教えてくれた人
花王株式会社 生活者情報開発部 多邊田 美香さん
生活情報サイト「くらしの研究」編集担当。研究や商品開発で、長年培った知見を生活者目線でわかりやすく配信している。
子ども服に多い汚れはなぜ落ちにくいの?
Tシャツにケチャップやミートソースのシミがついたり、部活後の靴下が土ぼこりで真っ黒になっていたり。洗濯前の子ども服を手に、思わずため息が出たことがある方もいるのではないでしょうか。そもそも子ども服の汚れは、なぜ簡単に落ちないのでしょうか?
多邊田さん「大人の衣服につく汚れは、からだから出る汗や皮脂汚れが中心で、普通に洗濯すれば落ちるものがほとんどです。一方、子どもの衣服には、思いもよらない食べこぼしや土・泥汚れがつくことがあり、洗濯機洗いだけでは落ちきらないことがあります。
こうしたガンコな汚れには、洗濯機に入れる前の『前処理』が大切です。前処理である程度処理してから洗うと、汚れ落ちが格段に変わりますよ!」
食べこぼしにおすすめ!「前処理」のポイント
食べものを服にこぼしてしまったら、次のように対応しましょう。早めの対処がポイントです。
食べこぼし汚れは「つまんでとる」
子どもが食べものを服にこぼすと、つい慌てて汚れをゴシゴシ拭き取りたくなりますが、食べこぼしをこするのはNG!
多邊田さん「食べこぼしをこすると、繊維の中に汚れを押し込んでしまいます。外出先で汚れはこすらず、固形物などがあればつまむようにして取り除きましょう」
おしぼりで拭かない
多邊田さん「業務用のおしぼりには、衛生を保つために塩素系漂白剤を使用していることがあり、衣服をこすると生地の傷みや変色につながることがあります。ティッシュや手持ちのタオルなどを使い、汚れや水気を取ります。さらに近くに洗面所などがあれば、ティッシュやタオルなどに少量のハンドソープを付け、汚れを押さえるようになじませて移し取ることをくり返し応急処置をしておくとよいでしょう」
酸素系漂白剤を汚れに直接塗布する
多邊田さん「家に帰ったら、汚れているところに液体酸素系漂白剤を直接塗布しましょう。汚れに直接つけることで、ダイレクトにはたらきます。そのあとすぐに洗濯機に入れて、洗濯用洗剤で洗濯しましょう。ハイターなどの塩素系漂白剤は白無地専用ですが、ワイドハイターなどの酸素系漂白剤は白物も色柄物にも使えます。酸素系漂白剤には頑固な汚れに向いた粉末タイプのあるので、場合によって使い分けましょう」
泥汚れは「見極め」が肝心!
では、部活や外遊びなどでついた泥汚れには、どう対処したらいいのでしょうか? 多邊田さんは、「乾いた泥汚れと、濡れた泥汚れでは、汚れへのアプローチの仕方が大きく異なります。ここを意識するだけでも、汚れ落ちが変わってきますよ」と話します。詳しい対処のコツは次のとおりです。
乾いている泥汚れは、手で払ってできるだけ取り除く
多邊田さん「乾いた泥や砂の汚れは、細かい粒が衣服に付着したり、繊維の中に入っている状態です。乾いた泥や砂は、濡らす前に手で払ったりたたいたりして、表面に付いた汚れをできるだけ取り除いておきましょう。そうすれば泥汚れを広げずに他の洗濯物と一緒に洗うことができます」
濡れた泥汚れは、乾かさずに洗う
一方、濡れた泥汚れの場合、乾かしてから洗うのはNG!
多邊田さん「乾くと汚れと繊維の結びつきが強くなってますます落ちにくくなります。液体洗剤を直塗りしてもみ洗いするか、酸素系漂白剤と洗濯洗剤でつけ置きしてから洗濯機で洗いましょう」
つけ置き後の水は使わず、新しい水で洗濯する
多邊田さん「つけ置き後の水には砂や泥汚れが残っています。ほかの衣類へ汚れがうつらないように、軽く水分を切ってから新しい水で洗濯しましょう」
粉末洗剤を使用する
多邊田さん「子ども服の汚れが気になるという方は、洗浄成分が多い『粉末洗剤』を使うのもひとつの方法です。『アタック高浸透リセットパワー』には酸素系漂白剤も入っていて体操服や靴下の手ごわい汚れから黄ばみまで、つけ置き洗いがこれ1つで完結します。つけ置き洗いの時は、通常の5倍くらいの洗剤の濃度で、洗剤成分が効きやすい30~40℃にすると効果的。ここぞというときの切り札におすすめです」
「前処理」の方法を知っていれば、汚れ落ちも洗う私たちの気持ちもグンと変わるはず。ぜひお試しを!