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ああいえばこう言う…反抗期の親子関係はどうするのがいいのか#子育てアドバイザーに聞く

家族・人間関係

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2021.05.24 更新

思春期に差し掛かってきたのか、帰ってきてもほとんど話をしない。問いかけても「うるせーな」「めんどうくさいなー」という感じ。反抗してくる子どもと、どう向き合ったらいいのでしょう。子育てアドバイザーであり、育児情報誌の編集長を長年務められてきた高祖常子さんにお話しを伺いました。

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特集:親も子も幸せになるための「子育て」

反抗期は、子どもの自我の芽生え


思春期の入り口は10歳前後。子どもによっても異なります。また、ほとんど反抗の様子が見られない子もいますし、とても大きく反抗する子もいるでしょう。そもそも反抗期とは、自我の芽生えによるもの。自分と他者は違うのだと主張したり、それをさまざまな形で表現するようになるということです。突然髪の毛を染めてみたり、化粧をしてみる、今までとは違うファッションに身を包むというような子もいるかもしれません。

感情の波が大きくなる子もいるでしょう。自分を主張したい気持ちが大きくなるものの、とても不安になったり。だから自分を大きく見せようと、汚い言葉を使ったりすることもあります。イライラが爆発して「うるせーな」「くそばばあ」なんて、攻撃的な言葉を親に投げかけることもあるかもしれません。

身長も大きくなり、親としては戸惑うことがあるかもしれませんが、それまでしっかり関わって育ててきた信頼関係があれば大丈夫。「今日はイライラしているのだな」と、受け流すくらいの対応も大事です。

もちろん、粗すぎる言葉や親を傷つけるような言葉を言うなら、そこは制することが大事です。「くそばばあなんて言わないでよ。お母さん、悲しくなるよ」などとI(アイ)メッセージで伝えましょう。反抗期出典:stock.adobe.com

反抗期にはいつも通りが一番大事

子どもが強い言葉で反抗してきたりすると、親としてもたじろいでしまうかもしれません。でも、そこはできるだけ「いつも通り」を心がけましょう。

いちいち食って掛かったりしてくると親だって面倒になるかもしれませんが、「反抗期、きたな」と思って、受け止めましょう。子どもが不機嫌でもいつも通り食卓を囲み、いつも通り「いってらっしゃい」「おかえり」と声をかける。そんな生活のベースが大事です。

時には、外に連れ出して一緒にキャッチボールしたり、散歩してみるのもいいかもしれません。誘っても「行かねーよ」って言われるかもしれませんが、それでも一応誘ってみましょう。気が向いたら一緒に行ってくれるかもしれません。

思春期の大きな波には、家族の安心・安定の場がとても大事です。子どもがどんなにイライラして、ちょっとひどい言葉を返してきたとしても、「そうかな」「そんなことないんじゃない」など、普通に会話して、対応してくれる親や家族。それがベースにあれば、時期が過ぎればだんだん落ち着いてくると思います。

「君を見ている」というメッセージを

コロナ禍により、しばらく学校の行事や授業参観も開催されなかったり、親の参観ができなかったりするかもしれませんが、子どもの普段の様子を見るために学校の行事などはできるだけ見に行きましょう。「授業参観なんか見に来るなよ」という子もいるかもしれません。でも、とにかく「行くこと」が大切です。

わが家の場合は、必ず授業参観に行っていました。特に中学生のときなどは、授業内容が気になったり心配だったのではなかったので、授業の様子をずっと見ているわけではありませんでした。行くのはほんのちょっとの時間だけ。でも、「授業参観に来た」というメッセージを残すために行っていました。これを私的には「マーキング」と言っています。だから、廊下など子どもと目が合う位置から参観し、目が合ったと思えば、学校を離れました。

毎回行くので、子どもの友だちが「高祖の母親、来てるよ!」って、わが子に教えてくれたりしていました(笑)。

もちろん、仕事などの関係で「授業参観にはなかなか行かれない」という方もいるでしょう。授業参観でなくてもいいと思います。要は、「君に関心を持っているよ」「君を見ているよ」というメッセージが大事です。「親子だから言わなくてもわかるだろう」「親なんだから子どものことを心配しているし、それは伝わっているはず」なんて言うのは、無理な話です。やはり、ちゃんと言葉や行動で伝えることが大事です。

「学校で、苦手な先生とかいるの?」とか「期末テストのスケジュール、出たの?」「部活の調子はどう?」など。なんでもいいのですが、子どもの生活の中のことを、聞いてみるといいですね。そうは言っても、できればある程度、子どもが取り組んでいることや、学校の全体的なスケジュール感などを把握したうえで問いかけるようにするといいですね。

あまりかけ離れたことを問いかけても、「お母さん、何寝ぼけたこと言ってるの?」となってしまうかもしれません。というのは体験談でもあります(苦笑)。子どもの返事はぶっきらぼうかもしれません。でも「気にかけてくれているんだな」というのは、子どもに伝わります。

反抗期の波は、いつの間にかだんだん小さくなって過ぎ去っていくもの。しばらくたってから「そういえばオレあの時、反抗期だったよね」なんて笑顔で会話できるようになる日が、きっと来るはずです。

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著者

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高祖 常子

子育てアドバイザー、キャリアコンサルタント。資格は保育士、幼稚園教諭2種、心理学検定1級ほか。 NPO法人ファザーリング・ジャパン理事、ほか各NPOの理事や行政の委員、「体罰等によらない子育ての推進に関する検討会」(厚生労働省)構成員(2019年)も務める。子育て支援を中心とした編集・執筆ほか、全国で講演を行っている。著書は『こんなときどうしたらいいの?感情的にならない子育て』(かんき出版)『男の子に「厳しいしつけ」は必要ありません! どならない、たたかない!で才能はぐんぐん伸びる』(KADOKAWA)など。3児の母。

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