発達障害をもつ子どもたちの困りごととして、人と人との関わり方の難しさがよくあげられます。家族や家族以外、集団生活の中などで身につけていく人と人とが関わっていくために必要な技術や能力を、発達障害の子どもたちは自然と身につけることが難しいのかもしれません。子どもたちが、社会の中で少しでもスムーズに暮らしていくために、SST(ソーシャルスキルトレーニング)をはじめてみませんか?
SST(ソーシャルスキルトレーニング)とは
SSTとは「ソーシャルスキルトレーニング」の略称です。対人関係や社会生活を送る上で必要となる技術や能力のことをソーシャルスキルといい、療育などさまざまな機関で取り入れられています。人との関わり方の流れを教えたり、実際の状況を想定したロールプレイをおこなったりすることで、人と人との関わり方を身に着けていくトレーニングです。
親子でやってみよう!はじめてのSST
発達支援の子どもたちへのトレーニングと聞くと、専門的な知識がないとできないと思うかもしれません。しかしSSTは家庭でもできることがたくさんあります。
筆者に何ができるかを考えたどり着いたのは、コミュニケーションの基本となる「あいさつ」でした。
「おはよう」
「ありがとう」
「ごめんなさい」
発達障害の子どもたちは、いつどこで、どのようなタイミングで、どのようなあいさつをすればいいか迷うこともあるようです。恥ずかしくて口に出せないとか、無表情のままあいさつをしてしまうなどもあり、相手に悪い印象を与えてしまうケースも出てくるかもしれません。
日常でできるSSTとして提案したい「あいさつ」の練習。親子でできるはじめてのSSTとしてぜひ挑戦してみてください!
ママがお手本!あいさつのやりかたを実践してみよう
発達障害の子どもへ、適切なタイミングに適切なあいさつができるよう身につけてもらうためには、ママたちからの積極的なアプローチが重要です。
朝起きて顔を見たら「おはよう!」
家を出るときには「いってきます」
何かをしてもらったら「ありがとう」
ママからわが子へどんどんあいさつをしてみてください。繰り返し自分に向けられるあいさつを体感していくことで、あいさつが当たり前の行為なのだと知ってもらいましょう!
あいさつをする・されると気持ちがいい・うれしいを教える
筆者がわが子にあいさつをするときは、声のトーンや表情にも意識をするようにしていました。
ただ口に出して言うだけではなく、あいさつをすると気持ちがいい、あいさつをされても気持ちがいいのだと、わが子に知ってもらいたかったからです。
「ありがとう」というときはしっかり子どもの顔を見る。顔が見えなくても玄関まで届くような元気な明るい声で「おかえり」と言う。このようなことを繰り返していくことで、子どもが筆者の真似をするようになっていきました。
ムリに笑顔を作る必要はないと思います。声のトーンは少し高めにしてもいいかもしれません。自分がされて気持ちがいい、うれしいと感じるあいさつを子どもにするだけでいいんですよね。
あいさつの「強要」はしないようにしよう
ママの方から頑張ってあいさつをしても、無反応だったり満足の行く反応が返ってこなかったりになるかもしれません。たとえ上手にあいさつが返せなくても決して怒らないであげてください。
子どもたちはどのように反応していいのかわからず戸惑っているのかもしれません。もしかすると心の中で静かに学習をしている最中かもしれないのです。
「あいさつしなさい!」ではなく、「こういうときありがとうって言われたらママはうれしいなあ」など、あいさつをする・されることで得られるメリットを繰り返し伝えてあげるといいかもしれません。
むずかしく考えず「あいさつ」からはじめてみよう
あいさつは単純な言葉のやり取りのような気もしますが、表情や声のトーンが少し変わるだけで伝わり方が変化しますよね。だからこそ、さまざまな状況の中で日常的にトレーニングをおこない、積み重ねていくことが大切なのかもしれません。
あまり難しく考えず、最初は「あいさつをする」「あいさつを返す」ができるようになることを目指してみてください!