教えてくれたのは……石田勝紀さん
20歳で学習塾を創業して以降、4000人以上の生徒に直接指導、講演会やセミナーを含め、5万人以上に「心を高める」「生活習慣を整える」「考えさせる」の3つを柱に指導。著書に『子ども手帳』『子どもを叱り続ける人が知らない「5つの原則」』、『みんなの自己肯定感を高める 子育て言い換え事典』ほか多数。
『みんなの自己肯定感を高める 子育て言い換え事典』(KADOKAWA)
著者:石田 勝紀
価格:1,540円
きょうだいゲンカは絶好の学びの場
家庭で頻発するきょうだいゲンカ。大人から見れば不毛な争いに見えるかもしれませんが、子どもにとってはまたとない「学びの場」だと教育評論家である石田勝紀さんは言います。口ゲンカには、高度な技術が求められ、非常に頭を使う行為です。
- 相手の言葉を理解する
- 相手を言い負かせるためにどうすればいいかを真剣に考える
- どこまでがOKでどこからがNGか、手加減のラインを知ることができる など
まさに社会勉強ともいえる貴重な機会。よそでケンカをして迷惑をかけることを考えれば、きょうだいでケンカをして学んでもらうほうがいいとも言えます。
レフェリーになってケンカを見守ろう
きょうだいゲンカを「もうっ! ケンカばかりしないで!」と仲裁したり、叱るりつけるのではなく、レフェリーになったつもりで思い切って「ファイッ(ト)!」とケンカを促す号令をかけてしまうのが石田さんのおすすめ。親の方もケンカをやめさせようとするよりも、気がラクな声かけです。
親が止めるべきなのは、手が出るなどの暴力行為だけ。そして、もう1回「ファイッ(ト)!」と声をかけ、ケンカを再開させます。そうすることで、子どもたちもバカバカしくなってトーンダウンしてしまうのだとか。
上の子への声かけ「お姉(兄)ちゃんなんだから」は禁句
親がレフェリー役になることで、上の子、下の子、どちらに対しても平等な存在になれることも大きなメリットです。ついついケンカを止めようと上の子に対して、「お姉(兄)ちゃんなんだから」という言葉を使っていませんか?
「この言葉は子どもの気持ちを逆なでしてしまうNGワードです」と石田さん。大人の世界では上下関係があることがほとんどですが、子どもの世界にはそういう意識がありません。きょうだい同士が張り合うのは、互いに対等な関係だと思っている証拠なんだそう。それなのに、「お姉(兄)ちゃんなんだから」と言われたら自分は認められていないと思ってしまうかもしれません。
下の子がケンカを報告したときの声かけ
一方で下の子がケンカの報告をしてきたら、「それは残念だったね」「イヤだったね」といった気持ちに寄り添う言葉をかけつつ、上の子が悲しまないように3つの方法で下の子の話を聞くことが大切だと石田さんは言います。
⒈話を聞く姿勢をつくって、子どもにしゃべらせてください。
⒉その子の気持ちを受け止めてあげてください。
⒊子どもが言った内容をリピートしてあげてください。
下の子も話を聞いてもらい、気持ちを受け止めてもらえることで自己肯定感も満たされ、自分で何とかしようと考えたり、気持ちが変わったりすることがあるそうです。
上の子だけとの時間を作ろう
上の子へフォローも忘れないようにしましょう。きょうだいがいると、下の子がどうしてもかわいく見えてしまったりしませんか。5才の子だけを見ていたら、その子が一番かわいいと感じますが、より小さな3才、1才の子がやってきたら、どんどん小さな子どもがかわいく感じてしまうのが人間の性というものです。
だからこそ、上の子と二人だけで出かける時間を作りましょう。その間は、親は上の子だけを見てあげられます。そうすることで上の子の自己肯定感が満たされます。
最もさけたいのは、きょうだいゲンカによって親がイライラしたり、叱りつけたり、家庭の雰囲気が険悪になること。「きょうだいゲンカはよくないこと」ではなく「社会に役立つ貴重な学びの場」です。親は仲裁役になったり、問題を解決しようとせずに、気持ちを受け止めてあげることが大切です。親がストレスを溜めないようにケンカの捉え方を変えていきましょう。