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「じゃあお願い!」と言えていますか?育児と仕事の両立は「恩送り」の考え方で乗り切る

間野由利子

仕事をしながらの家事、育児に奮闘するママたち。いったいどうやって両立しているのでしょうか? 本来ならば夫婦2人の子なので、パートナーと助け合えればいいのですが、様々な事情で難しい場合もありますよね。
3人の子どものママであり、『男の子に「厳しいしつけ」は必要ありません! どならない、たたかない!で才能はぐんぐん伸びる』の著者でもある高祖常子さんは、パートナーが単身赴任になったあとに、3人目の子を出産されたそう。母1人で家事、育児と仕事はどのように行っていたのでしょうか。高祖さんに直接お話を伺いました。

夫は単身赴任。3人の子どもを抱えて仕事との両立はどうのり切った?

――高祖さんは、子育てアドバイザーや「育児情報誌miku」の編集長を14年もつとめるなど、育児と同時にたくさんの仕事をされています。育児との両立はどう乗り越えてきましたか?

高祖:我が家は子どもが3人いますが、2歳児と5歳児を抱えながら引っ越しが終わったタイミングで夫が単身赴任となりました。その翌年に3人目が誕生。そんなときは少し離れていたものの親を頼ったり、ママ友、パパ友にも支援してもらいました。3人目が生まれたときは、同じ保育園のママが上の子どもたちを「一緒に送り迎えするよ」といってくれてとても助かりました。また、台所の棚の引き出しが壊れたときには、パパ友の大工さんが缶ビール1本のお礼で直してくれたこともありました(笑)。

人とのコミュニケーションが苦手な人もいますし、「こんなことを相談して相手の迷惑にならないかな」と思う人もいるでしょう。ですから、みんなに「まわりのママ友やパパ友を頼ろう」というのは難しいかもしれません。でも、人にお願いしてみると「いいよ」と快くやってくれたり、「お役に立ててよかったよ」といってくれる人も、意外とたくさんいます。

育児中に大切なのは「恩送り」という気持ち

――自分が誰かをサポートしてあげたら、人にも頼みやすくなるかもしれませんね。

高祖:そう。できるときにはサポートして、頼れるところは頼っちゃう。子育て中のママで多いのは、自分ばかりがお世話になってしまって恩を返せないと思って、そもそも頼ることをやめてしまう人。でも、子育て中は、家庭ごとの状況も違うので、常にお世話になった分を返すことは難しいですよね。相手が「無理」といったらしかたがないけど、ある程度の信頼関係があって、相手が「いいよ」といってくれているのであれば、相手を頼ることも大切です。そのかわり、ママ友パパ友でも、祖父母でも、当たり前と思わず、感謝の気持ちを忘れないことも大事です。言葉はもちろん、どこかにでかけたらちょっとしたお土産をおすそ分けするとかね。

「恩送り」とも言われますが、今すぐに手助けしてくれた人にお返しできなかったとしても、また別の機会に自分が他の人の手助けをしてあげる。子どもが大きくなって手が離れたときに、ファミリーサポートなど子育ての支援をしたり、もちろん近所のおばちゃんとして笑顔で声をかけるのだっていいと思いますよ。

自分が手いっぱいで人の手を借りているんだから、そんなの借りた恩を相手に返せなくて当たり前ですよ。自分のキャパを超えているものをサポートしてもらっているのに、それをまた返そうとしたら結局キャパオーバーになっちゃう。

――うまく頼るときのコツなどはありますか?

高祖:とにかく相談してみるということですね。あとは、当たり前だと思わないことかな。祖父母に対してはとくにそうですよ。関係が近い人こそ気をつかうべきです。

「手伝いを断わられる=自分のことを嫌っている」とは限らない

出典:stock.adobe.com

――相手が大変そうだから言いづらくなってしまうという人もいると思います。

高祖:言いづらい気持ちはわかります。相手への配慮も大事です。でも、一度口に出していってみること。そうしないと誰も、その人が大変だとは気づいてないかもしれない。助けてくれるのを待っているだけじゃだめで、まずは自分から相手に聞いてみる。頼まれた人が「ごめんね。今日は忙しいからムリなんだ」というかもしれません。そこは断られたことに対して傷つく必要はありません。お願いされた相手も過剰に気をつかって、ムリして受けない。そこのコミュニケーションはすごく大事です。

人によっては「手伝いを断れる=自分のことを嫌っている」「迷惑だと思われた」と思うかもしれません。でも、それはまったく別の話です。「今は忙しい」という事実に対して、できるかできないかの判断を答えただけ。そこに頼んだ人が勝手に「私のことをきらっているかもしれない」「余計なことを言ってしまった」と深堀してしまっていることも少なくない。事実と感情は分けて考えないと、話がどんどん複雑になってしまいますし、自分の心が勝手に傷ついてしまうこともあります。
相手の感情を掘りすぎない、過剰に反応しすぎないことがすごく大事。パートナーにも、ママ友にも近所の人に対しても同じことが言えます。

まずはまわりの人を信頼して頼ってみる。そして自分の生活に余裕が持てるようになったら、必要に応じて困っているママたちをサポートする。受けた恩を返すのはそれで十分だと思います。

教えてくれたのは 高祖 常子さん

高祖 常子(こうそ ときこ)さん

子育てアドバイザー、キャリアコンサルタント。
資格は保育士、幼稚園教諭2種、心理学検定1級ほか。
NPO法人ファザーリング・ジャパン理事、ほか各NPOの理事や行政の委員、「体罰等によらない子育ての推進に関する検討会」(厚生労働省)構成員(2019年)も務める。子育て支援を中心とした編集・執筆ほか、全国で講演を行っている。
著書は『こんなときどうしたらいいの?感情的にならない子育て』(かんき出版)ほか。3児の母。

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著者 高祖 常子
漫画・イラスト オキ エイコ
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