教えてくれたのは……マインドトレーナー 田中よしこさん
株式会社コレット代表取締役。心理学・脳科学、コーチングの知見を取り入れ、「自分を本当に知る」ことをメソッド化。個人セッションやセミナーなどを中心に、潜在意識を整え、本心と「未来の理想の思考」を引き出す方法を伝えている。著書に『自分の気持ちがわからない沼から抜け出したい』(KADOKAWA)がある。
イライラしてしまう意外な「5つの原因」
日々の生活の中で、些細なことにイライラしてしまうことはありませんか? 忙しいときに限って、飲み物をこぼしてしまったり、探し物が見つからなかったり。
そんなときに気持ちを切り替え、習慣自体を変えてイライラを減らしてしまえば、毎日がもっと過ごしやすく、良い運も味方してくれるかもしれません。
イライラしてしまう意外な原因を心理学の観点からお届けします。
1.常に「期待している思考」になっている
私たちの脳は、無意識のうちに「期待」しながら動いてしまいます。人間関係では、接触頻度が高い人ほど期待値が高まってしまう傾向に。
家族やパートナーには「これくらい察してほしい」、同僚には「これくらい動いて当たり前」など、さまざまな期待をもちやすいのではないでしょうか。期待と現実にギャップが出ると、がっかりしてイライラが発動してしまうのです。
解消法
相手に期待していることを自分の中で確認したら、それを言葉で伝える練習をしましょう。
例えば、家族への期待として「洗い物くらいしてくれてもいいのに」「これくらい言わなくてもわかってよ」など、一緒にいる時間が長いと“察してほしい”という思いが出ますよね。
ですが、自分以外はみんな他人。きちんと口に出してお願いする習慣を身に付けると、イライラする回数は減っていきます。
実は、口に出すには一度考える必要があるので「伝える=自分が思っていることを整理する行為」でもあります。面倒だと感じてしまうかもしれませんが、習慣化すると慣れていきますし、人間関係も円滑に進められます。新しい思考パターンとして、ぜひ取り入れましょう。
2.コミュニケーション不足=解釈のズレがある
イライラした相手の言動が、実は自分が受け取ったものとは全く異なる意図をもっていることもあります。
コミュニケーション不足は、お互いの解釈にズレがある状態も多いのです。相手を嫌いになったり、物事がうまく進められない状態が誤解によるものだったら、もったいないと思いませんか?
解消法
相手の言動にイライラしたときは、「こういった解釈でいいですか?」「本当にそういう意味で言われましたか?」と確認できるとよいと思います。直接聞くのが難しい場合は、第三者の意見を求めるのも解決方法のひとつです。
私の相談者さまの事例でも、誤解が解けて仲良くなったケースはたくさんあります。直接話すこと、確認することは、対人関係のイライラ解消にはとても有益です。
3.自分を見つめる時間が不足している
イライラが止まらない人のほぼ全員が自覚しているのが、自分の時間や気持ちに余裕がなくなっている状態です。
イライラは、自分自身の心の内側に原因があることもあります。疲れていたり、ストレス解消ができていないときは、誰しもが些細なことでイライラしてしまうものです。
解消法
そんなときは、自分のスケジュール帳やスマホのカレンダーを開いてみてください。
後回しにしていること、急ぎでないものはいつ処理するのか、必要ないのに頑張っているものがないのかをチェックしてみましょう。
好きなものに没頭する時間をつくる、好きな場所で休憩するだけで、十分なストレス解消になります。
ある私の相談者さまは、自分が何にイライラしているのかを丁寧に確認すると、 家が散らかっていることだと分かりました。
そこで、ゆっくりする時間をまずは片づけに使いました。キレイになった部屋でゆっくり過ごせるようになると、わざわざステキなカフェに行かなくても十分に穏やかな毎日を過ごせるようになったのです。彼女の後回しにしていることは、 “片づけ”だったのです。
自分を見つめる、マイナス感情を確認する時間は一番のポイントです。ぜひ試してみてください。
4.環境に影響を受けている
周囲の環境に影響を受けている人もいます。
例えば、自分のスペースを広めに確保したい人にとっては、混雑する環境下だと他の人よりも何倍もストレスを感じていたり、騒音がイライラさせていたりする場合があります。
解消法
環境要因は自分で選択できるものもあるので、この機会に見直してみましょう。
私の相談者さまの事例では、検証した結果、朝の通勤がストレスになっていることが分かりました。
リモートワークを増やす、出勤日はラッシュ時間をさけて早めの電車に切り替える工夫をしたところ、本人が思った以上に穏やかな毎日を過ごせるようになり、仕事まで楽しくなったそうです。
環境が自分に与えている影響も、改めて確認してみましょう。
5.ネガティブな思考パターンを放置している
ここまでお伝えしてきたように、イライラを放置してしまっていると、無意識に我慢を重ねる選択をします。すると、「このままイライラはなくならない」「自分では対処できない」と感じてしまい、不安やイライラがますます大きくなる負の循環になってしまうのです。この状態だと副交感神経が休まらないので、ネガティブ感情がより大きくなってしまいます。
解消法
“できることを自分で見つけ、対処していく“。これは、イライラの改善だけではなく自信も育てられる生き方です。放置するのではなく、ひとつずつ対処していく思考パターンを身につけていきましょう。