今からどれくらい節約ができるのかなど確認してから、検討してみてはいかがでしょうか。

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著者

あき

あき

東京都在住。夫、子供3人の5人家族。家計簿&家計管理アドバイザー。 節約主婦として日本テレビ「ヒルナンデス」、NHK「人生レシピ」フジテレビ「バイキング」などに出演。著書に「あきの新ズボラ家計簿(秀和システム)」他。 もともとは超がつくほどの現金主義だが、最近はほぼ全額キャッシュレス決済。ポイ活や家計簿アプリにも詳しい。

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