教えてくれたのは……玉井満代さん
株式会社タマイインベストメントエデュケーションズ代表取締役。ICT教材クリエイターとして、国語と算数の力を同時に伸ばす「玉井式国語的算数教室®︎」をはじめとした独自の教材を数々開発。子どもの能力を最大限に引き出す独自の教材は海外からも注目度が高く、インド政府の小学校やインドの有名私立小学校でも玉井式のカリキュラムが正式採用されている。
『玉井式 公式にたよらない「算数的読解力」が12歳までに身につく本』
著者:玉井満代
価格:1,540円(税込)
記述式問題に必要な力はどんなもの?
算数の記述式問題は、国語のように登場人物の心情を読み解く必要はありませんが、その代わりに問題文の内容を読解し、条件を整理して言葉や式で表現(立式)する力が求められます。ここで必要な表現力について、著者の玉井さんは「表現するというのは、心の中や頭の中にある考えを自分以外の人に伝えること」と言っています。
算数の記述式問題に苦手意識を持たないためにも、小学校低学年から意識して取り入れられることをご紹介します。
美しい日本語で子どもにたくさん話しかける
表現力つまり自分の考えをアウトプットする力を養うには、まず言葉を「聞く」ということを繰り返す必要があります。子どもは「聞く」というインプット作業を繰り返すことによって、自分も表現できるようになるのですね。
そこで大人が意識したいのが、“日本語をシャワーのように聞かせる“こと。LINEをはじめとしたチャット機能など、画面上で気軽に会話ができてしまう現代だからこそ、できる限り美しい日本語を使い、子どもたちに日本語を積極的にたくさん聞かせるように話してあげましょう。
「書くことは面白い」と思わせることが最優先
教育熱心に、そしてわが子を心配するあまり、字の上手下手・文法・文の書き方まで指導したくなる気持ちもあるでしょう。しかし、行き過ぎた指導は子どもから書く楽しさを奪い、苦手意識を持たせてしまう可能性もあるとのこと。著者の玉井さんも「小学生にはもっと自由に書かせてほしい、書くことは面白いことだと感じてほしい」と言っています。
大人が理想とする型にはめることなく、例えば子どもが書いた文章の一部でも素敵な表現があったら、そこを大きく褒めることをしてあげるのが重要だそう。まずは書くことは楽しいことだと思ってもらうためのサポートを考えてみましょう。
たとえ、記述式問題の途中式が絵でも言葉であっても「思い浮かんだことを書いてみた」というアウトプットした行為そのものを褒めてあげましょう。
反対に、せっかく子どもが自由に書いて表現したのに、考える・表現するというモチベーションを下げてしまうのが次のようなセリフです。
<親が言いがちなNGワード>
「間違っているよ」
「書けていないよ」
「よく読みなさい」
「はじめからやり直しなさい」
「どうしてできないの?」
「前にも習ったよね」
もしも、子どもの間違いを発見した場合は、訂正したり叱ったりするのではなく、口頭でヒントを与えます。それでもわからなければ、大人が図を描いて説明します。
繰り返すことが大切なので、大人側にはどうしても根気も必要になりますが、「とにかく書かせる」「書いたことを褒める」「わからなければヒントをクイズ形式で出す」「励ます」「認める」を繰り返すこと。これらを小学生低学年のうちから実践しておけば、その後の記述式問題の苦手意識を芽生えさせることなく、自ら挑戦する力がついてくるそうです。
記述式問題を解く前に、まずは書くことや表現する楽しさを知ることが大事なのですね。言いがちなNGワードに気をつけながら、子どもが前向きに取り組めるような声掛けをしたいものですね!