気づかぬうちに“モンペ化”してない?「受験期の親」が陥りがちなネガティブ思考の対処法

家族・人間関係

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2025.01.21

臨床心理士・公認心理師のyukoです。受験期になると、わが子の担任に皮肉を言ったり、学校にクレームを入れるなど、焦る気持ちからモンペ化(モンスターペアレント化)してしまう親が増えるといいます。子どもの受験と学校、そして親自身の気持ちとの付き合い方を考えていきます。

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水を差してくる担任にイライラ

1月に入り、入試当日まであとわずか。小6のわが子も本気モードになり、家の中も受験一色に。そんな中、担任の先生からは「学校は極力休まないでください」との通達が。インフルエンザなどの感染症も流行っている中、登校させようだなんて。子どもの受験を応援してくれていないのだろうか。つい感情的になり、強い口調で学校にクレームを入れてしまった。

悩む母親出典:stock.adobe.com

受験を控えたこの時期は、試験を受ける子ども以上に親がピリピリしやすくなります。
そんな中、家庭の考え・塾や予備校の方針・学校の指導にずれが生じると、これまで以上に感情的になりやすく、学校に強くあたってしまうケースも。
受験に関するエキスパートは塾や予備校と考え、頼りにしている家庭が多いゆえ、家庭+塾VS学校という構図になりやすいんですね。
受験までの時期、学校とのやり取りではどんな点に注意すべきか、陥りやすいネガティブな気持ちを考えていきます。

なぜモンペ化しやすくなる?

普段は穏やかで、学校の対応に不満も抱いていない方がこの時期モンペ化(モンスターペアレント化)してしまうのはなぜなのでしょうか。

ひとつは、焦っている中で、決断や選択を否定された気持ちになってしまい、余裕がなくなり教員と対立してしまうケースがあげられます。
高校受験の場合は進学先や志望校に、学校の教員が関与する場合も多いですよね。
「今のご様子では〇〇(志望校)は難しいのではないでしょうか」などと言われたとき、親の考えとは異なると「あなたに何がわかるんですか?」と苛立ってしまいます。
第三者の意見として耳に入れる余裕がないと、学校や教員を”敵”と思いやすくなるようです。

学生と母親出典:stock.adobe.com

もうひとつは、緊張の糸が張っている中で「余計な口出しをしないで!」と感じたとき、学校や教員に強く圧をかけやすくなるよう。
子どものやる気をそがないでほしい、子どもに水を差さないでほしいという思いから、親の考えと異なる意見に躍起になってしまうんですね。
特に親子の距離が近い方は、より感情的になるので要注意。

どちらにせよ、「余裕がないとき」+「思惑や予定と異なる指摘を受けた」際に、学校に対して感情的になりやすいと考えられます。

余裕がなくなっているとき、どうすればよい?

第一に、自分がいる状況と気持ちの変化をしっかり捉えておくのが大切です。
人は普段と異なる状況におかれたとき、本来の性格や情緒ではいられなくなるもの。
子どもに目がいきがちですが、親自身の変化やパターンを知っておくのも重要なんですね。

例えば、「緊張」を例に挙げても、表に出る症状は人それぞれ。
ピンと張り詰めた緊張感から、不安を感じて検索魔になったり、ぼんやりしやすくなる方がいれば、些細な刺激に対して反応してしまい苛立つ人もいます。
睡眠が浅くなり、視野や物事の捉え方が狭くなったり、感情のコントロールがききにくくなる方も。

イライラする女性出典:stock.adobe.com

余裕がなくなったときに自分がどうなるタイプであるかを今一度考え、冷静に分析するのが大切です。

教員との無用な衝突を避けるためには、教員への視点を改めるのも重要。
「教師は特別な職業」「わが子の希望を支持すべき存在」とどこかで感じていると、仕事なんだから何を言われても仕方ないだろう、生徒の志望校を否定するなんてありえないなど、感情をぶつける対象となってしまいます。
中には、「先生はこの大学の入試問題解けるんですか?」など皮肉をぶつける方もいるといいます。

教師も一人の人間であり、一意見として生徒への助言をしていること、ときにその助言は親が求めているものとは異なることを頭の片隅においておく必要があります。
「そういう考えもあるんだな」と思えるくらいの心の余裕を残しておきつつ、学校や教員と円滑なコミュニケーションをはかっていけるとよいですよね。

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著者

yuko

yuko

臨床心理士・公認心理師。現在は小児の総合医療センターと大学の心理教育相談センターにて勤務。児童期から思春期の子どもへのカウンセリングやプレイセラピー、子育てに悩む保護者の方への育児相談を専門にしています。色彩心理学やカラーコーディネートについても学んでおります。

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