頭のいい子に育てたいなら…料理のお手伝いで手先を使わせよう!【キッズ食育トレーナーに学ぶvol.2】

家族・人間関係

2019.06.30

「私は不器用だから、手先が器用な子に育てたいわ」と思うママやパパもいるでしょう。じつは指先から脳につながる神経細胞は大変多く「手は第二の脳」とも言われています。
器用な子は頭が良くなる!? そんな噂を耳にすれば、親としては大変興味のあるところです。

今回は食育トレーナー爲我井先生に「食育の実践法・手先が器用になるポイント」を教えて頂きました。

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Point1:「ピーマンの種をとる」など、調理することは手先を動かすこと

「ピーマンの種をきれいにとる」これも子どもにとっては指先を使うトレーニングになる

指先をたくさん使うことは、神経の発達や脳への刺激となり、子どもの成長を促します。

「調理をするということは、とにかく手先、指先を使います。教室ではピーマンのみじん切りをしました。まずピーマンの種をとりましたよね? ピーマンを片手に持ち、種をかきだすのだって、手と指を使う作業です。その種を集める、集めるって簡単そうですが、手先を上手に使わないとできないことですよ」

取材をした青空キッチンでは、子ども達がピーマンの種をあちこちに飛ばし、笑い声を響かせながら一生懸命に調理していました。取った種を捨てるために、ひとつずつ種をつまむ子もいれば、両手でかき集めている子もいました。それぞれが考えながら、つまり、思考と行動をつなぐ訓練が自然とできていることになります。

「ご家庭では、ママやパパがお料理をする時に、簡単なことでもお子さんに一緒にやってもらいましょう」

空豆をサヤから出す、とうもろこしの皮をむく。ハンバーグのタネを混ぜてもらう。先生は次々と例を出してくれました。教室で行っていたように、半分に切ったピーマンを渡して「種をとってもらう」だけでもいいですね。

大人は当たり前のようにしているので意識していませんが、ピーマンの種をとる、それだけでも、子どもは指や手をいろいろと工夫して使います。

Point2:切る・包む・拭くだけじゃない!さまざまな場面で手や指を使う

お食事するテーブルを拭くのも「手と指を使う」お手伝いです!

教室では、お当番の女の子が食事をするテーブルを拭いていました。それがとても真剣な表情で、大変な集中力なんです。

「布巾を渡してテーブルを拭いてもらうのでも、もちろん、いいんですよ。でも、楽しくお手伝いしてもらうことを考えてみて下さい。お子さんは、とにかくシュッシュッってやるのが好きなんですよね」

「食卓用のアルコールとか売ってますよね? あれをシュッシュしてもらい、布巾で拭いてもらっています」

片手でシュッとやって、片手に持った布巾で力強く拭いています。

「それぞれのお子さんの個性が出ますよ。最初にちょっとママがお手本を見せれば、きっと喜んでシュッシュッしてくれます」

これもまた、手を動かす、指先を使う作業です。調理は、何も包丁で切ることばかりではありません。残った野菜をラップに包んで冷蔵庫にいれることも「手先を使う」作業です。箸を引き出しから出すことも、テーブルに並べることもそうです。

ポイント1もポイント2も、簡単なことです。でも、考えてみて下さい。今の子どもたちは、手を使う機会がどんどん少なくなっています。だって、明かりをつけるのでさえ「電気をつけて」と言えば、パッとついちゃうんですから。ゲームでは、使うのはボタンを押す指だけです。

ひねったり、つまんだり、押したり、引っ張ったり、ぎゅっと握ったり優しくつかんだり、手と指を様々に使うには、調理は絶好の機会なんですね。

Point3:卵割りという難しい作業にもチャレンジ!失敗を恐れず楽しく親子で調理しよう

卵を割るのは難しい!子どもの集中力が高まる瞬間です

「例えば、卵を割るというのは最初とても難しい作業です。教え方としては、卵をコンコンしてね、それから両方の指で卵をおさえてごらん、この辺りはママが後ろから手を添えてあげると最初はいいかもしれません。卵を割るのは難しいので、わたしも失敗すること、ありますよ」

「卵を割るという作業は、本当に手と指を駆使して行うことです。だから、ママが手伝って割れたら大成功だし、もしお子さんがやってグシャッとなってしまってもいいんです。そこで怒ってしまえば、子どもは嫌気がさしてしまいます。目玉焼きの予定だったら、かき混ぜて卵焼きにすればいいだけなんですから。その時、ボウルに入ってしまった卵の殻があれば、殻をつまみ出すのだって、指先に神経を集中させないとできませんよ。つまり、失敗ではなく、別の体験をするチャンスということです」

