虫歯菌がうつるってどういうこと?
生まれたばかりの赤ちゃんのお口の中に虫歯菌(ミュータンス菌)はいません。では虫歯菌はどこからやってくるのでしょうか?ほとんどの場合、お母さんや身近な大人からうつってしまうのです。
1歳半から2歳7か月くらいまでの期間を「感染の窓」と呼び、とくにこの期間は周囲の大人からの感染に注意が必要です。虫歯菌に感染する時期が遅いほど虫歯の発生が予防できます。では、どういう習慣で虫歯菌がうつってしまうのか、詳しく見ていきましょう。
1:スプーンやフォーク、食器の共有
大人のご飯から子どもの分を取り分けて食べるのはよくあることですが、大人が食べた食器から直接食べさせたり、大人が使ったスプーンやフォークをそのまま使って子どもに食べさせると、虫歯菌が子どもにうつってしまいます。
取り分けをするときは、必ず最初に子どもの食器に子どもの分をうつしてから、大人と別のきれいなスプーンやフォークで食べさせましょう。コップや水筒も大人と子供をきっちり分けて。
また、虫歯菌の感染とは別に、お母さんが第二子以降を妊娠している場合、スプーンやフォークの共有で子どもからサイトメガウィルスに感染してしまうことがあります。お母さんがこのウィルスに感染すると、胎児に感染してしまい、障害を持って生まれてしまうことがあります。そういう意味でも、妊娠中のお母さんは自分と胎児を守るためにも気を付けましょう。
2:親が食べ物をかみ砕いてから子どもにあげること
硬い食べ物を子どもが食べやすいようにと大人が噛み砕いてからあげてしまうと、唾液を介して虫歯菌が子どもにうつってしまいます。大人が噛み砕かなくても食べられるように子どもの月齢に合った硬さの食べ物を選ぶか、調理法を工夫しましょう。
3:食べ物を「ふーふー」してからあげること
熱い食べ物を冷ますためについついやってしまいがちな「ふーふー」。でもこれも虫歯菌をうつす原因となってしまいます。ふーふーではなく別のお椀に少量ずつうつしてあげるなどして、温度を冷ましてあげましょう。
4:こどもの口にキスすること
大好きな我が子。可愛くて、見ているとついつい口に「チュッ!」としたくなってしまいますね。でも残念ながらこれも虫歯菌をうつす原因となってしまいます。
神経質になりすぎないことも大切!
自分が気を付けていても親族がふーふーしてしまったり、他人がチュッとしてしまったり、思わぬアクシデントは起こるもの。そんな時は神経質になりすぎないことも大切です。
虫歯菌に感染したから絶対虫歯になるのではなく間食の質や量、唾液の質によって虫歯のなりやすさは違いますし、歯みがきや歯医者さんでの定期的なケアでも虫歯を予防することができます。
もう一つ重要なのが、周りの大人も口腔ケアに気を遣うこと。歯みがきをして、定期健診を受け、虫歯は治しておきましょう。大人がきれいな口腔環境を保てば子どもへの感染リスクを減らすことができます。
周りの大人みんなで口腔ケアに気を付けて正しい知識を身に着け、子どもを虫歯菌から守りましょう!
文/澤田史子(歯科医師。ブリティッシュコロンビア大学歯学部勤務後、愛知学院大学 高齢者歯科学 非常勤助教を勤める)
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