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スマホの“購入前”がカギ。子どもにスマホを持たせる際のルール決めで「親が絶対にしてはいけないこと」

家族・人間関係

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 スマホの“購入前”がカギ。子どもにスマホを持たせる際のルール決めで「親が絶対にしてはいけないこと」

2022.11.12

子どもがスマホを欲しがったり、スマホが必要な場面が増えてきたりして、そろそろ買ってあげようかと考えている方もいるのではないでしょうか。親子でルールを決めるのが大切だとはわかっているけれど、何をどのように決めたらいいのか悩むもの。そこでスマホを子どもに持たせるときの「ルール」について『こどもスマホルール 賢く使って、トラブル回避!』の著者で兵庫県立大学准教授の竹内和雄先生に、子どもがスマホと上手に付き合うためのルールについて伺いました。

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特集:親も子も幸せになるための「子育て」

お話を伺ったのは……竹内和雄先生

竹内先生

兵庫県立大学准教授。教育学博士。公立中学校で20年、生徒指導主事等を担当(途中、小学校兼務)。2005年に起きた大阪府寝屋川市の事件をきっかけに携帯、ゲーム、ネット対策に取り組み、ネット問題を中心に教職員や保護者向け講演を年間80回以上こなす。

こどもスマホルール

こどもスマホルール 賢く使って、トラブル回避! 』(時事通信社)
著者:竹内和雄
価格:1,980円(税込)

2歳の子どもでも6割以上!インターネット利用は低年齢化している

2歳の子どもでも6割以上!ネット利用は低年齢化している出典:stock.adobe.com

――子どもたちを見ていてインターネットの利用やスマホ所持率が低年齢化しているように思いますが、実際はいかがでしょうか?

竹内和雄先生(以下、竹内先生):コロナ禍でデジタル機器を扱う機会が増えたので、世の中全体がスマホをはじめとするインターネットに向き合う時間が増えました。なかでも子どもたちはGIGAスクール構想により、全員が情報端末を所持するようになったため、電子機器に対しての抵抗がなくなりつつあります。今ではノートと同じ扱いなので常に持ち運び、宿題もその日のうちに先生に送信するような時代になっています。

また、親の世代がスマホネイティブだと、その子どもも乳幼児からスマホを操作できるようになっています。令和3年度に内閣府が調べた「青少年のインターネット利用環境実態調査」によると、2歳の子どもでも6割以上の子がインターネットに触れていることがわかります。

――2歳で6割以上ですか? そこまで幼い子の多くが利用しているとは驚きました。

竹内先生:そうなんです。私たちが想像している以上にはるか早いスピードで低年齢化しています。そして、スマホの所持率も年々変化しています。
関西地区で約1万人を対象におこなった調査では、小学1年生の女の子の所持率は1割を超えていました。6年生になると、6割以上の子が所持しているという結果になりました。
過半数の子が所持しているとなると、所持していない子は「周りのみんなが持っているから、私も欲しい」と親に訴えます。そこで買うか、買わないかはその家庭での方針が決め手となるでしょうが、与える場合はスマホを購入する前にルールを決めることが重要になってきます。

参考:内閣府|令和3年度 青少年のインターネット利用環境実態調査

購入前にスマホルールを決めておくことがマスト

購入前にスマホルールを決めておくことがマスト出典:stock.adobe.com

――なるほど、スマホを渡す前がルール作りの決め手となりそうですね。ではどんなことに気を付ければいいか教えてください。

竹内先生:子どもは、どんな物でもルールを作らずに買い与えてしまった時点で、そこからは自分の好きなように使おうとします。好き勝手に使うことが習慣化すると、その後は親のいうことは聞かないと思ったほうがいいでしょう。大人でもいいことがあることを知ったら、制限するのは難しいですよね。ですからルール決めは購入前が大事。とくにスマホは使い方を間違えると、大きな事件に発展する恐れがあるので、そこはシビアに考えたほうがいいです。買う前にしっかり親子間でルールを決めておきましょう。

――では実際、どんなルールを決めておくといいでしょうか?

竹内先生:実際のルールを考えるときは、子どもがスマホを使う際の限度を大人が作ってあげることが大事です。たとえば、

  • 時間制限:「夜◯時まで」「1日◯時間以内」など具体的に決める。時間になったら自動的に使えないよう設定するのは効果的。
  • 危険なサイトはブロック:「ネットで会った人と会わない」「個人情報を書き込まない」「人に見られて困ることは載せない」など危険な出会い、誹謗中傷などを回避する。
  • 場所の制限:「リビングだけ」など使う場所を決めたり、「自分の部屋で使わない」と禁止の場所を決めたりする。お風呂やトイレで使うことを禁止することも重要。
  • アプリの管理:入れたいアプリはその都度、相談する。

このほかにも、課金やスマホのマナーなどもしっかり話しておくべきです。
そして、最終的に困ったことがあれば必ず親に相談をするということを徹底させましょう。

――困ったときは、大人に相談できるような環境を整えておくことも大事ですね。

竹内先生:これはスマホに限らず、なにかトラブルに巻き込まれたら周囲の大人に相談するということを常日頃から話しておくことが大事です。そのためにもスマホを購入したら、親も普段から「なんか困ったことはない?」と声をかけるといいと思いますよ。

ルール決めの際に親が絶対してはいけないこととは?

ルールぎめの際に親が絶対してはいけないこととは?出典:stock.adobe.com

――ルールを決める際に、親が絶対にしてはいけないことはありますか?

竹内先生:それは親がルールを勝手に決めることです。必ず子どもの言い分を入れること。まずは子どもの言い分を全部聞いた上で、ルールを決めるんです。
とはいえ、子どもの言いなりになるのではなく、大人がリードすることが大事です。大人は予め落とし所を決めておき、はじめに厳しいルールを提示するといいですね。
例えば、夜は9時まで使っていいと考えていたら、はじめから9時というのではなく8時と言っておく。8時で子どもが納得するならそのまま8時までにします。もし子どもがもっと使いたいという場合は、何時までにするか意見を聞いた上で、では9時までにするなど、大人が妥協した“フリ”をして子どもがルールを勝ち取ったと思うことができると、自覚を持ってルールを守るようになります。

またそのルールはパートナーや周囲の大人と共有しておくことも大事ですよ。せっかく決めたルールなのに、周囲の誰かが遅くまで使っていいと言えば、子どももルールを守らなくなります。おじいちゃんやおばあちゃんなど、周りの大人も巻き込んで「スマホを購入し、家族でルールを決めているので協力してほしい」、「もし何か相談してきたら話を聞いてやってもらいたい」と伝えておけば安心です。

親はわが子がトラブルに巻き込まれないよう注意を払いたいものですが、四六時中見張るわけにもいきません。心配だからこそ購入前のルール決めが大事で、それは必ず親子で決める必要があるということがよくわかりました。これからの生活に必要不可欠なスマホ。私たち大人もマナーを守って子どもたちと上手に活用していきたいものです。

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