自分たちに合った家計管理のタイプはどれ?
「共働きといってもさまざまなかたちがあるように、共働きの家計も共働き家庭の数だけあると言いきってしまってもよいほど千差万別です。そのなかで、『共働きの家計管理のしかた』にフォーカスすれば、大きく分けて、4タイプに分類できます。何よりも大切なのは、”自分たちの場合はどのタイプの家計管理がぴったりフィットするのか?”です。どのタイプにも、メリット・デメリットがあります。そして、どのタイプでも(1)家計がしっかり把握できて、(2)必要な資産作りがしっかりできること。この2点さえクリアできていればよいのです。そのうえで、自分たちが日々を快適にストレスなく過ごせることがポイントです」と福島さんと江尻さん。
共働き夫婦の家計管理のしかたは大きく分けて4つ。以下、この4つのタイプについて解説していきます。4つのうちどのタイプが自分たちに合っているかが見つかれば、「家計管理はなにから始めればいいの?」という悩みも解消できそうですね!
なお、福島さんと江尻さんによれば「自分たちに合った家計管理のタイプさえ選べれば、共働きの家計管理はその時点で成功したも同然」なのだそうですよ。
あなたはどのタイプ?共働き夫婦の家計管理
共働き夫婦の家計管理のタイプは、画像の通り以下の4つに分かれているそうです。
・タイプA オールオープンタイプ
・タイプB(1) 収入シークレット/共通財布タイプ
・タイプB(2) 収入シークレット/支出分担タイプ
・タイプC ワンオペタイプ
4つの共働き夫婦の家計管理のタイプについて、それぞれ詳しく解説していきますね。
タイプA オールオープンタイプ
「タイプA オールオープンタイプ」とは、「すべてが2人の共有。支出も収入もオール合算」のタイプのこと。
それぞれの収入額、支出額だけでなく、それらの中身すべてを共有していきます。
例えば、収入の手取り月額が、夫25万円、妻18万円なら、合わせて月の手取り収入は43万円。その中から家庭全体で必要なものや夫婦それぞれで使う分を支出し、貯蓄も行っていきます。収入も支出もオープンになるため、隠し事はなしというオープンな夫婦などに向いています。
このタイプのメリット
世帯のお金の状況をシンプルに把握しやすい。
このタイプのデメリット
何に使ったか報告したりレシートなどを出したりすることを面倒がる人がいると、結局は家計の全貌が把握しづらく穴ができがち。
このタイプの貯蓄必勝法
お互いに「収入の額や支出の額をオープンにしても大丈夫」と言う夫婦なら、オールオープンタイプで家計管理をするのがオススメです。お互いに見えない支出を減らすことで、無駄遣いがしにくくなる効果もありそうです。貯蓄額も夫婦で共有すれば、自分たちのライフプランに合わせて、あとどれくらいのお金を準備していけばよいのかといった将来の目標も立てやすくなります。
タイプB(1) 収入シークレット/共通財布タイプ
「タイプB(1) 収入シークレット/共通財布タイプ」とは、「お互いの収入は明らかにせずに共通の財布をつくる」のタイプのこと。
夫婦の収入をお互いに見せ合わずに、それぞれが自分の収支を管理していき、共同で使う部分のみ一定額を出し合って夫婦で管理していきます。具体的には、あらかじめ一定の額をお互いに収入の中から出し合って共通財布を作り、そこから共同で支出するお金、例えば食費や水道光熱費などを出し合います。共通財布に同じ金額ずつを出し合う「共通財布イーブン型」と、共通財布にあらかじめ決めた「割合」ずつを出し合う「共通財布ポーション型」に分かれます。
このタイプのメリット
収入や自分だけで使うお金の使いみちをお互いにシークレットにできる。共同で使う家計用のお金とプライベートのお金を分けてそれぞれが管理するスタイルなので、家計のお金のやりくりについては夫婦で共有しつつも、プライベートなお金についての余計な詮索を防止できる。また、定額で共通財布に出し合っていくため、お金の管理のペースをつかみやすい。
このタイプのデメリット
それぞれいくらずつ負担するのか決めるための話し合いが必要。そもそも共通財布にどれくらいの金額を入れるべきかが分からないと負担割合も決まらない。
このタイプの貯蓄必勝法
まずは、共通財布から貯蓄していくのか、プライベートな部分からそれぞれ貯蓄するのか、あるいはその併用でいくのかを最初にしっかり決めておきましょう。教育費や住宅購入費などの共同で使うお金は共通財布からの貯蓄がベストです。
タイプB(2) 収入シークレット/支出分担タイプ
「タイプB(2) 収入シークレット/支出分担タイプ」とは、「お互いの収入は明らかにせずに支出だけ分担する」のタイプのこと。
