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「子育てをしたくない」若者たちへ伝えてきたい“幸せな子育て”

家族・人間関係

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2023.12.18

SNSを見ると、子育ての大変なことや辛いこと、不条理な怒りに満ちた出来事で溢れかえっています。 そうした情報ばかり目にすることが影響しているのもあるのか、子育てをしたくないというZ世代がいま増えているようです。 なぜ若者たちの間で子どもが欲しくないという意見が増えているのでしょうか。

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特集:親も子も幸せになるための「子育て」

半数が「将来子どもは欲しくない」

若いカップル出典:stock.adobe.com

BIGLOBEが行った「子育てに関するZ世代の意識調査」によれば、5割弱が「将来、子どもが欲しくない(45.7%)」とのこと。
その理由として挙げられているのが「お金の問題」が6割ほど、「育てる自信がない」などお金以外の理由が4割。それぞれの解答にはその両方という人たちが多く含まれています。

でもこの理由を見てふと思うのです。
僕たち40代の世代だって、お金がたっぷりあったわけじゃないし、子育てできる自信に満ち溢れていたわけじゃない。

経済が上向きでこれからも間違いなく収入が上がっていくだろうと信じることができた世代は、僕たちの親世代で終わり。就職氷河期をサバイブしてきた今の子育て世代は「失われた世代」などと呼ばれて不景気とともに生きてきた。ガッツリ景気の良かった上の世代の価値観に押さえつけられながらオチてゆく経済の波に飲み込まれて過ごしてきた世代だ。

僕たちだって、子どもを産むにあたって経済的な不安はあり、育てていけるなんて自信があるはずもなかった。その結果、徐々に少子化は進み、僕たち世代はそれに歯止めをかけることはできなかったのです。

それじゃ、Z世代も僕たちも同じ条件、同じ価値観かと言えば、そんなわけもありません。

多様な生き方が尊重される世代

大学生出典:stock.adobe.com

大学などでの授業を通して彼らの声を聞いていると、彼らは「主体的に子どもをもたない人生」が選択肢として当たり前にある世代なのだと感じることがあります。

年頃になったら結婚をするべき。結婚したら子どもを産むべき。子どもは一人じゃなく兄弟がいる方が良い。

こうした価値観は、いまの40代以上の世代にとっては耳馴染みのある考え方だと思います。自分がそれに賛同するかどうかは別として、それが当たり前の社会で育ってきたという感覚はあるのではないでしょうか。親や親戚、上司にそう言われてきたという人だっているでしょう。

このような社会の価値観は、少なからず個々の人生に影響を与えます。

望むか望まないかにかかわらず、結婚をしなくちゃならない、と慌てて結婚した人もいるでしょう。
結婚したら子どもを産むものだと、疑うことなく選択したりさせられたりした人もいるでしょう。

もちろん、そうした価値観が今の社会になくなったわけではありません。
でも、結婚して子育てをする以外の人生だって素敵だよね、と考える人は確かに増えていると感じます。

幸せな子育てがもっと広まるといい

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子育ての発信は、とても難しいなと感じています。子育てが辛い、大変、という発信は多くの共感を呼び「よく言ってくれた!」と拡散されていきます。一方で「子どもがいて幸せ」「こんなに子どもって可愛い」「子育てしている人生って最高!」という発信は、共感よりも炎上の危険がつきまといます。

「子どもがいない人の気持ち考えたことありますか?」「子育てが辛い人はダメってことですか?」こうした対立で炎上しているケースも見かけたりします。

ですが、子どもを欲しいなと思う動機として。大変な子育てをそれでも愛おしく思う理由として。子育ての最大のモチベーションになるのは、なんだかんだ言って結局「子どもって可愛い」という気持ちだと思うのです。

子どもを欲しいと思うかどうかは、個々の価値観でしょう。でも、あまりにも子育てのリスクばかりが目立っているような気がしてならないのです。

子育ては辛くて苦しいこと。
そうした側面ばかりじゃなく、それ以上の喜びや幸せだってちゃんとあるんだよって。
それは、子育てをしている僕たちがもっと勇気を持って伝えていかなくちゃいけないんじゃないかって思うのです。
 

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著者

三木智有

三木智有

NPO法人tadaima!代表 日本唯一の家事シェア研究家/子育て家庭のためのモヨウ替えコンサルタント。著書に『家族全員自分で動く チーム家事』がある。

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