教えてくれたのは……株式会社ウィザス 樋浦さん
高校大学事業、学習塾事業、グローバル事業、能力開発・キャリア支援事業を展開。第一ゼミナール・第一学院を運営している。“社会で活躍できる人づくり”を実現できる最高の教育機関をめざすというコーポレートビジョンを掲げている。
焦りや不安を感じている受験生をもつ「親の心構え」
受験が近づくにつれ、子どもの様子を心配する親は多いと思います。どのような心構えや配慮をもって、受験生に接するとよいのでしょうか。そのポイントを教えていただきました。
樋浦さん「受験が近づくと、子どもが緊張や焦りから情緒不安定になることはよくあります。そんなときこそ、親は普段通りの言動を心がけ、必要以上に入試を意識させないようにすることが大切です。
親としては励ましの言葉をかけたいと思うものですが、あれこれと言いすぎると逆にプレッシャーを与え、子どもの不安を増幅させる可能性があります。その結果、睡眠不足や体調不良を招くことにもつながりかねません。」
ポイントは「子どもが安心して集中できる環境」をつくること
樋浦さん「親自身が落ち着いてドンと構え、『大丈夫』『気持ちを楽にして』といった短く安心感を与える言葉をかけるようにしましょう。また、焦りを感じている場合は、入試までの学習計画を一緒に立て、目の前の課題に集中できるようサポートしてください。計画を着実に進めることで、子ども自身が落ち着きを取り戻し、最後まで前向きに取り組めるようになります。親の安定した態度と適切な支援が、子どもの不安を和らげる大きな力になります。」
受験期に成績が伸びる子どもの特徴とは
樋浦さんによると、受験期に成績が伸びる子どもには、普段の生活や学習の中で“自分で考え、自分で決める”経験を積み重ねてきたという共通点があるとのこと。子どもが受験期に力を発揮できるように、親も日頃から意識するとよいことがあるそうですよ。
樋浦さん「受験期に成績が伸びる子どもたちは、自分で目標を設定し、自分の状況を把握し、適切な学習方法を選ぶ力を持っています。目標は、『〇〇中学・〇〇高校に合格したい』というような大きなものだけでなく、『今から60分間集中して勉強する』『明日のテストで満点を取る』といった日常的なものも含まれます。こうした目標を立てることで、自分自身の学びを具体的に進めていくことができます。
学習方法についても、試行錯誤を重ねる中で自分に合った方法を見つけ、選択していくことが、主体的な学びにつながります。また、勉強の意義や目的を親子で話し合うことは、子どもの意識を高め、成長を後押しします。日頃から“自分で考える”経験を積むことが、受験期に力を発揮する土台となるのです。」
子どもを大切に思うがあまり、親目線で「こうしたほうがよい」「こうするべき」と決めてしまいがちですが、子どもが自分で考える力をつけるためのサポートが必要なのですね。よりよい親子関係を築きながら、目標に向かって一歩ずつ歩んでいけることを願っています。