皆さんのお子さんは、手先は器用な方ですか? 私の子どもはとにかく手先が不器用で困っています。手先が器用な人もいれば不器用な人もいる。個性として受け止めるしかないのかと思っていたのですが、極端な不器用さは、もしかすると「発達性協調運動障害」かもしれないのです。
靴紐がすぐほどける、ハサミでまっすぐ切れない。とにかく不器用なわが子
靴紐が結べないし、結べてもすぐほどける。シャツのボタンを留めるだけに相当な労力と時間を費やす。「それぐらいならうちの子もだよ!」とお思いになるかもしれません。しかしこの状態はどんなに特訓しても改善されることはありませんでした。息子の不器用さは日常生活でもたびたび支障をきたす程なのです。
あまりの不器用さに「おかしいな」と思い始め、調べていく中でたどり着いた答えが「発達性協調運動障害」だったのです。
「発達性協調運動障害」とは
発達性協調運動障害(DCD)とは、麻痺や神経学的な異常がないにもかかわらず、日常生活に支障が出てしまうぐらいの不器用さのため、困難を抱える障害なのだそうです。
息子の主治医の話によると、発達性協調運動障害は、発達障害(ADHD)や学習障害(LD)、自閉症スペクトラム障害と併発することが多いのだそうです。
「発達性協調運動障害」のわが子のために、私がやった2つのサポート
日常的に不器用なわが子。作業療法士さんなどの専門家のサポートを受ける選択肢もあるようですが、自分たちでできることはないかと日々考えました。その中から子どもに喜ばれた2つのサポートをご紹介します。
1.靴紐は結ばないタイプに変える
学校で使用する運動靴。とにかく紐がほどけることに息子は困っていました。練習しても結べない、結べてもすぐほどけてしまう。そこで私は結ばないでいいタイプの靴紐をさがすことにしたのです。
ゴムで長さを調整できる結ばないタイプの靴紐は、ネットショップですぐに見つかりました。最初のセッティングだけ私が協力し、調整だけ息子本人にやってもらうことに。
高校に入学してから使用を開始し2年目になります。息子は靴紐に手をわずらわせることがなくなったことを今でも感謝してくれます。
2.シャツのボタンは途中まで留めておけば時間短縮に
指先などの小さな筋肉を動かして行なう「微細運動(巧緻運動)」も発達性協調運動障害の息子は苦手なことが多く、特に困っていたのが制服のシャツのボタンを留めることでした。
ボタンを上手に留められないせいで、朝の身支度や体育の着替えに手間取ってしまうのです。だったら、あらかじめボタンを途中まで留めておけばいいのではないかと考えました。
その場ですべてのボタンを留めるには時間がかかります。でもシャツを頭から被り上の2~3個だけ留めるのであれば時短になるのではと思ったのです。これはかなり効果があったらしく、朝の身支度の時間は格段に短くなりました。あまりにも快適なので、学校でも同じようにしているのだそうです。
克服することを無理強いせず、工夫で乗り切れることを教えてあげよう
わが家ではできないことをできるようにするための代用品探しが日常的に行なわれています。もちろん物だけではなく、代替できるやり方探しもです。いいやり方が見つかれば息子と2人で検証し、内容によっては学校に使用許可をもらうことも珍しくありません。
できないことをできるようになろうと努力することは大切ですが、何度やってもできなくてツラい思いをしているかもしれません。だったら代替品を使う、やり方を工夫することで、困難を乗り切れることもあるのだと周囲の人が教えてあげられるといいですね。