「感覚過敏」「感覚鈍麻」という言葉を聞いたことはありますか? これら2つは発達障害の人が抱えている「五感」に関する困りごとです。感覚過敏は五感が敏感になってしまい、感覚鈍麻は逆に五感が鈍感になってしまう特性だと言われています。どのように敏感・鈍感になるかは個人差が大きいことから、周囲の理解を得ることが難しいことも多いようです。
強い日差しや照明をとにかくまぶしがる息子
小さい頃からまぶしい日差しや光が苦手だった息子。しかし日差しやライトの光がまぶしいことは誰しも同じだろうと思った私は、息子の抱えている本当のしんどさに気づいてあげられませんでした。
息子は慢性的なアレルギー性結膜炎なため、「過剰にまぶしがるのは結膜炎のせいでは?」と私は思い込んでいたのです。
なぜなら、過去にかかりつけの眼科で角膜炎・結膜炎などで目に炎症が起こっていると、まぶしく感じたり見えにくく感じたりすることがあると聞いたことがあったからです。「結膜炎のせいで過敏にまぶしさを感じているのかもね。仕方ないね」などと親子で話していたこともありました。
親子で同じものを見ていても見え方が違う……じつは「視覚過敏」だった!?
息子がまぶしさに苦しんでいることに気づいていても、どうすることもできないまま数年が経過していました。
ある日外出先で、息子が突然「うわっ!」と叫び、苦しそうに目を閉じて「まぶしい!」と言い出したのです。しかし隣を歩いている私にはまったくといっていいほどまぶしさを感じるものはなく、どうしていいかわからず困惑するばかりでした。
息子が目も開けられないほどまぶしいと感じていたのは、地面一面に敷かれた正方形の白いタイルでした。目も開けられないほどのまぶしさに、息子はパニックを起こしかけていたのです。
これが息子の「感覚過敏」による「視覚過敏」に気がついたきっかけでした。
「感覚過敏」「感覚鈍麻」は人によって異なる
感覚過敏・感覚鈍麻の症状は個人差が大きいと言われています。しかも何を敏感に感じ、何に鈍感になってしまうのか、そのときになってみないとわからないのです。お子さんの場合、うまく伝えられないことなどもあり、周囲の人やご家族ですら気づかない、理解できないケースも珍しくありません。
「視覚過敏」の困りごと一例
視覚過敏の困りごとの一例として、以下のようなことがあげられます。
・太陽の日差しがまぶしくて目が開けられない
・黒板に書かれた文字が色によって見えない
・白い紙に印刷された文字が読めない
・電球の光がまぶし過ぎて吐き気がする
私の息子は、学校でよく使われる「更紙(わら半紙)」に印刷された文字が読み取れないという困りごとを抱えていました。逆に白い紙だと大丈夫だったため、本当に個人差があるのだと思い知らされました。
まぶしがる・見えないなどの困りごとへの対処法
感覚過敏や感覚鈍麻に対する対処法は、原因を取り除いたり、離れたり避けたりすることが有効な手段と言われています。
わが家の場合は、登下校時の日差しに苦しんでいたので、学校へ日傘や帽子の使用許可をもらいました。ほかにも印刷物のフォントを少し大きくしてもらったり、文字間隔を広げてもらったりなどもお願いしています。
地面の模様や何かの反射などで目が開けられないときは、まぶしくて目が開けられないことを私や周囲の人にすぐ伝えるように言ってあります。助けを求めなければ、まぶしくて目も開けられず、その場から立ち去ることも難しいからです。
親子で困りごとを解消するための工夫を話し合おう
感覚過敏・感覚鈍麻の困りごとを解決するためには、自分とは違う感覚や感じ方があることを認め、知ろうとすることから始まるのではないでしょうか。
お子さんが発しているサインに気がついたら、そのときがチャンスです。どのように感じているのか、困っているのかを聞き出してあげてください。話し合いを重ね、わが子の困りごとを少しでも解消できる方法はないか、ぜひ一緒に探してみてください。