発達障害のわが子の問題行動、どうすれば解決できる?
発達障害のお子さんの言動・行動・特性は個人差が大きいことから、親が子どものためにと考えた接し方が功を奏さないこともあるでしょう。わが子によかれと思って接した行動が思うような結果につながらないと、「育てにくい子」だと諦めてしまうのかもしれません。
子ども側もさまざまな理由や思いを抱えていることでしょう。恐らく気持ちをうまく伝えられないことにも苦しんでいるかもしれません。親も子も少しでも楽になるためには、いかにして理由を聞き出し・見つけ出し、解決へつなげるかが鍵を握ります。
困りごと(問題行動)に隠された理由を見つける2つの接し方
決まったタイミングで不機嫌になる、暴れる、きょうだいに意地悪をするなど、日々の生活のなかで起こる問題行動。わが子が問題行動を起こしてしまう理由を見つけるためにやってほしい2つの接し方を紹介します。
静かな落ち着いた場所で親子ふたりだけで話をする
泣いたり暴れたりと、激しい問題行動を起こしている場合、とにかく落ち着かせることが先決です。その場で叱りつけたり説得をおこなったりすることは避けるほうがいいでしょう。
なんとかしてお子さんを静かな落ち着ける場所に移動させ、親子ふたりだけで話せる機会を作ってあげてください。環境を変えることでも気分転換になり落ち着くこともありますし、親子ふたりだけになることで子どもは周りの目を気にしないでいいという安心感が得られるでしょう。
ふたりだけになったら、お子さんが落ち着くのを待って話しかけてみてください。原因をさぐるのではなく、「どうしたの?」とお子さんの気持ちを聞き出すことからはじめるといいでしょう。叱ったり言い聞かせたりすることは後にして、今はお子さんのガス抜きをするべく、お子さんの気持ちに寄り添い話を聞いてあげるだけで大丈夫です。
面と向かわず、目が合わなくてもいい状況を作る
話をするとき、目と目を合わせて話すことに重要性を見出してしまうかもしれません。しかし親子での話し合いのときには、あまり意識しないようにしてあげてください。
自分の気持をうまく表現できず、伝えられず爆発してしまった子どもに、冷静に相手の顔を見る余裕はありませんし、目を見て話すことも難しいでしょう。このようなことは、発達障害をもたないお子さんでも同様かもしれません。気持ちを伝えることが苦手な発達障害のお子さんならなおさらでしょう。
相手の顔や目を見て話すことを強要してしまうと、怖くて言葉がでなくなったり、本当の気持ちを隠してしまったりするかもしれません。相手の目を見ない、顔を見ないことで、逆に落ちついて話せると考えてみてはいかがでしょう。
積み重ねていくことで0が1に変化することを信じよう
精一杯の愛情を注ぎ、さまざまな働きかけをしていても問題行動が減らないと嘆くのはやめませんか? 愛情の有無と問題行動が起こることは別次元の問題だと割り切らなければ、親も子もずっと苦しいままになってしまいます。
お子さんは今まで愛情を注いで関わってきてもらえたからこそ、親にわかってもらいたいと問題行動を起こしてしまうではないでしょうか。意思の疎通が苦手な子どもたちですから、問題解決に時間がかかることを受け入れてあげることが大切です。少しずつ重ねた親子のコミュニケーションが0を1に変える瞬間がきっと訪れます。0が1に変わることは素晴らしいことだと信じて、お子さんの心に寄り添える接し方を試していきましょう。
日本小児科学会認定小児科専門医/日本小児精神神経学会所属/2001年自治医科大学卒業
三重県立総合医療センター、国立病院機構三重病院、国立病院機構三重中央医療センター、公立紀南病院、伊勢赤十字病院
2011年すずきこどもクリニック開院し、現在に至る。