教えてくれたのは……浅川ふみさん
衣料洗剤の製造販売やクリーニングを手がける、株式会社ハッシュの代表取締役。創業62年のクリーニング専門店の3代目でもある。今までにない新商品を開発し、「洗濯を通じて新しいライフスタイルを提案」している。(第35回大田区中小企業新商品コンクール受賞)(国家資格クリーニング師)
冬物のニットを長持ちさせる「洗濯方法」と「保管方法」
普段使いのニットは自宅で気軽に洗えると便利ですよね。しかしニットの洗濯は一般的に難しいイメージがあり、生地を傷めたり縮んでしまうなどの失敗を不安に感じている方も多いのではないでしょうか。
ここでは、冬服(セーター、ニットなど厚手の素材)の正しい洗濯方法と、寿命を縮めてしまうような間違った洗濯方法、さらに保管方法について、浅川さんに教えていただきます。
ニットを長持ちさせる洗濯方法
- デリケートな衣類が洗える専用の「中性洗剤」を使う。
- 色落ち、色移りのリスクが高まるので温水ではなく冷水で、ソフトに短時間で洗う。
- 洗剤を多めに使うと衣類に洗剤カスが残り繊維を傷めるため、洗剤の使用量を控えめにする。
- 可能であれば手洗い、または裏返して洗濯ネットに入れて洗う。
- 脱水時は摩擦によって毛玉になったり生地が固くなるので、強く絞らずに優しく絞ってから干す。
ニットの寿命を縮める間違った洗濯方法
- ニット同士をゴシゴシ擦り合わせてしまうと、毛玉ができたり、フェルトのようになって縮んで固くなるので注意。
- ニットが伸びて型崩れするので、洗濯機の脱水を使う場合は10秒ほどにする。
厚手の冬服の正しい保管方法
- 洗濯だけでは落ち切っていないシミが残っていないか、よく確認する。
- 汚れは時間が経てば経つほど落ちにくくなってしまうため、保管前にしっかり処理する。
- 洗濯後は湿気がたまることやカビを予防するため、風通しの良い場所にしばらく干しておくなど完全に乾燥させてから収納する。
- なるべく通気性のよい場所に衣類用の収納袋やボックスなどを使い、折り畳んで収納する。
- ハンガーにかけて長期間保管する場合、特にニットやコートなどは形崩れに注意が必要。
- 防虫剤はクローゼット内に置くタイプだけではなく、収納袋やボックスの中に入れる。
ジーンズ、デニム生地の正しい「洗濯方法」
では次に、ジーンズやデニム生地を長持ちさせる正しい洗濯方法と、間違った洗濯方法についてうかがいます。
デニムの正しい洗濯方法
- 洗う前に裏返して、表面の摩擦を最小限に抑える。
- 洗濯機手洗いともに冷水を使用し、色褪せを抑える。
- 洗濯機で洗う場合はデリケートモードを選択し、洗濯後は陰干しで自然乾燥、ピンチハンガーや洗濯バサミをつかって裾から逆さに吊り干しにすると、自重でシワが伸びやすい。
デニムの寿命を縮める間違った洗濯方法
- 頻繁に洗濯するのは避ける。
- 強めに洗ったり、洗浄力の強い洗剤を使うと、色や質感を損ねてしまう可能性がある。
- 漂白剤はデニムの色抜け、生地を傷めてしまうので使用を控える。
- 乾燥機にかけたり直射日光の下で乾かすと生地の縮み、色褪せの原因になる。
間違いがちな「洗濯方法」
洗濯は毎日欠かせない家事のひとつですが、正しい洗濯方法を知らないという方は意外に多いのではないでしょうか? これまで当たり前のように行ってきたことが、じつは間違ったやり方かもしれません。
ここでは、”間違いがちな洗濯方法”について教えていただきます。
洗濯用洗剤はたくさん入れればそれだけ汚れがよく落ちると思われがちですが、適正な量を超えると十分にすすぎきれず、衣類に洗剤カスが残留してしまいます。
その洗剤カスによってアレルギーを引き起こす可能性があるので、注意が必要です。
洗濯洗剤には「アルカリ性」と「中性」の2種類の成分があります。
シャツやタオル等、汚れが気になる物は「アルカリ性」。ブラウスやデニム等おしゃれ着は「中性」の洗剤を選びましょう。
次回は「家庭で洗ってはいけない衣類と、禁止の理由」について教えていただきます。