物価上昇に追い付かない私たちの「賃金」の実態 <お金のプロが解説>

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 物価上昇に追い付かない私たちの「賃金」の実態 <お金のプロが解説>

2023.08.20

日本では、昨年から物価高が続いています。物価が上がった場合でも、私たちの賃金も同じように上がっていけば、家計が苦しくなることはありません。しかし、賃金の上昇が物価高に追い付いていないのが現状です。今回は、物価と賃金の関係を分かりやすく説明します。収入を上げる方法も一緒に考えていきましょう。

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物価と賃金の関係

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日本では昨年から物価高が続いています。ロシアによるウクライナ侵攻や円安の影響により、食料品やガソリン、電気代など様々なものが値上げされています。

一般的に物価高になったとしても、同じように私たちの賃金が上がり、収入がアップしていれば生活が大きく変わることはありません。しかし、現在のところ物価高にも関わらずもらえる賃金が大きく増えていません。そのため、生活が経済的にに苦しいと感じている人もいるでしょう。

物価と賃金の関係を調べるためには、「名目賃金」「実質賃金」という指標をチェックする必要があります。名目賃金は、私たちがもらっている賃金を単純に数値化したものです。お給与が増えれば名目賃金は上がります。

一方、物価を考慮し、実際のところ、私たちの賃金がどのように変化してるかを知ることができるものが「実質賃金」です。例えば、物価が5%上がっているのに、賃金が3%しか上がっていなかった場合、名目賃金は3%のプラスとなりますが、実質賃金はマイナスとなります。実質賃金がマイナスの時は、物価高に私たちの賃金が追い付いていないという状態となります。

最新の実質賃金は?

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厚生労働省が2023年8月8日発表した2023年6月分の毎月勤労統計調査(速報)によると、物価の影響を考慮した1人あたりの「実質賃金」は前年同月より1.6%減っていることが分かりました。実質賃金は、ここ15カ月連続で減少しています。

2023年6月は、春闘での賃上げが反映されたことなどの影響で、「名目賃金」は増えています。しかし、実質賃金は引き続きマイナスとなっており、賃金が、物価の伸びに追いつかない状態が続いていることが分かります。

収入を増やすにはどうしたらいいの?

今回の物価高はロシアによるウクライナ侵攻の影響が大きく、急激に起こりました。そのため、長期的な視点で見ると今後私たちの賃金は物価に追い付き、実質賃金もプラスになっていくと考えられます。しかし、現在の生活が経済的に苦しいと感じている家庭の場合、収入アップを検討する必要があるでしょう。

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早急に収入を増やすためには、副職をしたり、パートで働き始めることなどが有効です。もちろん、転職することで収入アップを目指すこともできますが、転職活動は数か月時間がかかるケースも多く、すぐに収入アップにつながりにくいというデメリットがあります。そのため、まずは今の仕事を続けながら、家計の収入を増やすことができないか、家族で検討してみると良いでしょう。

まとめ

今回は、「名目賃金」と「実質賃金」という少し難しい言葉が出てきましたが、これらは、物価と私たちの賃金の関係を知るために、ぜひ覚えておきたい指標です。

ニュースや新聞にも登場する機会があると思うので、今後はぜひその推移に注目してみましょう。そして、私たちの賃金が物価高に追い付くまでは、まだ時間がかかると考えられます。今回ご紹介した内容を参考にしながら、引き続き収入アップを目指し、しっかりと家計管理を行っていきましょう。

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著者

下中英恵

下中英恵

東京都出身。2008年慶應義塾大学商学部卒業後、三菱UFJメリルリンチPB証券株式会社に入社。富裕層向け資産運用業務に従事した後、米国ボストンにおいて、ファイナンシャルプランナーとして活動。現在は日本において、資産運用・保険・税制等、多様なテーマについて、金融記事の執筆活動を行っています。

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