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嘘も100回言えば本当になる。挑戦し続ける子になる“親の言葉” #池江璃花子さんの母から学ぶ子育て術

家族・人間関係

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 親子

2022.02.11

水泳の池江璃花子選手の母である池江美由紀さん。ひとり親として、長女、長男、そして次女・璃花子さんの3人を育てながら、幼児教室を経営してきました。そんな美由紀さんに、話題の著書『あきらめない「強い心」をもつために』から、子育てのヒントを学びます。今回は、困難にぶつかってもくじけない、努力し続けられる精神を育てる秘訣を教わります。

教えてくれたのは……池江璃花子さんの母、池江美由紀さん

池江璃花子さんの母であり、子どものための能力開発教室、EQWELチャイルドアカデミー本八幡教室代表・講師の池江美由紀さん。著書『あきらめない「強い心」をもつために』(アスコム)では、子育てや幼児教室で実践してきた「池江式教育法」を紹介。

書影出典:www.amazon.co.jp

あきらめない「強い心」をもつために』(アスコム)
著者:池江美由紀
価格:1,540円(税込)

積極的に失敗や苦労を経験させる

泣いている子ども出典:www.photo-ac.com

親は子どもが心配で、失敗や苦労しないように、つい先回りしてしまうもの。

しかし美由紀さんは、そうした経験が子どもを成長させると考え、子どもたちに、あえて失敗や苦労をさせてきました。

璃花子さんは、3歳で水泳を始めて、5歳には大会に出るようになりました。「まだ、小さいから」「不安で泣いてしまうのではないか」などという心配より、多くの経験ができると、どんどん出場させていたそうです。

「その際の声がけは『出る?』という疑問形ではなく、『出るよ』という断定形です。子どもは尋ねられると迷うものです。肯定語で言われれば、『ああ、そうなんですね』と素直に受け止め、ちゃんとできます」(美由紀さん)

そして、挑戦を乗り越えたときは、心からほめてほしいと美由紀さん。

仮に失敗しても、その挑戦やがんばりをほめること。そして次はもっとできるようになるよ、と声をかけることで、子どもは自信をもち、たくましく成長するといいます。

親はいつまでも子どもそばで、手取り足取り、生き方を教えることはできません。

だからこそ、自分で状況を打破できる大人に育つように、多くの経験を積むことが必要なのです。

「経験を通じて得た自信、そして、つまずいても乗り越えられるという自信は、何ものにも代えがたいものです」(美由紀さん)

始めるのに早すぎることはない

子ども出典:stock.adobe.com

「子どもの挑戦は応援してください。そして、始めるのに早すぎるということはありません」(美由紀さん)

璃花子さんは人一倍、いろんなことに興味をもつ子でした。姉や兄の姿を見ていたせいか、1歳半には逆上がりを、2歳には補助輪なしで自転車に乗っていたそうです。

「水泳では、こんなこともありました。まだ習いたてのころ、クロールの進級テストがありました。璃花子は飛び込むと、クロールではなく、なんと、平泳ぎのような泳ぎを始めたのです」(美由紀さん)

平泳ぎはまだ教わっていなかったので、溺れていると思ったコーチが、急いで璃花子さんのそばに飛び込んだそうです。

「璃花子がなぜ平泳ぎを泳ごうとしたのか、私にはわかりました。クロールのテストの前に平泳ぎのテストがあり、璃花子は、前に泳いだ子どもの平泳ぎの姿をものすごく真剣に、熱心に見ていたからです。きっとクロールのテストということはすっかり忘れて、いつもの練習のように前に泳いだ子どもを真似たのです」(美由紀さん)

美由紀さんは、璃花子さんが周りの様子を、すごい集中力で見ていた結果だと思ったそうです。

困難を乗り越えられる人に育てる言葉「あなたには、まだまだできる力がいっぱいあるよ」

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子どもが何かを乗り越えようとしているとき、最大の味方である親のひと言が、大きな支えになります。

「そうしたときにかけてあげる言葉は、『あなたには、まだまだできる力がいっぱいあるよ』です」(美由紀さん)

子どもは「そうか、私にはまだ力があるんだ」と気づき、その言葉と自分を信じて行動に移します。

「また、この言葉は、素晴らしい成果を上げたときにも使えます。たとえば、志望校に合格した、目標としていた大会への出場を決めたときなどです」(美由紀さん)

子どもは「ここがゴールだ」と受け止めてしまうこともありますが、志望校合格も大会出場も、新たなスタートに過ぎません。

「だからこそ、子どもが達成感を感じていそうなときには、その達成感をわかち合い、共に喜びながらも『あなたには、まだまだできる力がいっぱいあるよ』と、今いる地点から将来へと視線を変えさせてあげる必要があります」(美由紀さん)

そのひと言が、目標を達成して燃え尽きてしまわない、天狗にもならない、成長を自ら求める精神をつくるのです。

人と比べるのはデメリットしかない

子ども出典:stock.adobe.com

子どもは一人ひとり、性格も得意なことも違います。それを比べても意味がなく、むしろ、比べることによる害悪が大きいと、美由紀さん。

「もちろん、競争は必要です。明確な基準があり、その基準での優劣を競うことは、子どもにとって刺激にも発奮材料にもなります。負けたら負けたで、どうしたら勝てるようになるか、真剣に考えるようにもなるでしょう」(美由紀さん)

しかし、競争の場ではないところで子どもを比べる必要はまったくないと、美由紀さんは話します。教室でも「誰ちゃんがいちばんできるね」「誰ちゃんより誰ちゃんのほうが上手だね」といったことは、決して言わないそうです。

ただ、誰かがよくない行いをしたら、ほかの子どものよい行いをとびきりほめるそう。すると、どの子も自分もほめてもらおうと、よい行いを真似します。叱らなくても、子どもが自ら気づき、行いが改善されるのです。

「このようなポジティブな競争でしたら、とてもよいと思いますので、職場やご家庭でも取り入れるとよいでしょう」(美由紀さん)

嘘でも100回言えば、本当になる

向かい合う親子出典:www.photo-ac.com

「たとえ『100%はできない』と思ったとしても『1%ならできる』と思うなら『できるよ』と言い、『完璧には無理』と思ったとしても『ある程度はできる』と思うなら『できるよ』と言いましょう。」(美由紀さん)

それは誇張ではないと、美由紀さん。そのときにできることが1%でも、100回積み重ねれば、「100%できる」になるからです。

「それだけではありません。『できる』『できる』と繰り返せば、それが暗示となって、本当にできるようになることが多いのです」(美由紀さん)

美由紀さんは教室のレッスンを始めるとき、子どもたちに次のような暗示の言葉を言います。

「お父さんもお母さんも、あなたのことが大好き。いつも一緒にいてくれます。あなたがこれから学ぶことは、あなたにスイスイと吸収されます。自分の夢を叶えるために、たくさん勉強して、みんなの役に立つ人になろう」

週に1度でも、12歳までつづけたら、600回は耳にします。こうして積み重なる言葉は、さまざまな体験とあいまって、揺るぎない強い心が子どもの中に植えつけられるといいます。

「『1%ならできる』という前向きな気持ち、『1%でもやった』という自信は、人生を肯定してくれるものだと思います。『ゼロ』と『1%』の差は大きいのです」(美由紀さん)

子どもたちには、ネガティブな言葉をかけるより、ポジティブな言葉をかけ続けることで、自分でできることが増え、あきらめない「強い心」を持つことができるのです。


著者

yoshie

yoshie

東京の出版社に勤務したのち、鹿児島県に移住。現在はフリーライターとして活動している。