爲我井先生は、調理の間、子ども達の小さな失敗を決して怒ることはありませんでした。ある子が卵を割るのがうまくいかず、ボウルではなく、まな板の上にポチャンと落としてしまった時もおおらかに笑いながら「だったらほら、こうして卵をボウルに入れようか!」と促しました。その子は先生と一緒にまな板の卵をボウルに上手に移すと、パッと笑顔になりました。

「3歳のお子さんにとっては鉛筆を握るのもとても大変なことです。でも、鉛筆なんて誰でも握れるだろうと思い込んでいるので、なんでウチの子はできないの? となってしまいます。違います! 3歳のお子さんにとっては、鉛筆だって重いし、握るのが難しい。ピーマンの種をとるのだって、大人ならピュッと片手で器用にひっぱるだけですよね。でも、その〝器用にひっぱる〟ことは、今日昨日に覚えたことではなく、毎日の暮らしの中で自然と身についた器用さです。おウチでも、一緒にお料理をする、食卓の準備をする、その積み重ねで手先の器用さが伸びるのです」

「子どもは同じ事の繰り返しだと飽きてしまいますから、時々、ちょっといつもより難しいことにチャレンジさせてあげたり、他のお手伝いをしてもらったりしましょう。そして、たくさん褒めてあげて下さいね」

怒るのではなく褒める。できなかった、ではなく、できるように助ける。そして「できた」ことを親子で一緒に喜ぶ。子育ての基本が、食育の中に見えた瞬間でした。

手先を動かす「調理体験」で子どもの頭はフル回転

「ひとつまみ」で使う指を先生と確認!〝つまむ〟ことも手先が器用になるレッスンのひとつ

「料理のお手伝いでは、ただ手先を使うのではなく、注意深く、集中して行うことになります。しかも、ママやパパと一緒に一品を料理する場合、段取りを考えたり、ゴミを増やさないようにしたり、どうしたらきれいに切れるかと考えたり、お子さんの頭の中はフル回転します」

手先を使う作業は、ぼーっとしていられません。小さな子どもにとっては、ピーマンの種をとるのでも「ピーマンは緑色だ」「こんな小さな種がいっぱい入っている」「種を早くきれいに取るにはどうしたらいいのかな」と考えます。手で種をまとめてひっぱり、ピーマンが裂けてしまったりすれば、今度は子どもなりに「指先でつまんでみよう」「少しずつとってみようかな」と口にしなくても、頭の中で様々なアイデアを生み出します。

手遊びトレーニングの動画を観ながらマネしなくても、知育玩具を揃えなくても、キッチンは「子どもの運動能力・判断力・コミュニケーション能力」を伸ばす宝庫です。もったいない! ここで紹介したように「テーブルを拭く」でもいいんです、生活の中で「手先を器用にする」たくさんの作業をして、より多くの刺激と体験をさせてあげて下さい。

教えてくれたのは・・・

爲我井あゆみ先生

私たちは思っている以上に手先を使う機会を失っています。でも、子ども達の成長に「手や指先を使う」ことは、脳の活性化や発達を促すといった面以上に「生活できる力」ひいては「人間力」を養うためにも必要です。頭が良くなるかどうかは別にしても、手や指をたくさん使えば、自然と器用な子になるはず。ぜひ、小さなヒントを参考にして、ご家庭でもチャレンジして下さいね。

爲我井あゆみ
(社)日本キッズ食育協会 理事 
キッズ食育チーフトレーナー 

幼稚園教諭を経て、2014年6月代表理事の榊原と共に子どものための食育スクール青空キッチン本部スクールを開校。2015年5月(社)日本キッズ食育協会設立青空キッチンは、現在全国に40店舗あり、楽しみながら食の大切さを伝え、食を通して学校、家庭に次ぐ第三の教育の場を提供している。

青空キッチンカリキュラム制作、キッズ食育トレーナー養成講座開講、保育園での出張食育レッスンやイベント登壇、コラム執筆、子どもと食のプロとして子どもの頃からの食育=キッズ食育の普及に励んでいる。

青空キッチン

「食育トレーナーに学ぶ」vol.3では、子どもの好き嫌い克服法について、爲我井先生に教えて頂きます。お子さんの偏食&好き嫌いに悩んでいるママ・パパは必見です!

vol.1はこちらから
料理をすることは、国語、算数、理科…の学習につながっている【キッズ食育トレーナーに学ぶvol.1】

文/大橋礼

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