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子どもが「嘘」をつくのは理由がある。子どもが嘘をついたら実践したい"3つのステップ”

家族・人間関係

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 子どもが「嘘」をつくのは理由がある。子どもが嘘をついたら実践したい"3つのステップ”

2022.05.01

臨床心理士・公認心理師のyukoです。大きさや程度は人それぞれですが、“一度も嘘をついたことがない人”はいないのでは。嘘には、悪意のあるものから、優しさから生まれる嘘まで多岐にわたります。子どもが嘘をついたとき、どのような対応を心がけたらよいでしょうか。“子どもの嘘”との付き合い方について考えていきます。

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特集:親も子も幸せになるための「子育て」

どうして嘘をつくの?

発達心理学上、子どもは3歳頃から嘘をつけるようになるといわれています。
語彙の知識や想像力が伸びていくと、「自分の発言が変われば、相手の反応も変わる」という事実を理解できるようになります。
そして、成長に伴い、様々な嘘を身に着けていくのです。

  • 空想と現実の曖昧さから生じる嘘
    (「大好きな人形がおしゃべりしたんだよ」など、思い込みから話す)
  • 願望から生まれる嘘
    (”次の休みは遊園地に行きたいなあ”という願望から「来週遊園地に行くんだ」と話す)
  • 自分を守るための嘘
    (失敗やいたずらをした自覚があり、知られたら怒られるとわかっている)
  • 注意をひくための嘘
    (相手を驚かせたい、喜んでもらいたい気持ち、自分を認めてほしい気持ちがある)
  • 誰かを守るための嘘
    (自分が真実を話すことで、友達が傷つくかもしれないと考える)

もくろむ子出典:www.photo-ac.com

その場しのぎの嘘をとっさに口にしてしまい、口に出した言葉から話を作った経験はありませんか?

”とっさの嘘”はなぜ必要だったのでしょうか。
相手を欺くため、怒らせるため、悲しませるため?

それだけではありませんよね。

子どものついた嘘の背景にも、きっと大切な何かが隠されているはずです。

何かを考える子出典:www.photo-ac.com

子どもの嘘に気づいたとき、大切にしたい3ステップ

1.嘘に隠された本音を知る

「もう宿題は終わった」
「今週はテストないみたい」
「友達とは仲良くやってる」

子どもの言葉に疑いを持たなければ、すんなり信用して聞き流せる言葉です。
一方、”本当に?”と感じると、探りを入れますよね。

詳しく聞いていくと、
「もう宿題は終わった(と言わなければ、ゲームをやらせてくれない)」
「今週はテストないみたい(と言わなければ、また成績について怒られる)」
「友達とは仲良くやっている(と言わなければ、友人関係を心配される)」
という本音が引き出されてきます。

拗ねる子出典:www.photo-ac.com

嘘をついた子どもの態度に腹が立ち、裏切られた気分になるときもあると思います。

しかし、本音を知ったとき、余計に厳しくする・叱る・心配すると、子どもはさらに嘘をつくようになります。
本音を受け止めてもらえなければ、「本当のことを言わなければよかった」と感じるからです。

落ち込む子出典:www.photo-ac.com

一度立ち止まって考えたいのは、”なぜ嘘をつかなければならなかったのか”。
”本音を隠した理由”を考えていくのが大切です。

2.話し合いのチャンスと捉える

・親の感覚や世間の平均から設定したゲームの制限時間。
・”他の子はもっと頑張っている”など、周囲との比較。
・友達ができない子には、その子なりの問題があるという認識。

家庭のルールや、子どもに抱いている期待、親自身の価値観は、子どもの視点に合ったものでしょうか。

親子出典:stock.adobe.com

子どもの本音に耳を傾け続けると、予想を超えた答えが返ってくることも。

「クラスの子の話題はゲームばかり。ゲームが弱いと話についていけない」
「机に向かうと頭が痛くなってくる。周りと比べられると息苦しい」
「仲良かった子とはクラスが離れ、今は1人で休み時間を過ごしている」

”子どもの言った嘘の先”に耳を傾けていくと、率直な願望やニーズ、そして孤独や辛さに気づけるときがあります。

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子供が嘘をついたとき、「嘘の背景にある環境」を、見つめなおしていくのもひとつです。

3.嘘を否定するのではなく、本音を肯定する

「嘘はよくない」と、子どもの嘘を否定して正す関わりも、時には必要かもしれません。
一方、「嘘を言わざるを得なかった子どもの気持ち」を受け止め、「本音を言っても大丈夫」な関係を築いていくのも必要な関わりだと思います。

親子出典:stock.adobe.com

そして、「本音を話してくれて嬉しかった」と肯定的な気持ちを伝えるのも大切です。
本音を肯定してもらえれば、嘘をつく必要はなくなっていきます。

子どもが「守っているもの」に気づく

嘘には、一時的に「守る」効能があります。
自分のプライドを守る、恐怖や心配から身を守る。
そして、親が抱く期待を守る、悲しみや不安から守ってあげる。

子どもがついた嘘は、何を守っているのでしょうか。

見つめる子出典:www.photo-ac.com

嘘の中にあるメッセージを受け止めていけるといいですよね。

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著者

yuko

yuko

臨床心理士・公認心理師。現在は小児の総合医療センターと大学の心理教育相談センターにて勤務。児童期から思春期の子どもへのカウンセリングやプレイセラピー、子育てに悩む保護者の方への育児相談を専門にしています。色彩心理学やカラーコーディネートについても学んでおります。

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