48歳、子育て卒業を目前にした時短料理研究家が「おかあさんやめてみた」をやってみた話

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2020.08.16

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これまでやってきたことに疑問を覚えた

早速わたしは、朝ごはんを作るのをやめてみた。「毎日3食のごはんを作るのに疲れた」とのぼやきが友人たちからもSNSからも聞こえだした頃。ほんとに3食作らなくちゃいけないの? という疑問を持ったのがきっかけだ。
3食も作る必要があるの? しかもそれって、お母さんがすることなの?

「朝ごはん、適当に食べたいもの作ってね」と試しに言ってみたところ、非日常の緊張を感じとった子どもたちはあっさり素直に状況を受け入れ、卵焼きを作ったりソーセージを焼いたりするようになった。よしよし、サバイバル計画、進んでいるぞ。朝ごはんをやめたついでに、ときには昼ごはんを作るのもやめた。お風呂を洗うのもやめた。日によっては、晩ごはんを心配することさえも。だって4人も家にいて、みんな時間があるんだから、できる人がやればいいじゃない? 

ごはん作りは子どもたちに任せたり、夫がやってくれたり、とゆるゆると進んだお籠りヨット生活では、昼まで誰も起きてこない日があったり、みんなでインスタントラーメンをすする昼ごはんの日があったり、晩ごはんにはかんたんな鍋料理が何日も続いたりもした。正直、コロナ以前ならば、こんな生活していていいんだろうかと躊躇するような毎日だったけれど、でもそれで十分に暮らせるし、実はほとんど何も困らないんだ、と思えるくらいにリラックスできるようになった。そうして、子どもに生活力をつけさせるべく鍛えているようなフリをしながら、ちゃっかりわたしは「ちゃんとしたお母さんであろうとすること」をやめた。

「私が頑張らなくても、全然大丈夫だったわ」

子どもたちと一緒になって動画を見たり本を読んだりしてダラダラし、家事は適当にみんなに押しつけ、「晩ごはん、どうする〜?」と人任せなことを言うようになったわたしに「ママ、ごはん作って」とか「ここが散らかってるよ」なんて文句は誰も言わず、黙って自分でやるか、あるいは見て見ないふりをするようになった。なんだ、わたしが一所懸命に生活を整えたり、ごはんを作ったりして頑張らなくてもぜんぜん大丈夫だったわ。彼らは、新しい状況を受け止め切り抜けるたくましさを、しっかり身に着けていたのだ。

もちろん、子どもたちはまだまだ掃除がきちんとできるわけでもなく、買い物もおつかい程度しかできない。それでも彼らは、ちょいちょいの家事はできるようになった。そして、日々インターネットやSNSを通じて驚くばかりの量の情報に接し、会えない友だちともLINE電話やInstagramなどあらゆる方法を駆使して日々交流し、新しい生活に見事に順応していった。それはもう、昭和生まれの親には眩しいほどに。

ヨット生活3ヶ月は、そんな暮らしぶりと成長を間近で眺めることができた奇跡のような時間でもあった。彼らはすっかり、守り導くべきわたしの子どもではなく、おもろくて頼れるわたしの仲間になっていた。

プロフィール:田内しょうこ
「働くママの時短おさんどん料理」「育休復帰のためのキッチンづくり」「忙しいワーキングマザーのための料理」「子育て料理」をテーマに、書籍や雑誌、ウェブサイトで発信。出張教室やセミナーのほか、食と子育て関連の情報発信を行う。著書に『時短料理のきほん』(草思社)、『働くおうちの親子ごはん』(英治出版)、『「今日も、ごはん作らなきゃ」のため息がふっとぶ本』(主婦の友)などがある。
ブログ:働くおうちの親子ごはん!

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