年齢が上がるほど欠食率が高くなる傾向に
みなさんのお子さんは現在おいくつですか?
今回、味の素から発表されたデータを見てみると、家庭での朝食の欠食率の推移は年齢が上がるほど高くなるという実態が見えてきました。
さらに成人を対象に朝食欠食が始まった時期を調査すると、グラフにもあるように「中学生、高校生の頃から」という声が多いことがわかります。
この頃になると部活などで朝早くに家を出ることも増えますし、食べた方がいいとは分かっていてもついつい抜いてしまうという子が多いのかもしれませんね。実際、筆者も中学時代はそうでした。
この朝ごはん抜きの生活が定着してしまうと健康にもよくありませんし、なんと成績にも関係してくるというデータもあるようなのです……!
朝食をしっかり食べている子ほど成績が良い!?
なぜ朝食を抜くことが成績にも関わってきてしまうのでしょうか?
まずは東北大学加齢医学研究所所長であり、脳科学者でもある川島隆太教授のコメントがとてもわかりやすいので、イラストと併せてご覧ください。
『朝ごはんを食べずに学校や会社に行ったと考えてみましょう。晩ごはんを食べたのが夜の6時〜8時だとして、朝起きるのが6時〜8時だとすると、朝起きた段階で12時間近く経っています。そうなると、ブドウ糖の供給源は脂肪の分解しかありません。ですから午前中の脳は常にガス欠状態におかれてしまいます。つまり「午前中の大切な時間が無駄になる」ということが分かります。
また、私たちの脳の働きを調べていくとリズムがあるということが見えてきました。午前中に一番よく働き、夕方に向かってどんどん機能が低下していくことがわかっています。ですから、「脳を使うなら午前中」ということになります。そういう意味でも、朝ごはんをしっかり食べるというのは、脳がたくさん働く午前中を無駄にしないために、とても大切です。』
朝ごはんを食べないと脳がエネルギー不足になってしまい、思うように働かなくなってしまうのですね。
そしてこちらが文部科学省が公開した「朝食の頻度と学力」を表した図です。
毎日朝食を摂っている子ほど学力調査の得点が高い傾向にあります。
川島教授のコメントにもあったように、朝ごはんを食べることで午前中からしっかりと授業に集中できる状態になっていることが伺えますね。
「ただ食べればいい」は間違い! 朝食に押さえておきたいポイント
朝食欠食がどのような問題を引き起こすのかを見てきましたが「ただ食べればいい」というのも間違いのようです。
では、どのような朝食ならば脳を効率的に働かせることができるのでしょうか?
こちらも川島教授のコメントを見ていきましょう。
『脳細胞を働かせるためにはブドウ糖が必要で、脳細胞が働くと脳の中では細胞同士のつながりあいが強化されます。これによって伝達経路が太くなって信号がより早く流れ、以前は解くのに時間がかかった問題も早く解けるようになるのですが、この細胞同士のつながりあいの強化には、各種栄養素が必要となります。
また、最新の研究では、脳細胞が上手にブドウ糖をエネルギーとして使うためには、ブドウ糖以外の様々な栄養素を食事と一緒に摂ることが必要なこともわかってきています。
ですから、いろんな栄養素が含まれたバランスのいい食事をとらないと、ブドウ糖によって十分に脳細胞が働いたとしても、今度はその脳を鍛えて強化するということができなくなってしまいます。』
パンひとつ、おにぎり1個など主食だけではなく、さまざまな栄養素が必要だということですね。
わかってはいるけれど毎日栄養たっぷりの朝ごはんは作りたくても時間がないという方もきっと多いはず。
しかし市販のスープをプラスする、前日の夕飯のおかずを少しプラスするなど、時間がなくてもできることも意外とあるようにも個人的には感じました。
朝食欠食は成績に関する不安だけではなく、やはり健康上の心配もあります。
親も子もそれぞれに忙しい朝ですが、できる限りは子どもに朝食を食べさせてから見送ってあげたいですね。