ちゃんと暮らしていけるなら、ニートや引きこもりも悪くない!【脳科学者に聞いた!vol.105】

ライフスタイル

2020.02.14

世間で問題とされている、ニートや引きこもり。でも、ちゃんと暮らしていけるなら、それは、「好きなことだけで生きていく」理想の生き方なのかも…?

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好きなことだけで生きていくなら、ニートや引きこもりでもかまわない

 他者のことを判断したり、評価したりするのではなく、自分の考えと戦略によって、「自分の幸せ」に集中していく――。そんな生き方ができれば、おのずと「うまくやっているように見える人」のことは、気にもならなくなるでしょう。
 たとえば、いま世間ではニートや引きこもりなどが問題とされています。でも、引きこもっていても仕事はオンラインでできるし、実際にかなり稼いでいるニートもいます。つまり、これもみんなとちがう働き方や振る舞いをしていることで責められる現象なのかなと感じます。
 堀江貴文(ほりえたかふみ)さんが「好きなことだけで生きていける」といっていますが、わたしは「ニートや引きこもりって、その先駆者では?」と感じるのです。なぜなら、嫌な人とかかわらず、自分が好きなことだけをして生きているわけだから。
 そんな人たちはこれからも増えていくでしょうし、本人もまわりも困っておらず、ちゃんと暮らしていけるのなら別に悪いことでもありません。そもそも、仕事はどんどん機械に置き換わっていきます。
 ニートと呼ばれる人の多くは、わたしと同じくらいの世代です。社会に出るときに就職氷河期で、いわば社会の「大縄跳び」の最初でつまずき、「会社には入らなくていいや」となった人たち。そんな人たちが、戦後はじめてわたしの世代で登場しました。「明日は今日よりも暗い」、そんな時代の洗礼を浴びたはじめての世代だったのです。
 背景には、小泉(こいずみ)改革や新自由主義の波をもろに被(かぶ)って、それまで中流だった人が突然「負け組」にされたことがあります。そのとき「自己責任だ」と責められたものですが、単に構造改革の波を被っただけ。
 なにも彼らが自己評価を落とす必要などないのです。

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中野信子(なかの・のぶこ)
脳科学者、医学博士、認知科学者。横浜市立大学、東日本国際大学などで教鞭を執る。脳科学や心理学をテーマに研究や執筆活動を行うほか、その知見を生かしてテレビや雑誌でも活躍。社会問題やビジネス、カルチャーなど、幅広い分野を、科学の視点で読み解く語り口が人気。

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