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「家事育児を全部こなすママは大変。仕事の方が100倍楽ちん」と言う"イクメンパパ”へ伝えたいこと

家族・人間関係

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 「家事育児を全部こなすママは大変。仕事の方が100倍楽ちん」と言う"イクメンパパ”へ伝えたいこと

2022.04.10

こんにちは。家事シェア研究家の三木です。 SNSで時折見かける「家事育児を全部こなしてるママは大変。仕事の方が100倍楽ちん!」ってパパの投稿。ものすごく違和感を感じるんです。 「よくぞ言ってくれた!」と思うでしょうか? でもぼくは、なんで未だに家事育児と仕事を比べてどっちが大変か合戦なんかしてるんだろうと不思議にすら思うんです。 今回は、そんな違和感のお話です。

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特集:親も子も幸せになるための「子育て」

子育てに理解ある「イクメン」アカウントによる、

「大変なママを助けてあげるのが、最大の子育て!」
「家事育児を全部こなしてるママは大変。仕事の方が100倍楽ちん!」

こんな投稿がバズるのを目にするたびに、鳥肌が立ってしまいます。

子育ては、夫婦で協力しあうのであって決して「ママを助ける」ことではないでしょう。
家事育児と仕事。どちらが大変か、なんてことを比べてること自体に感じる強烈な違和感。

正論ですね(笑)こんなことを投稿してもきっとバズりません。
でも、たとえバズらなくても大切なことだと思うので、こうした投稿への違和感をちゃんと書いておこうと思います。

大変なのは「お互い様」

夫婦出典:stock.adobe.com

子育てはとても楽しく、同時に結構大変なことでもあります。
子育ての「楽しさ」と「大変さ」。ふたつを天秤に乗せたときに、できることなら「楽しさ」に気持ちが傾いていたいと思います。
じつは「楽しさ」に傾くためにとても大切な、天秤に追加できるものがあります。

それは「ゆとり」です。

気持ちや身体に「ゆとり」があればこそ、子育てを楽しいと思えるようになる。
でも、このゆとりが失われてしまうほど楽しいよりも「大変」の方へと、どんどん傾いてしまいます。

これは、パパだろうがママだろうが同じことです。

ゆとり出典:stock.adobe.com

「ゆとり」を奪っていくのは、仕事かもしれないし寝不足かもしれません。夫婦のすれ違いや赤ちゃんの成長に関しての不安かもしれません。

さて。
よくパパが口にする「ママが大変」という言葉。
これはきっと紛れもない事実で、それを助けるのが大切なのは何も間違っていません。

でもね、本来大変なのは「お互い様」なんです。
それこそ、産後すぐの産褥期など、身体の変化による「大変さ」には、特別なサポートも必要でしょう。

でも体調不良などではなく。
普段の子育て生活において「ママが特別に大変だからサポートしなくちゃ!」って状況は、すでに相当「ママがワンオペ状態になっている証拠」です。

母 育児出典:stock.adobe.com

パパがちゃんと当事者意識を持ち、責任感を持って「わが家はワンオペ育児にしない!させない!」と関わることができていれば、ママが大変なんてことにはならずに済みます。
楽しさも、大変さも「お互い様」と笑い合える関係の方が「ママをサポート!」とドヤ顔で息巻くよりずっとしなやかな子育てができそうです。

家事育児と仕事を比べるのもう辞めたい

育児 仕事出典:stock.adobe.com

家事育児と仕事。いまだに比較して、どっちが大変とか言っている人もいます。
でも、これらは全部まったく違うものじゃないでしょうか。比べられることじゃないし、比べることで得られることも何もない。せいぜい誰かをマウントして気持ちよくなる程度。

家事が好きで仕事は苦手って人もいます。
育児は楽しいけど家事は嫌って人もいる。
仕事は大好きだけど、どうも家事育児はシンドイって人もいて当然。

専業主婦や家事育児をする人を労ったり、そうした人たちへの敬意を示すのに「仕事より家事育児の方が大変」と、わざわざ言う必要なんてまったくありません。

それは「あなたにとっては仕事より家事育児が大変」というだけのことでしかないんじゃないかな。

育児 仕事出典:stock.adobe.com

同じ24時間の中で、あれこれ調整しなくてはならないのだから、どれか一つだけをするよりもやることが増えれば増えただけ大変になるのは当たり前。

どっちが大変か。
どっちが尊いか。
どっちがやりがいがあるか。

比べる必要なんて、あるのでしょうか?

ぼくは仕事柄、たくさんのご家庭を見てきました。
専業家庭も、ワンオペ家庭も、共働き家庭も、シングル家庭も。

だから、必要以上に家事育児を礼賛する風潮にも違和感を感じます。もちろん、逆に家庭のことを蔑ろにしてきた過去にも憤りを感じています。

どっちが大変。どっちが楽しい。
そんなことは所詮、個人差でしかありません。

いつまでも、そんなことを比べあってないで、もっとフラットに捉えられる時代になって欲しいと思います。
 

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著者

三木智有

三木智有

NPO法人tadaima!代表 日本唯一の家事シェア研究家/子育て家庭のためのモヨウ替えコンサルタント 家事シェア研究家のnote:https://note.com/tomoari_miki

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