「離婚」するなら知っておきたい。ごまかさない方がいい“子どもへの伝え方”

家族・人間関係

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 「離婚」するなら知っておきたい。ごまかさない方がいい“子どもへの伝え方”

2023.08.13

臨床心理士・公認心理師のyukoです。夫婦の3組に1組が離婚する時代。とはいえ、子どもがいるとすぐに離婚に踏み切れない方は多いようです。また離婚すると決めても、どういう風に子どもに伝えればよいかわからず、うやむやにする方もいます。子どもにどんな風に話していけばよいのか。離婚した親の子どもの声や、時代の変化を踏まえながら考えていきます。

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離婚した親の子はかわいそう?

数十年前から「3組に1組の夫婦は離婚している」と言われ、令和3年のデータによると離婚している夫婦の6割には未成年の子どもがいると示されています。

離婚は珍しいものではなく、ひとつの選択肢にすぎないといえそうですね。

また、「離婚した親の子はかわいそうか」という疑問に対する答えはもちろんNo。
誰かの価値観や判断で決められるものではないですし、家庭環境や子どもの性格、出来事の受け止め方は人それぞれだからです。

離婚夫婦出典:stock.adobe.com

ただ、子どもに対しての愛情深い親御さんの中には離婚の影響を考えて踏み切りにくい方も多いよう。
離婚を考えているときに知っておきたい子どもとの話し方を考えていきます。

子どもに離婚を伝えるとき、伝えたあとの留意点

「まだ早いから」と伏せたり嘘をついたりしない

もちろん幼い子どもに事実を伝えるのは酷と考える方は多いと思いますし、全てを包み隠さず話すのがよいケースばかりではありません。

ですが、離婚した親の子にはこんな本音もあるようです。

自分だけが蚊帳の外で、何が起きているのかわからず、余計に孤独だった。

「まだ早いから」と子ども扱いして説明してこない一方で、“事情を察して何も言うな”と大人な対応を求められている気がした。

祖母から「パパは遠いところに行った」と聞かされ、心のどこかで待っていたのに、のちに離婚と知らされて戸惑った。親から本当のことを聞きたかった。

悲しむ少女出典:stock.adobe.com

特に一世代上の方の中には離婚を嫌厭し、子どもに事実を伝えるのをよしとしない方もいます。
しかし離婚が珍しくないものになった今、事実を子どもにわかる言葉で伝える方が推奨されます。

  • 「一緒に暮らす中で喧嘩が多くなってきて、ママもパパも離れて暮らす方がいいかなって思うようになった。」
  • 「○○(子ども)とママ・パパの関係は今までと変わらない。会う日や週に何回会うかは話し合って決めていきたい。」
  • 「ママもパパも〇〇を大切に思う気持ちはずっと一緒。別々に暮らすけど、みんなにとってよい形を見つけていきたいんだけど、一緒に考えてくれるかな。」

夫婦間で勝手に決められて振り回されたと感じさせるのではなく、家族の一員として頼りにしていることを伝えるのも大切です。

極端な結論にまとめないようにする

夫婦のどちらかに非がある場合、感情的に説明してしまうときも多いです。

  • パパのせいで家族が一緒にいられなくなっちゃったんだ。
  • ママに嫌われちゃったから、パパはここにいられないんだ。
  • ママとパパは二度と会わないから。

夫婦出典:stock.adobe.com

親であっても人間なので、怒りや悲しみをもつのは当然ですが、子どもの前ではできるかぎり冷静でいたいものです。

「~のせい」と言われたとき、両親のどちらも好きな子どもは「自分のせい」と捉えることもあります。
親が極端な結論を伝えると、子どもも極端な解釈をしてしまうんですね。

白黒はっきりつけた伝え方は楽ですが、時間をかけて複雑な事実を伝えていく方が、この先の関係性にとってはよいです。

「不在を埋めるための依存」に注意する

離婚して環境が変わった後から表れやすいのが「不在を埋めるための依存」。

例えば仲がよい子に執着しやすくなったり、ゲームや動画から離れられなくなったり。
思春期になると恋人に依存しやすくなる子もいます。

また、親自身の不安や寂しさが「子どもに寂しい思いをさせてはいけない」という解釈にすり替わり、子どもに依存しやすくなるときがあります。

ぽっかりとあいた穴をすぐに埋めるのは難しいですが、何かに依存しやすい時期だと理解し、依存先を複数持っておくのが大切です。

例えば、祖父母を頼る頻度を増やす、友人と会う機会を増やす、子どもと「今までと違ってちょっと寂しくなった?」など言葉にして気持ちを共有するなど。
無意識に依存してしまうのではなく、「寂しさを埋めようとしている自分」に気がついておくのが第一です。

家族出典:stock.adobe.com

離婚するかしないかは「右に行くか左に行くか」といった、進路変更のひとつという捉え方もあります。
ただその中で考えておきたいのは、子どもへの「伝え方」と「その後の関わり方」。
進むべき道の中での最善策を、親子で一緒に見つけていけるといいですよね。

参考資料:
内閣府男女共同参画局「結婚と家族をめぐるデータ」
https://www.gender.go.jp/kaigi/kento/Marriage-Family/5th/pdf/1.pdf

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著者

yuko

yuko

臨床心理士・公認心理師。現在は小児の総合医療センターと大学の心理教育相談センターにて勤務。児童期から思春期の子どもへのカウンセリングやプレイセラピー、子育てに悩む保護者の方への育児相談を専門にしています。色彩心理学やカラーコーディネートについても学んでおります。

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