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夫婦で意見が違うからこそできる“子育て”がある。夫婦の「子育て観の不一致」を考える

家族・人間関係

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 夫婦で意見が違うからこそできる“子育て”がある。夫婦の「子育て観の不一致」を考える

2022.05.17

臨床心理士・公認心理師のyukoです。「夫婦ゲンカは犬も食わない」とまで言いますが、子どもへの愛情が強くなればなるほど、意見の違いから夫婦ゲンカが増え、深刻になりやすいものです。カップル・夫婦二人きりで生活していれば、やりすごしていた考え方も、子どもに対するメッセージとなると見過ごせなくなりませんか?子どもを育てるうえで大切にして行きたい価値観とは一体。自分たちらしい家族を作っていくための「話し合い」について考えます。

そもそも「価値観」とは?

「価値観」とは、何に価値があると見出すか、物事の価値についての個人的な考えを指します。
そういわれてもなんだかしっくりきませんよね。
日常会話に置き換えると、どうでしょうか。

・自分は「 」の時間を大事にしたい!
・相手には「 」であってほしい!
・日本はもっと「 」するべきだ!

「 」の中には何が入りますか?
人それぞれ、大切にしているものや考え方が入ると思います。

考える人出典:stock.adobe.com

「 」の中が、夫婦で統一されたり、家族全員一致するのはごく稀ではないでしょうか。
生まれも育ちも異なる人同士が結婚したのですから、当然だと思います。
私個人としては、「 」の中身がコミュニティ全体で統一されることにはむしろ、少し不安を感じます。

ひとつの価値観で生きていくと、自分の考えが通用しなくなったとき「誰が間違っているのか?」という方向に考えてしまうからです。
また、自分の正しさを通すために、相手の意見を無視する・除外してしまう可能性も生じやすくなります。

今まで、どんな考え方に対して「素敵だな」・「これは合わない」・「大切にしたい」などと思ってきましたか?

子育てをする中では、自分はどんな考えを伝えていきたいか。パートナーはどんな考えを持っているのか。
まずは話し合い、「知ること」から始まります。

夫婦で衝突しやすい子育て観とは

「才能」に関する価値観

子どもの「やってみたい」が主張されるまでは、両親や周囲の勧めによって習い事を始めますよね。

・英語や算数など、学習面での力を伸ばしてほしい。
・絵画や音楽など、芸術的な力を伸ばしてほしい。
・水泳やサッカーで運動神経を伸ばしてほしい。
・色んなことを経験してほしい。
・一つのことを極めてほしい。

子どもの習い事を考えるとき、「伸ばしてほしいと思う才能」によって衝突するケースは多いです。
”やっておくべき”・”これから必要になる力だから”という考えは、ときに相手に受け入れられないことも。
自分が頑張ってきたものを、子どもにも頑張ってほしいと思う方もいますよね。

習い事出典:stock.adobe.com

”今、この子に習わせたい理由”を冷静に話し合っていけるといいですよね。

「年齢」に関する価値観

「何歳だから[ ]するべき」という方針も、ときに夫婦ですれ違うかもしれません。

・3歳になったからオムツをはずす
・保育園に入ったから友達との順番は守る
・小学生だから一人で寝る。

成長過程出典:www.ac-illust.com

子どもの発達スピードを見ながら、少しずつ生活・社会的なスキルを身に着けていってほしいものです。

「人との関わり方」についての価値観

どんな風に人と関わる子に育ってほしいかも、夫婦それぞれの価値判断が生じやすいテーマです。

・言いたいことははっきり言った方がいい
・相手の気持ちを汲んで譲ってあげた方がいい
・友達はたくさんいた方がいい

対人関係の持ち方にも、得意と苦手は生じます。子ども本人の視点に立ち、「無理ない範囲」を探っていくのが大切だと感じます。

子どもたち出典:stock.adobe.com

「性別」についての価値観

”男の子・女の子だから~すべき”というジェンダー的考えは少しずつ中和されてきたとも感じます。
それでも、”男の子らしく”、”女の子らしく”という価値観はまだ根付いていますよね。

・男の子だからスポーツを頑張るべき。
・女の子なんだから行儀よくしてほしい。
・男の子なのに大人しすぎない?
・女の子として優しく振舞うのが普通。
・異性の友達ばかりってどうなの?

女の子と男の子出典:www.photo-ac.com

”本人らしい生き方”を模索しながら成長していけるとよいですよね。

「家族の役割」についての価値観

家族の一員として「子どもにどう関わっていくか」も重要テーマになります。
働き方や子育ての方法が多様化されてきた今だからこそ、相容れない意見も多いかも。

・母親と一緒にいる時間は長い方がいい。
・父親も育児を主体的に関わってほしい。
・子どものためには親が我慢すべき

夫婦 会話出典:stock.adobe.com

どんな親でありたいか・どんな自分でいたいか。考えを両立させていくのはとても難しいですよね。
「~べき」ではなく「~と思う」と言い換えて主張する・相手の言い分や主張も一度聞いてみる、のがおすすめです。

目指すのは、統一ではなく容認

生まれも育ちも異なる二人が夫婦になれば、似ている考えもあれば、真逆の考えもあるのでは。
異なる意見を否定したくなる気持ちは、当たり前の感覚です。

ただ個人的には、違いを認め合える夫婦関係を子どもに見せていくという姿勢も、ひとつの「子育て観」だと感じます。
なぜなら夫婦で異なる価値観を持つことは、ときに「強み」となるからです。

家族出典:stock.adobe.com

話し合い、認め合う姿を見せるのも、お子さんにとってのモデルとなります。
「違いを受け入れる姿勢の尊さ」を伝えていくのも大切ではないでしょうか。


著者

yuko

yuko

臨床心理士・公認心理師。現在は小児の総合医療センターと大学の心理教育相談センターにて勤務。児童期から思春期の子どもへのカウンセリングやプレイセラピー、子育てに悩む保護者の方への育児相談を専門にしています。色彩心理学やカラーコーディネートについても学んでおります。