教えてくれたのは……玉井満代さん
株式会社タマイインベストメントエデュケーションズ代表取締役。ICT教材クリエイターとして、国語と算数の力を同時に伸ばす「玉井式国語的算数教室®︎」をはじめとした独自の教材を数々開発。子どもの能力を最大限に引き出す独自の教材は海外からも注目度が高く、インド政府の小学校やインドの有名私立小学校でも玉井式のカリキュラムが正式採用されている。
『玉井式 公式にたよらない「算数的読解力」が12歳までに身につく本』
著者:玉井満代
価格:1,540円(税込)
図形問題に必要な「知覚力」とは?
知覚力とは五感を通じて見たり聞いたり触れたりして感じる情報を、自覚的な体験として再構成する働きのことをいいます。この知覚力は、知識と知識をつなげる助けもしてくれています。この力を鍛えてふんだんに活用すると、「図形を認識する力」を伸ばすことができる、と玉井さんは言います。
この知覚力を伸ばすには、幼児期から小学生の時期にさまざまな実体験をさせ、五感を刺激することが大切とのこと。プリント学習や単純な暗記学習に多くの時間を費やすのはもったいないそうですよ。
スマホやタブレットを使った学習に頼りすぎない
タブレットで猫の写真をみせて「これは猫だよ」と教えると、子どもは視覚から猫を認識して識別できるようになります。ですが、これでは五感のうちの一つの感覚でしか猫を感じることができませんね。
写真を見る以外にも、実際に猫を間近で見て、撫でて、温もりを感じたり、匂いを嗅いだりして観察することで、猫に対する理解は膨らみ、子どもの思考にも膨らみが生まれてきます。
そうして育ったイメージ力は、子どもがその後「猫が屋根の上にいます」という文章を読んだときに「猫は何をしているんだろう?」「もしかして屋根から降りられなくなっているのかもしれない」という具合に、想像力を働かせられる力となるのだそう。
このように、五感による知覚によって、言葉とイメージがつながるそうです。バーチャルなものだけでは得られないものある、と玉井さんは続けます。特に形あるものを触る、転がすなどをしてみることは、図形の認識力に大きく影響するそうです。
普段から“言葉のシャワー”をかけてあげる
知覚力を育むためには、五感をフルに使った体験が大切であることがわかりました。しかしそれと同じくらい、生活の中で親が子どもに言葉のシャワーをかけてあげることも大切だそう。
例えば、雨が降っていたら「雨がしとしと降っているね」、新鮮な赤いトマトを見て「みずみずしいトマトだね」というように、言葉のシャワーと共に体験させてあげましょう。
イメージング力が上がる遊びを日常生活に取り入れる
図形問題を解くにはイメージング力が重要になります。小さい頃から図形をイメージすることを習慣づけておくことで、図形問題が苦手になるのを防ぐことにつながるのだそう。
例えば、日々の遊びの中で「この野菜を切ったら、どんな形になるかな?」「バッグの中におもちゃが全部入るかな?」というように、親が方向や大きさなど空間を意識した言動を促し、子どもに空間を意識させることも1つの手です。
ほかにも、地図を遊びの中に取り入れるのもオススメ。手書きのオリジナル地図を作ったり、外出時に地図を見たりしてイメージング力を養う方法も効果的なのだそうです。
また、身近にある空き箱を広げて平面にしたり組み立てて立体にしたりして、形に興味をもたせることもいいとのこと。
身近なものを使って空間を意識したり、図形をイメージしたりすることは意外とできそうですね! ぜひ普段の生活に取り入れて、お子さんとの会話を楽しんでみてください。