夫婦の収入をお互いに見せ合わずに、それぞれが自分の収支を管理していきながら、実際に使った支出について分担を決めて負担していきます。夫が家賃や住宅ローン返済と水道光熱費を負担し、妻は食費と日用雑貨費を負担するなどの「費目を決めて分担型」と、その月の支出が合計30万円だとすれば、その30万円を決めた割合で負担し合う「家計の支出額を割合で分担型」のタイプに分かれます。
このタイプのメリット
収入や自分だけで使うお金の使いみちをお互いにシークレットにできるので、プライベートな部分を保てる。共通で使う支出だけを共有すればよい。
このタイプのデメリット
ある費目の支出額だけがふくらんだり新たな分担項目が増えたときなどに分担額に不公平が生じ、問題が起こりやすい。貯蓄はすべてそれぞれに任されることになるため、しっかり貯蓄できているか注意が必要。
このタイプの貯蓄必勝法
お互いに収入の額もプライベートの支出の額もシークレットになるので、それぞれに責任を持って貯蓄をするという意識が必要です。貯蓄額を見せ合わないまでも、ライフプランを共有して、これくらいの貯蓄が必要になるよねという額の共通認識を持っておくとよいでしょう。
タイプC ワンオペタイプ
「タイプC ワンオペタイプ」とは、「片方の収入だけで基本的には生活する」のタイプのこと。
共働きではあるけれど、夫あるいは妻の片方だけの収入で生活して、もう片方の収入はまるまる貯蓄したりあるいは自由に片方がお小遣いとして使ったりするというタイプです。
このタイプのメリット
基本的には片方の収入に対する支出額と貯蓄額だけを見ていけばよいため、把握の行程が少なく、わかりやすい。両方の収入があると思うと油断してつい使いすぎてしまうという家庭に向いている。
このタイプのデメリット
片方の収入で生活するといいつつ、潜在的にもう片方の収入があると油断して使ってしまうようだと結局は思ったよりも貯まらない家計になりがち。
このタイプの貯蓄必勝法
夫婦どちらかの収入だけで生活することになるので、どちらかの収入の範囲内で家計の支出が全て収まる夫婦にオススメです。夫の収入で生活し、妻の収入をまるまる貯金にするなど、片方の収入をそのまま貯金にできれば、まとまった金額の貯蓄もしやすくなります。片方の収入には決して手をつけない、例外はつくらないといった固い意志がより貯まるポイントです。
共働き夫婦の家計管理は、まずやり方を決めてから
みなさんのご家庭では、現在はどの家計管理のタイプにあてはまりそうですか? あてはまったタイプのやり方で充分にうまくいっている場合はそのままで構いませんが、「じつは、これでいいのか迷っていた」「他のタイプの方がよさそうだ」と思ったら、他のタイプの方法に変更するのも一つの方法ですよ。
書籍『お金が貯まる!世帯年収500万円から始める共働き夫婦の超効率家計簿』では、「共働き夫婦の家計管理の4つのタイプ」について、より詳しく記載されています。「家計管理といっても何から始めたらいいか分からない」、「どんなタイプの家計管理の方法が自分たちに合っているの分からない」なんてときには、ぜひ参考にしてみてくださいね。
>>併せて読みたい:教育費かけすぎてない?貯められない共働き夫婦が陥りがちな3つの原因
お話を聞いたのは:ファイナンシャルプランナー:福島えみ子さん、江尻尚平さん
福島えみ子:ファイナンシャルプランナーCFP、1級FP技能士、DCプランナー、企業年金管理士、国家資格キャリアコンサルタント。大学卒業後、都市銀行を経て、法律事務所に勤務。2010年より女性のマネープラン専門のFP会社に在籍後、独立。金融商品を販売しない中立の立場で家計、ライフプラン、資産運用、相続などの個人相談、セミナー・研修、執筆、コンテンツ作成等を行う。「マネーディアセオリー株式会社」として法人化、お金の相談所「リュクスセオリーFPサロン」を運営
江尻尚平:ファイナンシャルプランナー。上智大学理工学部卒業、大手外資系携帯電話メーカーにてサービス企画などに従事。慶應義塾大学大学院経営管理研究科にて経営学修士(MBA)を取得。2012年にスマートアイデア株式会社を創業、代表取締役に就任。現在、450万ダウンロードを達成した家計簿アプリ「おカネレコ」および家族向け家計簿「おカネレコプラス」、FPオンライン相談サービス「マネシル」などFintech分野に注力した事業を展開している。
お2人の知見を詰め込んだ共著『お金が貯まる! 世帯年収500万円から始める共働き夫婦の超効率家計簿』で無理しないでできる節約・貯金方法を伝えている。