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「𠮟る」って実は奥が深い。親子の信頼関係が育まれ、イヤな空気にもならない“上手な𠮟り方”とは

家族・人間関係

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 「𠮟る」って実は奥が深い。親子の信頼関係が育まれ、イヤな空気にもならない“上手な𠮟り方”とは

2022.10.16

「子どもを叱った後、何だか家の中の雰囲気が悪くなってしまって、イライラがいつまでも漂っていて気まずくなっちゃう」 ある時、そんな話で盛り上がりました。 つい感情にまかせて言い過ぎてしまって後悔したり。 何日も喧嘩状態を引きずってしまって、お互いにすごく疲れてしまったり。 じつはぼくも、「叱る」のがすごく苦手。 だからこそ色々と工夫をしてきました。今日はそんな「叱る」の試行錯誤をお話します。

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特集:親も子も幸せになるための「子育て」

「怒らない方法」じゃなくて「上手に叱る」について

「上手に叱れない」という人は「感情的になっちゃう」と悩んでいることも多いかもしれません。
ただ、今日お話するのは「感情を抑える方法」ではありません。
その方法はきっとアンガーマネジメントを学ばれた方々が色々と書かれています。なので感情との向き合い方については、そうした専門家の知見の方が役立つでしょう。

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ぼくは幸い、感情的に怒鳴ったり暴力を奮ったりするという経験は人生においてほとんどありませんでした。
感情が高ぶるとむしろ「言葉がでなくなる」タイプ。
じつは、そうやって高ぶった感情を怒りとして放出するのではなく、内側でドロドロとたぎらせるって人も多いのではないでしょうか。

だから「思っていることを上手く伝えられなかった」や「後までモヤモヤやイライラを引きずってしまう」というのが、ぼくの悩みでした。

まさに「上手に叱る」が、どうしたらできるのかなと考えてきたのです。

「叱る」とは「伝える」よりも「聞く」

ぼくは一時期、神戸にあるラーンネット・グローバルスクールと言う小学校でインターンをしていました。
毎日たくさんの子どもたちと接しながら過ごしていると、色んな大小のトラブルが起こります。

宿題をやらない、授業でふざける、やるべきことをやらない、ルールを守れない。
こうした出来事は特別なことではなく、普通に毎日起こる。そして、そのたびに子どもたちとどう接するかを、ぼくたち大人は問われることになるのです。

そこではナビ(スクールでは先生とは言わず「ナビゲーター」略してナビと呼ぶ)が徹底していることがあります。
それは「子どもたちの話を聞く」ということです。

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宿題をやってこない子がいたときに「宿題やって来なさい!」と叱っても、ほとんど意味がない。
授業中に騒ぐ子がいて「さわぐな!」とだけ言っても、また明日には騒ぎ出す。

だから、子どもたちの話を徹底的に聞きます。

「なんで宿題やってこないの?」なんて聞いても意味はありません。
ただ言い訳を探して、仕方がないねと言われようとするだけです。

「いつも宿題するのって、いつ?」「宿題が難しかった?」「これは苦手なの?」など。色んな質問を投げかけながらその子が宿題をできなかった理由を、一緒に言語化していきます。
「じゃあ、この宿題、今日はいつならできると思う?」その後も、いつまでにやりなさい、と勝手に決めるのではなくてその子自身で決めるようにするなど。

これはあくまでも一例で、すべてがそうってわけではありませんが。
まさにナビゲーションするように、子どもたちの言葉を引き出していきます。

コーチングに近いかもしれませんね。

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もちろん、それで全部うまくいって、子どもが宿題を忘れなくなるとか騒がなくなるなんて簡単なことではない。
でも、このコミュニケーションを通して確実に子どもとの間に信頼関係が育まれていきます。

信頼関係が育まれると、こちらの言葉が届きやすくなる。

「この人の言う事なら、ちゃんと聞こう」
そう思ってもらいやすくなるんです。

親だって、同じようにいつもガミガミ言っていれば、そのうち子どもはやり過ごすようになる。そうするとこちらの言葉が届かなくなる。

子どもを叱る上で、こちらが「一方的に言って利かす」ことなんて、じつはほとんど必要ない。

言い訳しようとする子どもが、本音を言えるようになるまで「聞く」ことこそが、「叱る」本質なんだと学びました。

「はい、これでこの話はお終い!」

あるとき妻が、娘を叱った後。

「はい、これでこの話はお終い!」

と話を打ち切りました。
そして、あとはいつも通りに関係ない話をするのです。そうすると、娘も引きずらずにすぐ笑い出しました。

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それを目にして以来、わが家では叱った後には「お終い!」と区切りをつけるようにしています。

だらっと叱った後の空気を持ち越すと、いやな空気が家中に漂ってしまう。
話は終わったはずなのに、いつまでも重たいまんま。

そんなのって、いやです。

叱った後には、ちゃんと区切りをつける。
この切替えも、上手に叱る上で大切なことだなと思っています。

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