そんなに塾や習い事にかけられるお金がない!
今回のご相談者は、「子どもにお金がないと伝えて大丈夫か」と悩んでいるご様子です。相談内容を見てみましょう。
最近、小3の長女が周囲のお友達の影響もあって「塾の教科数を増やしたい」というだけでなく、「ダンス」や「水泳」などの習い事もしたいと言い出しました。
今のところ中学受験をする予定はないのですが、学校の授業に遅れがちなため国語と算数を受講しています。加えて英語もやりたいと言っており、3教科ともなると塾の費用も馬鹿になりません。
それに加えてダンスや水泳などもとなると、費用の面で工面できる自信がありません。
次女はまだ幼稚園生で、習い事や塾はさせていないのですが、姉がこれだけしていたら、自分もしたいといいだすのではないかと思っています。
長女から「他の子はみんな塾も習い事もしている、どうしてうちはできないの」と言われており、うちは貧乏なのかということまで言い出し始めています。
「お金がないから無理」と正直に娘に伝えてよいものかと悩んでいます。
「お金がない」と子どもに伝えるべき?
「塾や習い事を増やしたい」と子どもが言い出したとき、子どもの意欲を素直に喜び、好きなだけやらせてあげることができたら理想的なのかもしれません。
しかし、実際には子どもの習い事や塾は、親の懐事情によって大きく左右されてしまうもの。
親の懐事情から難しいと感じる時は「お金がない」と素直に子どもに告げるべきなのか、無理をしてでも子どもにやらせてあげるのが親としての務めなのか、具体的な対処方法を考えてみましょう。
1 子どもの習い事や塾に「無理」は禁物
結論からお伝えすると、子どもの習い事や塾に「無理」をする必要は全くありません。
なぜなら、子どもが小さいうちに習い事や塾で無理をしてしまうと、肝心の高校・大学での学費不足を招くことになりかねないからです。
将来の学費が不足すると、本来なら老後の費用を貯蓄したい時期に教育ローンなどが増え老後の貯蓄ができなくなったり、お子さんが奨学金を借り将来返済しなくてはならなくなったりと、大きな問題となって跳ね返ってきてしまいます。
子どもの習い事や塾は負担になりすぎない範囲で選択し、将来まで見通したうえで計画を立てるべきものです。
2 我慢させることは不幸ではない
「子どもがやりたいことをやらせてあげられないのは親として恥ずかしい」など、親の方が劣等感を感じてしまうことがあります。
子どもがやりたいという気持ちがあるのに我慢させることが、まるで不幸なことのように親が精神的に追い詰められてしまうのですが、お子さんは案外「無理なら仕方ないんじゃない?」とあっけらかんとしていることもよくあります。
個人的な考えでは、私は子どもにある程度の我慢をさせることは不幸なことでも何でもないと思います。
もちろん全てのことに我慢をさせる極端なケースは別ですが、「欲しいものは何でも買って与える」ことが親の役目とは限りません。
「これはできるけど、これはできないよ」という現実的な取捨択一の方法を教えることも、子どもの正常な金銭感覚を磨く上で大切なことです。
3 「お金がない」とは言う必要なし
ただし、子どもに「お金がない」という言葉はできるだけ使ってほしくないと私は考えています。
親が頻繁に「お金がない」と子どもに伝えると、子どもは「うちは貧しい家庭なのではないか」と心配になり、劣等感まで抱きかねません。
「そんなにたくさん習い事や塾をしてしまうと、時間が足りなくなるよ。全部中途半端になってしまい、集中できないよ。パパやママはひとつひとつを大切にしっかりやって欲しいからそんなに数を増やすのは反対。まず今やっていることを、もっと上達できるようにしてみよう」
「こっちをやりたいなら、こっちはやめたらどうだろう。そうしないと、毎日忙しすぎて遊んだりゆっくりしたりする時間がなくなってしまう。中学生や高校生になったら学校の部活や勉強で忙しくなって、今よりもっと大変になるから、小学校の間はゆっくり遊ぶ時間も取って欲しいな」
「塾に行く日が増えてしまうと、夜が遅くなって家族そろってご飯が食べられなくなる日が多くなる。パパとママはみんなでご飯を食べる習慣を大切にしたいから、塾に行く日はこれ以上増やしたくないと思っているよ。代わりにパパやママが勉強を教えてあげるし、欲しいテキストがあれば買いに行こう」
など、言い方の問題かもしれませんが、「できない理由」が「お金がないから」ではなく、「時間をもっと上手に使いたい」「わが家にはわが家の家庭の考え方がある」などを理由にして伝えてみてはいかがでしょうか。
うちにはうちの考え方があることを子どもに伝えると、「お金がない」「貧乏だから」というような考えも子どもに植え付けずに済むのではないでしょうか。
「金銭的事情」を理由にする場合でも、「パパとママは今たくさん習い事や塾に行って、将来子どもに借金を背負わせることはしたくない。だから、今は限られた範囲にはなるけれど、代わりに将来の学費は心配いらない」など、子どもが将来に希望を持てるような言い方をしてほしいものです。
子どもの成長につながる言葉選びを
今回のようなケースは、お子さんにお金の価値観や使い方、お金の優先順位を伝える良い機会ということもできます。
「お金がない」ことを素直に伝えることが、子どもの金銭感覚を磨くことになるという人もいますが、今後別のやりたいことが出てきた時に「自分がやりたいといったら親に迷惑をかけてしまう」と親の懐事情を気にして「本当の気持ちを話せなくなってしまう」のも心配ですから、お子さんへの言葉選びは慎重に行いたいものです。
親にお金がなくても、親の金銭事情に左右されず選択できる方法もあること、将来は子ども自身が未来を切り開く力をつけることが大切であることも伝えてほしいものです。