「浮かない・目立たない・迷惑をかけない」が美徳
周囲になじめないと「浮いている」と言われ、場に合った振る舞いができないと「空気が読めない」といわれる。
そのような日本の社会においては、周囲と合わせて、自分の個性や苦手を隠す人も多いでしょう。
特に発達障がいをもつ子は、自身の特性を「カモフラージュ」をして振舞い、ストレスを感じやすいといわれています。
発達障がいの子はどんな「カモフラージュ」によって、辛くなってしまうのでしょうか。
発達障がいの子が頑張りやすい「カモフラージュ」
興味関心を周囲と合わせる
コアな昆虫が好きだったり、小さいころからずっと同じものを気に入っていたり、電車そのものより車輪の動き方に夢中だったり。
発達障がいをもつ子は、周囲とは異なる好みをもつことも多いです。
しかし、「変だと思われるよ」と言われたり、周囲の冷ややかな視線を気にする中で、自分の‟好き”をカモフラージュしやすくなるんです。
思ったことを言えなくなる
発達障がいをもつ子の中には複数で会話しているときにそれぞれの主張や気持ちを理解したり、あいまいなニュアンスを汲み取りにくい子がいます。
ですが、会話の中での失敗が積み重なっていくと、「自分が何か言ったら話を止めてしまう」「今、何を言うのが正解なのかわからない」と感じてしまうように。
そして次第に、主張を控えてやり過ごすようになってしまうんですね。
嫌われないキャラクターを作り出す
個性を否定的に捉えられてしまうと、‟自分はどんなキャラクターであれば受け入れられるか”を考えるようになってきます。
「目立たずにいるための方法」や「嫌われないための振舞い方」など、‟何をしたいか”ではなく、‟何をすべきか”で考える癖が身についていくんですね。
本当の自分を隠し続けると、抑うつ的になってしまう子も多いです。
思春期特有のアイデンティティ形成の迷いなのか、無理を頑張ってカモフラージュしているのか、周囲が気づいてあげられるといいですよね。
社会よりも親が厳しくなってしまう
親は「社会に出たとき苦労するから」「社会は厳しい荒波だから」と心配しやすいもの。
たしかに働き始めると、結果だけを見られたり、苦手さを理解してくれない人がいたり、冷たく当たられるときもあります。
子どもにそんな辛い思いをしてほしくないと思う親心は、胸が痛くなるほどわかります。
しかし、万人に好かれるように振舞う、空気を読む・行間を理解する、相手の気持ちを察することが何よりも負担になってしまうんです。
「親が求める社会スキル」を身に着けようと頑張りすぎて心が折れてしまう子もいます。
ときには、「現実に求められる社会スキル」を捉えなおすことも大切です。
例えば、
- 「自分には難しい」と伝えると同時に、「代わりにできること」もセットで相手に伝える。
- 人を頼ったとき、失敗したあとは、すぐに謝罪やお礼を言うようにする。
- どうしても理解してくれない人、お互い苦手な人とは一定の距離を保てるようにする。
苦手を克服するよりも、苦手と付き合っていく術を身に着けていく方が生きやすくなるコツなんですね。
集団生活を重んじられる学校生活より、働く場所を選べる仕事生活の方が楽だと感じる方も多いです。
「その子らしく過ごせる場所」を見つけていけるといいですよね。